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今週の一本

●業界再編 加速必至  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:12/02/21号)

時代対応の遅れは致命傷に

松尾廃業、河原食品は譲渡
 業務用卸の名門と評されてきた(株)松尾(東京、松尾信子社長)が4月末で廃業することをきっかけとして業務用食品流通関係者を中心に「業界再編の動きは再び活発化する」、という見方が強くなっている。また「中長期的に起こるべき流れが、大震災などを機に予想より早く訪れてきた」という捉え方もある。

 (株)松尾の廃業は一流ホテル向けを主力得意先とする高級高額商材専門卸ビジネスが、震災、円高などの予測不可能な環境激変に伴い国内外の利用客の減少という顧客側の変化の直撃を受けたことに加え、長引くデフレ経済の中で高級品だけで生き抜くことの難しさ、びん・缶、調味料などドライ食品の扱いウエートが高過ぎ、顧客が求める低温・冷凍食品の扱いに乗り遅れたこと――などの敗因を多くの関係者が指摘する。
 差別化ポイントが弱みに変わったのを見極められなかったことが痛手を大きくし、時代変化に乗り切れなかったことが最終局面を引き寄せた。創業者で、業界にも得意先にも顔が広かった松尾文博先代社長を6年に亡くしたこともかなり大きな痛手。引き継いだ長女信子社長が会社の“顔”になり切れず、情報開示が少なかったたため取引先メーカー・商社の支援を取り込めなかったことも勝ち残れなかった要因。
 しかし保有財産等を充当し仕入先への支払いを最後まで完結することを決め、事業譲渡ではなく「廃業」を選んだのは“名門”と呼ばれた同社の最後の意地。従業員の今後の生活だけは守ろうと、同社だけでなく、周辺業界でも雇用先確保に動いている。
 昨年末、河原食品(川崎市)がトーホーに全株を譲渡し経営権を委ねることを発表したばかりであり、業務用卸業界で「次はどこだ」と話が広がるのは当然。
 ここで指摘されるのは、企業の歴史、伝統、あるいは経営者の格などよりも、実績に評価軸を置く考えが明らかに強くなったこと。後継者の有無、その経営能力、時代変化対応力なども評価の大きな判断材料。
 業務用卸とは異なるが、高級高額商材専門の中華冷凍食品メーカー「大龍」も伊藤ハムがその事業を米久デリカフーズ(旧アンゼンフーズ)に譲渡し、大龍の活動は今月末で終了、米久DFの1ブランドとなる。大龍も商品価値は高く評価されたものの、厳しい経営を長い間強いられ、伊藤ハムのテコ入れを受けても建て直しは難しかった。
 時代が大きく変わるその流れを正しく捉えて対応することが、いま一番求められているのは間違いない。

「会員に動揺なし」 JFDA 富永会長語る

 JFDA(全日本外食流通サービス協会)の富永征男会長(ハウディ代表取締役相談役)は会員の(株)松尾が廃業を決めたことに関し「JFDA会員はみな元気であり、今後も協会事業を活発に展開することで一致している」とコメントしている。同会は昨年暮のオーナー会で「共販250億円をめざし、全会員で取り組む」ことを確認しており「その考えはいまも変わらない」(富永会長)。共販実績の少ない会員は取り組みを強化することを確認し「今年は明るく前向きな年にしようとしている」(同)。
 松尾はJFDA創設メンバーで、松尾文博前社長はJFDA初代会長を務めた重鎮だけに関係筋では話題になっているが「JFDA会員に動揺はない」(同)。むしろ、有力卸店から新たに入会希望も寄せられているという。
 富永会長は「時代の大きな変化に高度な情報システムで対応し、生産性を高めることが大事なのは、以前もこれからも変わらない。JFDA会員それぞれが強い企業体質を構築できるよう取り組む」と語っている。

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