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今週の一本

●値上げの波 乗り越え  去石誠一 (週刊冷食タイムス:15/01/01号)

次代担う大型商材作りへ

 2015年(平成27年)が幕を開けた。昨年来の急激な円安基調を継続したまま、「冷凍食品の値上げ」ラッシュが待ったなしでスタート。値上げによる買い控えはあっても、需要の減退は避けなければならない。それには、春の新商品をしっかりと提案することが大事なのは言うまでもない。家庭用の成長は、永らくパスタがけん引してきたが、そろそろ新カテゴリーの登場が期待される。フランスの冷凍食品専門店「ピカール」の日本上陸で、既存の冷凍食品売場は刺激を受けている。中長期的に期待の大きなメディケアは、単なる栄養摂取から「楽しむ食事」へと転換。世界的なチルド食品台頭の潮流がどう影響するのかも注目点。

日本に初上陸した「ピカール」の売場
原油高騰で待ったなし

 2015年は「食品値上げ本格化」の年であり、待ったなしでやってくる。即席麺、食用油、コーヒー、そして冷凍食品と続々値上げに向かう。

 すでに14年12月までに有力冷凍食品メーカー各社が年明け1〜3月からの価格改定を発表。買い手の反発を警戒してか、端的な「値上げ」という表現ではなく「価格改定」とするのが一般的になっている。値上げ幅は企業や商品によって異なり、数%から20%台まで様々。

 これまでの主な値上げ理由だった「国際的な原材料の高騰」に、包装資材費、動力燃料費(電気など)、物流費の上昇と、急激な円安が加わって「企業努力だけではコストアップを吸収できなくなった」というのが共通認識。

 中には「単純値上げは避けて、量目変更やリニューアルで対応する」と慎重な姿勢を崩さない例もあるが、実質的な値上げと変わりはない。

販促策をしっかり

 問題は、値上げに伴う買い控えなどの反動。いくら明確な理由のある値上げであっても、消費者の全面的な理解が得られる訳ではない。未曾有の好景気に沸く時代ならともかく、政府が発表する景気回復は限定的なもの。消費者は財布の紐を中々ゆるめてはくれない。

 メーカーは、値上げの必然性をていねいに説明し、需要を減退させないよう活発な販促を打ち続けるべきだろう。

 ある卸のトップは「メーカーの営業が値上げの説明に翻弄され、1〜2月に発表される新商品の販売促進に手が回らなくなるのが一番怖い」と強く懸念する。

値上げスパイラル続く

 調理冷凍食品以上に厳しい展開を強いられているのが、輸入冷凍野菜など円安が直撃する分野。これまで経験した事のない急激な為替変動に翻弄されている。

 例えば、中国の人件費は毎年2ケタ増の勢いで上昇し続けており、加えて現地で収穫される原料価格も国際相場のアップと共に毎年のように上昇している。年間を通して計画生産される冷凍野菜ではあるが、世界規模の異常気象で計画が大きく狂う例は少なくない。また自国の経済成長に伴い、輸出一辺倒から国内消費に軸足が移りつつあるのも原料高騰の一因。

 安全安心を過剰に担保する以上、コスト上昇が止まることはない。この「値上げのスパイラル現象」は現在進行中であり、国内産地の見直しを含めて産地の分散化が求められている。

 値上げの動きに逆行するように台頭しているのが、EDLP(エブリデイロープライス=毎日が低価格)の流れ。2014年11月でイトーヨーカ堂が、冷凍食品の「全品半額セール」を終了し、いま売場で訴求しているのがEDLP。

 ヨーカ堂とは別だが、根拠のない半額セールの実態に待ったを掛けた消費者庁の行政指導の結果といえる。

 だが、ある業界関係者は「安売りの終焉とはほど遠い。誤解を恐れずに言うなら、安売りが地下に潜り込み、耳触りの良い言葉(EDLP)に置き換えられたに過ぎない」と指摘する。

