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今週の一本

●酷暑 冷食の追い風に  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:10/08/17号)

生鮮高で凍菜人気
買い置き機能に再評価

 日本全国で35度C以上の猛暑、酷暑が7月中下旬続いたが、それに伴い、冷凍食品の売れ行きにも様々な異変が起きているようだ。猛暑が連日続いたことで、消費者は買い物に行くことを手控え、キッチンでは“火”を使う食事づくりが敬遠された。それにより、買い置きができる冷凍食品が重宝され、裸火を直接使わないレンジ調理や自然解凍品にも人気が集まった。猛暑は冷凍食品にとって追い風となった模様。

 顕著な動きは冷凍野菜の人気。特に冷凍野菜は生鮮品が高値になった、という背景も後押ししている。
 6月に続いた集中豪雨を含む長雨、天候不順に伴って野菜の生産量が急激に落ち、生鮮野菜はいずれも大幅な高値となっている。
 これに連日の猛暑が重なり、買い物に出かける回数を減らしたいとする消費者が買い置きできる冷凍野菜に着目し、まとめ買いが多くなっているようだ。
 凍菜は天洋事件を機に、輸入品を中心として需要の落ち込みが続いていたが、天洋事件の影響が相当薄らいできたのと同時に、生鮮高という価格差要因が重なり、酷暑で売上げを伸ばしている顕著な例。
 裸火を使いたくない、という消費者心理も販売動向に強く表われている。
 家庭では冷房を入れているとはいえ、台所で加熱調理するのは相当苦痛。そこで、水にさらすだけで食卓に出せる「流水麺」(シマダヤ)が爆発的な売れ行きとなり、同シリーズは7月下旬、一時品切れを起こすほど受注が集中した。
 レンジ調理できる冷凍食品が総じて需要を伸ばしているのも、コンロで調理したくない心理の表われ。
 中でもテーブルマークの冷凍うどんはテレビCMの中でレンジ調理を7月末まで強くアピールしたこともあり、通常なら売上げが落ちる夏場でも今シーズンは需要を大きく取り込んでいる。冬場の需要品である冷凍麺が夏場でも売上げを確保すれば「生産の平準化につながり、収益改善にプラスとなる」(山田良一社長)という期待通りの動き。
 レンジ調理や自然解凍の機能を持つ冷凍弁当商材も今年は夏場に堅調な動きを見せている。夏休み期間中は弁当商材の需要が落ちるが、実は裸火による加熱調理が不要で、熱さの苦痛から逃れられるため、今シーズンは夏に入っても動きが堅調。また、弁当品は値引き販売されることが一般に多いため買いやすく、食卓のもう1品、酒のつまみ用に夏場に入っても需要があまり落ちていない模様。
 一方、夏休み需要が期待された冷凍米飯は、7月中旬まで「それほど目立った変化はない」(大手メーカー)と、期待に反し、静かな動きだった。しかし、猛暑が連日続いた同下旬から「動き出した」。冷凍米飯は主食としても、1食完結食としても、また買い置きできるという点でも猛暑の食卓需要に合致している。
 同じ調理冷食でもレンジ以外の商品は厳しい。ボイル調理、フライ、あるいはオーブントースター加熱品はコンロと同じく「熱さ」を感じさせるため、夏場需要は伸びていない模様だ。
 通販、宅配需要が伸びた、という指摘は複数から聞かれる。暑さのため買い物に出るのをためらう消費者が自宅まで商品を届けてくれるダイレクトショッピングに頼った、という構図が読み取れる。ミネラル水、清涼飲料類、牛乳、コメなど重量の張る生活必需品とともに、買い置き、保存性を持つ冷凍食品も需要が高まったと見ることができる。
 特に生協の冷食販売は夏場伸びた、という。夏休みの子供がいる、来客が多いなど通常より喫食者が増えるためか「従来の単品提案から、複数セットにして割安感を打ち出したところ、売上げを大きく伸ばした」という大手宅配企業トップの証言もある。
 市販用凍菜の需要回復は調理冷食にも今後大きな追い風として働くことが期待できる。冷凍野菜は冷凍食品のユーザーを増やす“入口”アイテムであり、凍菜の便利さ、品質の高さ、使い勝手の良さを消費者が認識すれば、数カ月後には調理冷食の需要につながる、というのがこれまで何度も見られた流れ。
 「天洋事件越え」を今年最大のテーマとする冷凍食品業界にとって、期待との誤差の大小はあろうが、猛暑、酷暑は少なくとも追い風と捉えてよさそうだ。秋口に向かう業界に猛暑、酷暑が強いインパクトを与えていることは確実。

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