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今週の一本

●待たれる実習の本格的再開  松田陽平 (週刊水産タイムス:11/05/30号)

岩手・宮城・福島の水産高校長3氏が訴え

金野校長
三浦校長
崎校長
 東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県にある水産高校の3人の校長が被災時の状況や復興に向けた現在の状況などについて語った。実習授業を軸とする水産高校が担う社会的役割は大きく、将来の水産業を支える生徒たちの被災後の心のケアが重要になっている。実践的な知識や技術を学ぶためには実習が欠かせないが、被災の影響により本格的な実習再開には至っていない。

 いずれの高校も地震発生当日は入学試験の準備のため授業は午前で終了。午後は教員と、部活動をする一部の生徒しか残っていなかった。 
 岩手県立宮古水産高校の金野仁校長は「被災の影響で家族が廃業する場合などもあり、水産業に対する意欲を失ってしまうことを懸念している」。
 同校が4月上旬に実施した調査によると、約200人の生徒のうち、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつの症状が見られる生徒がそれぞれ約20人いた。「(調査時期は)まだ緊張感の張り詰めた状態だったが、気持ちが緩んだ時にどうなるか。学校では皆同じ生活だが、一歩外に出ると環境が全く違う」。県外からの心療チームなどを受け入れ、サポートしている。
 海から約200m離れている同校では、津波が校舎の玄関先で止まり、大きな被害は免れた。4月下旬から授業を再開したが、座学が中心。「行方不明の方も多く、地元の漁業や養殖業も再開していないため、実習できる状態ではない。地域の復興と足並みを揃えて歩んでいきたい」と今後について語った。

体験学習で海に目を向かせる

 宮城水産高校は津波により校舎1階が浸水。地盤沈下で校舎が使えなくなったため、近くの高校を間借りして、5月上旬から授業を再開した。三浦元雄校長は「被災した校舎の冠水対策を早急にしてほしい。学校を移転するのか、そのまま使っていけるのか、見通しが立たない」と窮状を語った。
 被害の少なかった実習施設を利用し、実習授業も徐々に始めている。
 「丘に上がったカッパにならないように、体験学習を通じてできるだけ海に目を向けさせるように心がけている。種ガキの種苗生産が始まる7〜8月頃が海での実習を本格的に再開するタイミングではないか」(三浦校長)と見ている。
 防波堤に囲まれるような場所にあった福島県立いわき海星高校では津波の第2波が防波堤を破壊し、校舎1階をつらぬいた。
 震災時に避難場所となった小名浜高校で4月中旬に授業を再開した。実習の早期再開を保護者からも求められているが課題は山積みだ。
 「原発の影響がどれほどなのか、情報が少なすぎて海の中の状況がわからず困惑している。海に関する情報がもっとほしい」といわき海星高校の箱崎温夫校長は訴える。
 同校の実習船「福島丸」は、ハワイ近海でマグロはえなわ漁の実習を行うため小名浜港を19日出航した。
 「避難先だった三崎港からの出航も検討したが、地元の小名浜港から出航することに意義があると考えた。復興に向けて前向きな取り組みができた」と語った。7月1日に帰港する。

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