量販店PB拡大

 有力量販店を中心に冷凍食品のPB(プライベートブランド)化も一段と進んでいる。工場の安定稼働をめざすメーカーにとって、PBを受託生産できるか否かは大きな違い。

 量販店は、PB化によって有利な条件を握るメリットがある。また勢いづくCVS(コンビニエンスストア)を牽制する意味合いもある。

 いずれにしろ製配販が一体となり、正確な情報発信を基本とした訴求が、冷凍食品普及の鍵を握っているといえる。

ピカールが登場

 イオンがフランスの冷凍食品専門店「ピカール」(PICARD)の売場を2014年11月、日本に初めて導入した。イオンは首都圏の売場を足掛かりとして、16年には本国と同様の路面店の展開も計画している。

 売場では前菜から主菜の肉・魚料理、パン、デザートまで約50品目を品揃えする。今は海外から輸入した商品を販売しているためどうしても割高だが、「将来的には日本国内で生産する可能性もある」という。

 冷凍食品専門店が根付かない日本で、ピカールの出現が既存の売場にとって代わる可能性は今のところゼロに近いが、10年、20年後は別。一般的な冷凍食品売場と競うことで、新しい需要の喚起が期待される。

パスタに続く柱育成へ

 家庭用冷凍食品市場の中で、過去5年間に最も成長したカテゴリーは個食パスタと言える。

 日清フーズ、日本製粉などの製粉会社の他、麺の総合トップを志向する日清食品冷凍がパスタ市場をけん引してきた。「米飯市場が押され気味なのは、パスタの台頭によるもの」と言われる。

 かつてはゼロだった冷凍パスタは、定価150円、実売100円のスパゲティからスタート。徐々に品質と単価を上げ続け、単に空腹を満たすスナックから、昼食や夕食で楽しむ料理としての位置付けに変せん。近年の生パスタの登場で、オシャレな食事という捉え方も定着している。

 しかしながら、永らく2ケタ成長を遂げてきたパスタ市場だが、2014年は、トップ各社が「伸びてはいるが、2ケタ成長は止まった」と認めるようにスピードダウン。

 小売、卸、メーカーが次の時代を担う「新しい商材づくり」(市場形成)を見据えて、研究開発に取り組んでいる。先行者利益を求めて、各社の研究開発員が一段と熱くなっている。

中国離れ加速、現地工場は内販を強化

 中国に冷凍食品の生産拠点を持つメーカーは、大きな転換期を迎えている。政治的な摩擦が中国離れを加速させ、実現の成否は別として「徐々に中国産品の扱いはなくす」というスーパーが増えている。

安く作り日本へ輸出はもう古い

 毎年上昇する人件費や原材料の高騰に対応するために進めてきた機械化も大方が完了し、いま人手をかけているのは付加価値を生む工程のみ。中国進出の目的であった「安く作り日本へ輸出する」時代は終った。

 対日輸出にブレーキがかかると、消費大国「中国」での内販がにわかに注目され始めた。だが日本向けに作った工場、商品はいずれもハイスペックで、中国での価格競争力はない。

 そこで日系の営業が集中するのは、一定以上の品質が求められる外資系の外食チェーン店。中でも動きが活発なのが日系のとんかつ専門店、回転寿司店、イタリア料理店、カレー専門店などのチェーン。

 日本での実績を基にアプローチをかける日系メーカーの他、欧米など外資メーカーや中国メーカーが加わり、競争は一段と激化している。もちろん学校給食や事業所給食、病院・高齢者施設などのマーケットも事情は同じ。

 一方、家庭用マーケットは「スーパーの入店料が高くて、多少売れても赤字続きを覚悟しなければ継続は無理」と言われる市場。ただ、これまで沿岸都市中心だった小売市場は、内陸部の都市にも急速に拡大。メーカー、流通、卸の目線も内陸部に向かっている。

 国土が日本の25倍、人口は10倍の巨大な中国マーケットを巡り、近い将来、生産と販売の舵をどう切るのかが注目される。

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