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今週の一本

●冷食協・浦野会長語る  去石誠一 (週刊冷食タイムス:08/12/16号)

原料確保に強い懸念

記者会見に臨む浦野会長
外国頼みの危うさ 価格改定の成果も疑問
 (社)日本冷凍食品協会の浦野光人会長は10日、冷凍食品記者クラブ(本紙など食品・水産専門紙13社加盟)と会見し、2008年の業界動向を総括した。浦野会長は「原材料の高騰に伴う価格改定は幅や時期に差があり、必ずしもコストアップ分を吸収仕切れておらず苦戦している」と分析するとともに、「中国は輸出大国から準輸入国に変貌を遂げた。海外各国から今後も原材料が安定して確保できるのだろうか、と真剣に考えさせられる年でもあった」と語った。

 浦野光人会長は08年を総括し、(1)原材料価格の高騰に伴う製品価格への転嫁(2)安全・安心の問題(3)環境・鳥インフルエンザ対応(4)業界再編――などについて次の通り語った。

 【価格改定について】食品原材料の高騰を背景にした製品価格の改定が相次いだのが2008年だった。一方で、今後も原材料が安定して確保できるのだろうか、と真剣に考える機会でもあった。中国はもはや食料の輸出大国ではなく、準輸入国。自給率が40%を切る日本は外国頼みである現状の危うさを考えるべき。輸入相手国との取り組みを改めて考えさせられた元年でもある。
 様々な食品の価格が値上がりする中、冷凍食品の価格改定が生活者にストレートに受け入れられたかといえば、大変難しかった。製粉(小麦粉)は単一原料で比較的スムーズに浸透した典型的な例だが、冷凍食品は原料が多種にわたるので「この原料がこれだけ値上がりしたため」と断定的に言い難く、苦労を強いられた企業が多い。最終的に了解を頂いても、改定幅や時期は企業により差がある。
 この結果、コストアップが中々吸収できず、上場企業の上期決算数字にも表れている。ただコストアップ分をそのままスライドすれば済むという話ではない。こうした外的要因をいかに内部化するか、その努力は充分だったのかという反省が残る。業界として生活者や流通と対話する中で、ベストな形を実現すべきだ。
 
 【安全・安心について】1月末に天洋食品事件が明らかになった。全国異なる地域で健康被害が発生し、日中政府の大きな問題に発展した。その後、日本で事故米、いんげん、中国ではメラミン混入などの問題が起き、生活者の食に関する信頼を大きく損なうことになった。
 原材料に関してメーカーはどこまで責任を持てば良いのか。仕入れる原材料は何千種類もあり、香辛料などの中身を全てチェックするのは不可能。納入企業との信頼関係の中で進めるしかない。よって主原料を中心にチェックしていたが、どこまで徹底していたかという反省はある。
 協会側で「ここまで」とは言えないが、全くできないメーカーは生活者の支持を得るのは難しい時代に入ったのは間違いない。

リスク対応と報道との関係改善
 
 事件発生後、各社の対応にも問題があったことは否めない。大別して「どれだけリスクがあるのかを見極められず、問題の処理に奔走」した点と、「トップや企業としての言動が時間を追うごとに変わった」ということ。企業は日頃からリスクに備えるべき。大手は危機管理のマニュアルを持つが、独自にマニュアルのない中小企業は食品産業センターがまとめた危機管理マニュアルが参考になる。
 またマスメディアとの関係改善も課題だ。科学的根拠に基づいた記事、(違反であっても)ここまでは安心というレベルを示す記述を求めたい。
 大手各社は中国で畑から農薬管理、生産まで徹底して管理・検査しており、その分コストが上昇しているが、経費をかければ良いという問題ではない。安全にかけるコストがどこまで必要なのか、生活者との対話の中で考えたい。

 【社会における役割について】冷凍食品は生活者に届くまで大きなエネルギーを要するが、調理時間の短縮や食材の廃棄ロスが少ないといった引き算の要素も併せ持つ。環境問題は産業として対応すべきで、08年は「環境元年」という位置付けだったと思う。
 新型鳥インフルエンザ問題も昨年までは遠い世界の話のようだったが、インドネシア、ベトナム、タイで人への感染が確認され、大流行がいつ来てもおかしくないという危機が迫っている。世界規模で発生した場合、冷凍食品の生産や物流を止めずに社会的機能を維持する役割があるが、全く準備ができていない。協会として警鐘を鳴らし、最大限の努力で備えたい。

 【再編について】各社の収益が満足のいく水準に届いていない。JTと加ト吉のような事業再編もひとつの手段であるが、同時に新しい価値を持った商品開発なども大切。より良い道を模索して欲しい。

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