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今週の一本

●冷凍スリ身、増産と在庫で弱含みに  辻雅司 (週刊水産タイムス:12/11/19号)

生産者の理論、市場と噛み合わず

 冷凍スリ身の価格が弱含みとなっている。米国Bシーズンのスリ身生産が前年同期よりも17%多かったほか、今年夏の猛暑や秋の残暑から水産ねり製品の消費が停滞したため。スリ身の在庫も月を追うごとに膨れている。

 Bシーズンに向けて米国の生産者は原魚価格など生産コストの上昇を理由にAシーズンに比べて、キロ10円の値上げを唱えていたが、現状は通っていない。一部に値上げの報道が見られるが、実際は弱含みとなっている。

 特に大手ねり製品会社の決算を見ても、水産ねり製品の消費の停滞が業績の不振として現れている。

 米国のスケソウダラ枠は安定した資源状態から今年も昨年並みの120万tとなっているが、今年は欧州の経済不安からユーロ相場が下落、融資も絞られている。このため、フィレーやスリ身の買付けが弱まっている。

 フィレーとスリ身の生産比率はこれまで6対4だったものが、今年は4対6に逆転。米国のスリ身の半分は日本市場向けとなっているが、欧州向けのスリ身自体が減っているほか、フィレーからスリ身にシフトした分もあり、これらが最大のスリ身市場である日本に向けられた。

 しかし、日本のねり製品市場は、昨年の東日本大震災における特需的な消費が一段落し、通常ベースに戻ったほか、昨年は寒気の訪れも早く、ねり製品の販売が好調に推移。昨年と今年の市場構造の変化がある。
 米国側生産者としては「欧州での落ち込みを何とか日本で取り戻したい」という願望が底辺にあり、いわば「プロダクト・アウト型」の理論が渦巻いている。しかし、どの状況を見ても弱含みと言わざるを得ず、「マーケット・イン」の発想に切り替えなければならない時期が迫っている。

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