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今週の一本

●冷凍食品の無限の可能性に期待  去石誠一 (週刊冷食タイムス:14/01/01号)

国内生産量、着実に伸長

好調市販用、品質の評価高まる

惣菜売場は日々変化している
 日本の冷凍食品産業は昭和40年代以降、目を見張るような急激な成長を遂げた。好調な経済発展を背景に、ほぼ毎年2ケタ前後の成長を続け、冷凍食品の国内生産量は54年(1979年)に50万t、11年後の平成2年(1990年)に100万t、その9年後の11年(1999年)には150万tを突破した。

 その後、成長スピードは緩慢になり、一進一退を繰り返す形で推移。平成18年(2006年)の国内生産量154万5200tをピークに、150万t台を維持したのは翌19年まで。以降は130万〜140万tを行き来している。

 ただし「冷凍食品市場が衰退している」ということではない。確かに国内生産にブレーキは掛かったが、反対に冷凍野菜や調理冷凍食品の輸入量は着実に増加。国内生産量に輸入冷凍野菜と輸入調理食品を加えた、日本の冷凍食品消費量は、年代により多少のバラつきはあるものの、安定して伸び続けている。

 冷凍食品の消費量が10万tを超えたのが昭和44年(1969年)で、50万t超えは53年(1978年)、100万tの大台突破が61年(1986年)、150万t超えは平成4年(1992年)、200万t超えは8年(1996年)とすぐに訪れ、250万t超えは16年(2004年)だった。直近の平成24年(2012年)は270万tで300万t超えはまだ。

「おいしくなったね」の声

 国内生産量が伸び悩む中で、産業自体は着実に成長してきたのが冷凍食品。とくに平成23年(2011年)の東日本大震災以降は、冷凍食品が見直され、再び勢いを取り戻しつつある。

 なかでも市販用冷凍食品は、多数のテレビ番組で「冷凍食品の工場潜入」、「冷凍食品総選挙(人気投票)」などの企画で取り上げられ、大勢の視聴者を刺激した結果、以前の元気を取り戻している。

 冷凍食品は長年にわたり「特売が常態化」した状態に甘んじていた。いわゆる「客寄せパンダ」として、小売業の集客手段になっていたが、この数年で徐々に『冷凍する意味』を感じ取ってもらえるようになっている。

 「おいしさ」や「調理の簡便性」を追求し続けてきたメーカー自身の努力も大きい。実際、「最近の冷凍食品はおいしくなったね」という声を耳にする機会が増えている。「冷凍食品なのに意外とおいしい」という評価もよく聞く。

 安売りが収束したとはいかないが、量販店の冷凍食品売場は新店を中心に拡大している。これまでアイスと氷で占めていたコンビニエンスストアの冷凍スペースにも冷凍食品が台頭してきている。

外食の人手不足を手助け

 見直されたのは家庭用ばかりではない。国内生産量の6割を占める業務用冷凍食品も再び注目を集めている。

 これまで「うちは冷凍食品なんか使わないよ」とそっぽを向いていた外食ユーザーが、少しずつ取り入れ始める例が増えている。その背景にあるのが“外食不況”や“人手不足”など。バブル経済の崩壊からはや20年。割高な外食を敬遠し、外で購入して自宅で食べる「中食」や、自宅で簡単に作って食べる「内食」の流れが拡大している。

 一般消費者が食事にかける支出は年々縮小。レストランのメニュー単価も下がり続けている。人手は掛けられないが、おいしい料理を出さなければ客足は遠のく。素人でも調理できる冷凍食品の簡便さは、外食産業で不可欠。アルバイトを新たに雇い入れるよりも、冷凍食品を活用することでコストの圧縮が可能。こうした使い手側に立った提案が、業務用メーカーを中心に盛んになっている。

主婦から男性やシニアへ

 日本冷凍食品協会(伊藤雅俊会長)が展開する活動も大きく変化している。かつては、冷凍食品を実際に購入する主婦をメインターゲットに捉えて普及・啓蒙活動を展開してきた。ところが最近は、冷凍食品の新たな需要の掘り起こしを目的に「男性」や「シニア層」へも軸足を寄せつつある。

各社「bP政策」展開
巨大化する流通、卸に対抗

大型スーパーの新店は
リーチインタイプの冷凍ショーケースの
採用が増えている
 小売の巨大化に即して進んでいるのがメーカー、問屋の統合・集約の動き。巨大化する小売の要望に応えるには、自らも一定の規模が不可欠という判断。これまでメーカー大手は総合的な品揃えを志向してきたが、近年は強い部分をより強くするカテゴリーNo.1政策に変わりつつある。2014年4月にグループ6社が統合して誕生する「マルハニチロ(株)」は、その代表例といえる。
 冷凍食品工場の多くは1970年代初頭に建てられ、その大多数が老築化している。建設当時とは環境が一変し、工場の周辺は住宅地というケースも多く、増設や改修で対応するのも限界、という工場も多い。
 2014年、味の素冷凍食品が約50億円を投じて群馬県に、ニチレイフーズは約55億円を投じて千葉県船橋市に新工場を建設中だ。13年末には、宝幸も大和工場(神奈川県)の売却移転を決めた。こうした工場新設の背景には、10年、20年先を見据えた事業構造の再構築がある。

円安進行ならば再値上げ不可避

 目先の課題は、4月1日からの消費増税。住居や自動車などの高額品は増税前の駆け込み特需が期待される。冷凍食品に関しては単価が低く、冷凍保存するスペースにも限りがあるため、一般的には「特需はない」と言われる。むしろ増税に伴う買い控えが懸念される。ここが勝負どころ。日常生活に欠かせない食品として、支持されるか否か。不安と期待が膨らんでいる。
 2012年12月から為替相場が急激な円安へと動き、輸入食材に頼る部分の多い冷凍食品業界は警戒を強めた。本来ならば13年の春には値上げに持ち込みたいところだったが、他社の動きを牽制しながら本格的な値上げは秋まで持ち越された。しかし、値上げによる価格競争力の低下を恐れる小売サイドの抵抗が強く、14年まで持ち越したという例も少なくない。
 外的要因によるコストアップを自社内の努力で削減するのは当然としても、自ずと限界はある。正々堂々と秩序ある値上げに踏み切らない限り、利益は残らない。利益なき産業が自然消滅するのは時間の問題。製販三層が共に明るい将来像の描ける産業として、大きな舵取りが期待される。

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