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今週の一本

●業務用中小卸のコスト構造変化  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:14/09/23号)

人手不足と物流費が圧迫

 人手不足に加え、急激な円安が進行しているため、中小業務用卸では燃油高が新たな利益圧迫材料として懸念が広がっている。これまでは仕入れ価格の引き上げ分を販売に転嫁できるかどうかが大きな焦点だったが、ここにきてコスト構造が大きく変化。中小卸では「本当に解決できる問題なのか」と不安の声が挙がっている。

大手の領域拡大とも攻防

 人手不足の進行はファストフードなど外食店の経営を揺るがす大きな経営課題となっているが、外食や惣菜バックヤードなどで人手が足りなければ、逆に冷凍食品の利用が進み、需要拡大のチャンスという捉え方がこれまでは中心だった。

 しかし人手不足は外食、惣菜だけでなく、全産業界共通の社会問題。しかも労働力が今後急に増えることは考えられない。若者は仕事が楽で、休みが取れて、見た目もきれいで、給与条件のいい職場を選ぶ。

 そうなると中小業務用卸は厳しい。早朝勤務があり、同じ勤務時間でも食品は配達件数が多く、荷物は他の仕事より細かい。厳格な温度管理が求められ、衛生・清潔さも必要。「なかなか選ばれにくい職種」となる。

 商流と物流を分けている卸店は物流を担当するドライバーの確保がさらに厳しくなっている。「待遇を改善しないとすぐ転職される」と危機感がある。

 都内のある業務用卸では先行きを考え、日本語が理解できる外国人の運転免許所得者の採用を検討したことがあるが「現実には非常に難しい」。外国人ドライバーが立ち寄り、配達することを顧客が好まない。外国人に食品衛生や温度管理などの知識を教育しても、望ましいレベルに達するまでには時間がかかる。「仮に優秀な外国人ドライバーを育てたとしても、有利な条件で他社に移られる」。

円安で燃油高進行

 物流コスト高は、燃油高騰も大きく関わっている。

 アベノミクス以降の円安で配送車の燃油代は大幅高値水準が続いており「いまや業務用卸の一番のコストアップ要因」と関係者。

 しかも円安は先週末で1ドル108円台へと再び急激に高騰が続いている。円安は輸入原油が高騰する直接要因となる。配送車用の燃費高に直結する。

 これまで中小業務用卸はメーカーからの仕入れ価格の引き上げ要求を販売価格に転嫁できるかどうかが、収益を左右する大きな要因だった。そこに企業の個性や提案力、地域特性に応じた営業力などの差別化要素を加えて、持ち味を発揮してきたが、いまや物流費、人件費という構成比の高いコストの上昇に伴い、苦しい経営を強いられている。

 しかも、大手、広域有力卸は地域卸の領域にも進出して事業拡大を続けており、中小にとっては益々厳しくなっている。

 日給連の会長などを務めた大京食品の窪田洋司社長は「中小業務用卸の新たなあり方を考えなければならない」と警告している。

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