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今週の一本

●09年への提言  辻雅司 (週刊水産タイムス:09/01/01号)

水産版ニューディール政策の実施
不況をチャンスに新漁業就業事業を

ポスト燃油対策は漁業就業者の確保(写真は昨年6月に燃油対策を求めるイカ釣り漁業者漁業集会)
 世界金融危機を契機に石油、穀物や資材原料の高騰が収まったものの、今度は急転直下での価格低落、経済は低迷し、不況となっている。また、輸出製品を中心とする自動車、家電メーカーでは、臨時労働者の解雇など社会問題化している。
 一方、燃油の高騰に苦しむ漁業者への支援として、補正予算で600億円が出たものの、燃油価格の下落で石油価格の補填支援が、受けられなくなった。そうした社会、経済状況の中で、水産漁業ではこの就業不安を逆手にとって、600億円を活用し、高齢化が進み不足する漁業者の確保を図り、浜に活力の復活を図るべき、水産版ニューディール政策を立案すべきだ。
 沿岸漁業では、現在15万名いる漁業者のうち、今後、地域を担う中核漁業者の必要な数を2万5000名と見込んでいるが、実際には1万5000名しか確保できず、1万名が不足すると予想されており、地域が今後とも活力を維持できるか、将来の不安材料となっている。
 また、漁業者の高齢化と共に漁船の高齢化が進んでおり、特に沿岸漁船や沖合イカ釣漁船の高年齢化が進んでいる。FRP漁船では、船齢50年に近いものもあり、いまのところ使用は出来るものの、劣化が進み火災が起こりやすくなっている。
 高齢化が進む漁業者であるが、元気で働けるうちは、家でのんびりしている漁業者はいない。自分の出来る範囲で漁業をそれなりに営んでいる。しかし、自分のFRP漁船が壊れたり、使用できなくなると、漁業をやめ陸(おか)に上がってしまう。漁船の寿命で廃業となる。
 一方、Iターン、Uターンの新規漁業者は日々の生活は安い村営住宅など、それなりに暮らせるが、大きな悩みは、所得が低いので高額の漁船や漁業設備を購入したり、ローンを組めないでいる。さらには子供の高校大学の学費の捻出に頭を悩ますのである。
 そこで、いまをチャンスと捉え、仕事を失った期間労働者やフリーターを対象に、国は思い切った漁業者への就業事業を大々的に展開し、今後の漁業の担い手として、積極的に受け入れるとのことである。
 これには、現在、沖合漁業を中心に行われている漁船漁業構造改革プロジェクト事業のような事業を沿岸漁業で行い、各地域に漁業者就業事業本部を設けて、600億円の基金を使い新規就業漁業者へのFRP漁船のリース事業を行って、漁船購入経費の負担の大幅軽減を実行する。これには就業訓練な内容をさらに拡充、有給期間も長くするなど、就業の定着を図る。
 リースされるFRP漁船は、新規就業者だけではなく、漁船が壊れた高齢者のやる気のある漁業者にも、条件をつけて貸与できるようにする。また、漁業共済制度の拡充、支援をさらには図る一方、育英進学制度にも国の支援を手厚くしていく必要がある。
 加えて、現在の漁船漁業構造改革プロジェクト事業は、経営基盤の強い漁業者が中心となっており、今後、いかに普遍的にすべての沖合、遠洋漁業者が活用できなければならず、そのための制度の見直し、充実が不可欠となる。沖合イカ釣り漁船の中には「指で船体を押すと、穴が空く」とされるほど、老朽化が進んでいるが、代船建造はほとんど行われていない。
 我が国の200カイリで安定的な資源であり、資源に易しく今度とも継続して利用が図れる漁業である。こうした漁業を維持するため、有用資源やエコな持続可能である漁業の存続の観点から優遇した措置が与えられるような、特別な漁業指定が行えるような仕組みを設けるべきである。
 また、漁業者が新たな販路の確保を図るためには、漁船漁業と平行して開始された再チャレンジ・ビジネスプラン事業についても、事業の拡充と合わせて、ビジネス化の読本やマニュアルの整備、相談窓口の充実、アドバイザーの確保なと、中小企業庁が行っている支援事業と同様なバックアップ体制の拡充を図る必要があろう。
 不況を逆手に取った「逆転の発想」で水産漁業を活性化し、自給率の向上、健康にも良い優良な食料の提供など、国民の負託に応えるようアイデアを大いに出しながら、水産漁業界は、切磋琢磨していくべきである。
 新年には米国の新大統領が誕生する。そこで、水産版ニューディール政策が行われるならば、まず、福井県小浜市(オバマ氏)で始めるのは、いかがであろうか。

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