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今週の一本

●販路広がる冷凍食品  高橋尚徳 (週刊冷食タイムス:18/01/01号)

スーパーからコンビニ、ドラッグストア、通販へ

「ひとと環境にやさしい店舗」として再オープンした「セブン‐イレブン千代田二番町店」。冷凍食品売場を拡大し、冷凍リーチインケースにはスライドを採用。品出し作業を容易にした
 冷凍食品の販路が量販店からコンビニエンスストア、ドラッグストア、通販へと広がりを見せているが、特にコンビニは冷凍食品が売れると見るや100億円を超す資金を投じて売場の拡大に動いており、対応の早さには目を見張るものがある。冷凍食品の購入も従来のストック型から、食べたい時に食べたい分だけ買う中食的な利用がさらに顕著になると本紙は予想する。

 セブン‐イレブン1号店が東京豊洲に誕生してからスタートしたコンビニの歴史は今年で44年目を迎えた。その間、わずか30坪程度の売場面積はほとんど変わらず、新しいシステム、商品、サービス、什器を次々に導入し、今も進化し続けている。

 冷凍食品のターニングポイントは08年。セブン‐イレブン・ジャパンが100円冷食で本格導入を図り、各社が追随、PB化が加速した。

 「コンビニで冷凍食品が売れるとは思わなかった」と、ある経営トップも予想外を認める。認知度の向上とともに価格帯が広がり、商品開発は「価格」よりも「価値」に軸足が移った。

 大手コンビニの冷食担当部長は「価格が優先で味は二の次だった時代が確かにあったが、今ではおいしさが求められている」との認識を示している。限られた売場でこれ以上の冷食拡大は限界に思えるが「ニーズがあるなら、さらに売場を拡大することは十分あり得る」と柔軟な姿勢を示す。

 セブン‐イレブン・ジャパンは昨年12月、東京都千代田区の本社ビルに入居する「千代田二番町店」を「ひとと環境にやさしい店舗」として再オープンし、最新の技術を結集した。

 冷凍食品売場は拡大しただけでなく、冷凍リーチインケースの陳列棚をスライド式にし、従業員の品出し作業を容易にした。ガラス扉の内側には特殊なフィルムを貼って開閉時に曇りにくくした。PB商品のほかにNB商品を多数陳列しているが、やがてPB商品で棚が埋まると思われる。

 最新技術の導入とは別に、セブン‐イレブン・ジャパンはレジカウンターを延長してファストフードを拡充し、冷食売場を2倍に拡大する新レイアウトを17年度から順次導入している。昨年8月末時点で既存店150店を改装した。

 井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長によると「改装に伴い、3週間程度の閉店期間が必要になる。この前後の閉店セールや閉店中の告知など店によって巧拙があり、改装効果にはバラつきが見られるものの、改装から7〜8週間後には日商で2万円前後のプラス効果を生んでいる」という。

 新レイアウトは21年度までに既存店1万店に広げると発表している。

業種業態の垣根がなくなる

 業種業態の垣根を越えた競争は一段と激しさを増している。ドラッグストアとコンビニ、食品スーパーとコンビニ、都市型ミニスーパーとコンビニ……。異なる業種業態の一体型店が登場し、青果・畜肉製品を扱うホームセンターも出現した。

 もはや業態の垣根はなくなったと言っていい。こうした状況は地方スーパートップの「物の買い方は我々が決めることではない」というコメントに集約される。

ピカール上陸から1年
一過性でなく順調に推移

昨年10月に開業したピカール代官山店(東京)。イートインスペースを設け、飲食だけでなく、ワークショップを開催して商品の認知度アップに努めている
 フランスの冷凍食品専門店「ピカール」の路面店が日本に登場して1年が過ぎた。前菜から主菜、副菜、デザートまですべて揃い、外食店の品質・メニューが家庭でも味わえるというコンセプトだが、ピカールを展開するイオンサヴールの小野倫子社長は昨年末、「開店当初は予想の3倍の売れ行きだったが、今は落ち着いており、馴染みの客が出始めた。一過性ではないかと心配したが満足のいく1年だった」と総括している。

 直近の路面店は都内中心部に6店舗。本場のピカールが1100品を揃えているのに対し、日本では200品でスタートしたが、徐々に増やしている。

 ピカールの商品は“普段使い”をうたっているが、一般の冷凍食品に比べると相対的に高額な印象を与えているのは否めない。売れ筋の「食いしん坊のミニエクレア」は日本で税込1599円だが、フランスでは904円(6.95ユーロ)。「四季のBio野菜のピッツァ」は日本の951円に対し、フランスでは514円(3.95ユーロ)。日本の価格を高いと見るか、輸送コストなどを考慮すれば妥当と見るか、評価が分かれるところだろう。

 価格はさておき、品質の評価は高い。「野菜はどれも状態がすごくいい。冷凍食品に対する概念が変わった」と料理の専門家に言わしめるほど。特に冷凍野菜や、野菜をメインに使った加工品はピカールも自信を示す。

 小野社長は「フランスというイメージから、前菜やパン、デザートを求める買物客は多いが、実はフランスでは、野菜のバリエーションが豊富でおいしいのが特徴」と語る。

 日本の店舗ではイートインコーナーを設けたり、ワークショップを開催したり、さまざまな施策を打って認知度アップに努めている。野菜のピューレやソースなど素材に近い商品も多く、簡便性や時短だけでなく、料理をしたい人のニーズも満たす。

 アメリカ・ニューヨークにも15年、ピカールをモデルにした冷凍食品専門店「babeths feast(バーベス・フィースト)」が開業した。

 冷凍食品専門店はまさにこれからの業態と言える。

グローサラントに業界注目

 欧米で広がっている食品スーパーと飲食店を融合した業態“グローサラント”(グロサリーとレストランを掛け合わせた造語)が日本でも注目を集めている。

 先行するアメリカでは、アマゾンが買収したホールフーズやウェグマンズなどが集客力を発揮している。

 ドイツでは高級スーパーのエデカが精肉売場のそばにステーキハウス風のキッチンと座席を設け、店頭で販売している精肉をシェフが調理して提供している。

 日本では、成城石井が調布市に昨年9月開業した「トリエ京王調布店」で“成城石井流”グローサラントを展開している。パスタやピザ、ハンバーガーなどメニュー自体は多くないが、店頭販売している食材や調味料を使っている点が安心感を与えているのか、開業から3カ月経過した12月下旬でもランチタイムには順番待ちができるほどにぎわっている。

 他にヤオコーが旗艦店の「川越南古谷店」で実験を開始している。グローサラントが数年後のトレンドになるかもしれない。

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