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今週の一本

●冷凍食品を保管する場所がない!  越川宏昭、橋本武寿 (週刊冷食タイムス:11/12/13号)

深刻、都内の庫腹不足

在庫の増加で通路も利用し
荷を保管する冷蔵倉庫
 フローズン対応の冷蔵倉庫が在庫増で悲鳴をあげている。入庫の超過が原因。出庫が入庫に比べて低調で在庫が回転せず、荷が倉に積みあがっている。東京都の場合、1〜10月の在庫率が前年同期に比べて2ポイント上昇している。冷凍食品の在庫も1〜10月の平均月末残高(t)は12.9%増と2ケタ増を示している。年末はおせち料理をはじめさらに入庫が増えるため、現場は先行きを不安視する。荷主のメーカーには実需に見合う生産を望みたい。

在庫が増え、回転が鈍る

 最近の首都圏における冷蔵倉庫の稼働状況は入庫・在庫が増えていることに比べて出庫が低調という。それでなくても庫腹が不足気味のところに拍車がかかり、物流業者の中には「荷物はあるが保管スペースがない」と倉庫探しに躍起となるところもでてきた。
 東京冷蔵倉庫協会によると、東京都の今年1〜10月累計の庫腹概況は前年同期比で総入庫高3.2%増222万8000t、総出庫高2.7%増219万9000t、平均在庫高5.6%増48万7000tと全て上回っている。しかし、回転数は在庫高が高水準で推移しているため0.13回減5.50回と前年同期を下回っている。
 トラック1台分、入荷したが都内に受け入れる倉庫がない、と物流業者。やむなく千葉県銚子市まで横持ちしてようやく難を逃れたケースも。最近、「稼働を停止して1年」の倉庫を他県に見つけたものの、再稼働できるかどうか危ぶまれる。背に腹代えられず、こういう倉庫情報にも食指を動かす物流業者である。
 春の大震災で東北地方の加工工場や冷蔵倉庫が壊滅的な被害を受けた。直接的な被害は受けなくても三陸地方に原料を保管していた企業は少なくない。生産しようにも、原料・資材が思うように調達できず、震災直後は欠品が相次いだ。メーカーは躍起になって増産を図り、欠品状態を脱しようとした。加えて原発事故による物流アクセスの制約、夏の節電対策などもあり、欠品を恐れるメーカーが「作れる場所で作れるだけ作れ」となったのはやむを得ない状況ともいえる。
 確かに震災特需はあった。売場での品切れを恐れて家庭内備蓄をするから需要が急増したが、それも一時のこと。末端需要は次第に鎮静化していく。にもかかわらず「動き出した船は容易に止まれない」(冷食メーカー幹部)。国内、海外の生産は惰性で増産を続ける。結果として倉庫不足となったようだ。
 満庫状態は首都圏のすべての倉庫でそうなのかといえば、必ずしもそうではない。「タイトではあるが、多少の入庫余地はあるよ」と某大手冷蔵倉庫会社が事もなげに語る。ならば倉庫スペースを融通し合うわけにはいかないのかと聞くと、「それはできない」。
 やりくりして倉庫を融通しても現在のひっ迫状態が解消されれば荷物を引き上げてしまうのは目に見えている。目先の実入りのために同業者に倉庫スペースの融通はしないという。

かさ高荷物も庫腹不足の一因に

 冷蔵倉庫が不足するのは入庫増と在庫回転の低下が主因だが、冷凍食品のような、いわゆる嵩(かさ)高荷物も一因にある。周知のように保管料金はトン・キロ単位で算出する。水産畜産物、乳製品や果汁などキロ単位で重い商品は歓迎される半面、冷凍食品のように嵩張る割に軽量な商品は、できれば敬遠したい商品である。
 原料荷物の場合は、冷蔵倉庫の保管能力の40〜50%、さらに詰め込めば60〜70%の収容も可能。ところが冷凍食品やアイスクリームはうまくいって15%といったところ。保管能力の15%しか入らないのである。いまや輸入荷物は原料から加工品へと変わりつつある。この傾向が強まれば、ますます庫腹がひっ迫してくるだろう。
 来年以降、川崎市東扇島地区には複数の大型冷蔵倉庫が相次ぎ完成する見込みだ。いずれ首都圏の倉庫事情は解消されるだろうが、目先の荷物保管ができないのは関係企業にとって顧客に迷惑をかけ、せっかくのビジネスチャンスを逸することになりかねない。
 せめてもの期待は冷凍食品メーカーが実需に合わせた適時適量生産に徹すること。また、海外生産については極力、海外で保管できるものは海外で保管し、需要に応じて輸入にしてほしい、と望んでいる。

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