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業界交差点

この人に聞きたい:第214回
(週刊水産タイムス:09/10/26号)

顧客の満足を自らの価値に

東京豊海冷蔵 代表取締役社長  野口 喜久雄氏

のぐち・きくお 昭和9年8月19日生まれ。東京外国語大学国語学部(英語)卒業後、大洋漁業(現マルハニチロホールディングス)入社。平成3年に大都魚類に移り、代表取締役専務を務めた。平成13年6月から現職。

コールド・サプライ・チェーン担う
責任と誇りがエネルギーの源泉

 ――今の冷蔵倉庫業界をどう捉える。
 野口喜久雄社長 冷凍食品は形態と機能を多様化させながら、現代の食生活になくてはならない存在になった。様々な冷凍・冷蔵食品を安全・迅速・確実に消費者にお届けするのが冷蔵・流通業界の使命。わが社にあっても常に最新の設備を整え、長年培った豊富な知識・経験と技術に基づく最高のサービスを提供するよう努めてきた。

この7〜8年増益ペースに 

 ただ、最近の冷蔵倉庫業界は経常収支率が低く、施設が老朽化して建て替え時期を過ぎても、新たな設備投資がしにくい苦しさがある。
 当社も徹底してコスト削減、合理化を進めているものの限界がある。再生産を可能にするような適正な料金体系になっていないことが最大の問題といえるだろう。社会に不可欠なインフラであるコールド・サプライ・チェーンの一翼を担うことに誇りと責任を感じているだけに、この業界が健全な発展を遂げなくてはならないと痛感している。

 ――最近の業績は。
 野口 厳しい中で何とか奮闘しているというのが正直なところ。前3月期は豚肉の特需もあって、ことのほか良かった。この7〜8年は着実に増益を継続できている。

 ――どこがポイントに。
 野口 地道に事業が継続できているのは、何といっても第一線の社員による営業努力、それに長年の取り引きで培われたお客様との信頼関係が根本にある。昭和38年の設立いらい、「食品の保管・物流のプロフェッショナル」を標ぼうし、安心・安全で迅速・確実なサービスを提供してきた実績を評価いただけたものと自負している。
 経済情勢が業績を大きく左右するのは当然だが、規模よりも内容を重視してきた当社の方針が今日につながった。

 ――2007年に東扇島事業所を売却したことも、その一つか。
 野口 身の丈に合った仕事も大切。思い切ってスリム化をした。規模が大きいのに越したことはないが、それが全てではない。適正な規模の経営が営業力とマッチした。当社は築地の荷受会社を株主に持っているが、いわゆる系列会社ではないので座して待っていても荷は入ってこない。自分たちで荷主を探してくるところから全てが始まる。

 ――それだけに顧客から東京豊海冷蔵を選んでもらえる努力が必要。
 野口 その通り。経営理念の中に「お客様の利便と効率と満足の増大に役立つことに自らの存在価値と喜びを見出す」とあるが、まさにこれを実践していくことが成長への要諦。結果的に企業責任を果たすことになる。

安心安全と迅速確実で

 ――経営理念は5つ掲げているが。
 野口 「食品の保管・物流のプロフェショナル」として、お客様に安心・安全で迅速・確実なサービスを提供することでお客様と社会の繁栄に役立つことを使命としている。浮利を求めることなく、クリーンな環境を守る。私たちが限りない成長を続けることで関係者への企業責任を果たすとともに、自らの家族の生きがいと夢と幸せを追求していくことを基本理念に据えている。

 ――今回は船橋での増設となったが。
 野口 船橋センターの開業が1979年で、翌80年には1万5107tに増設し本格的な事業展開を開始した。当時はアクセス事情も今ほど良くなく、最初から順調に稼働してきたわけではないが、1986年に始まる隣地の冷蔵倉庫との統廃合や、1992年に2万8881tの配送型冷蔵庫の新設など、紆余曲折を経て庫腹を今の規模にしてきた。配送を中心とした物流センターとしての機能を持たせるのを念頭においたことが結果的に良かった。

 ――船橋物流センターの3号棟は平屋建ての3300tながら、増設の意味合いは大きい。
 野口 取引先の事業拡大に伴う増設だが、既設棟で行っていたアイスクリームの保管・仕分け作業のうち、仕分け作業の半分を3号棟に集約することで、既設棟にスペースが生じるから、その分の保管能力がプラスになる。3号棟で1億円の増収を見込んでいるが、これは既設棟の保管能力アップ分は含んでいない。顧客と当社の双方へメリットをもたらすのが今回の増設。

 ――3号棟の特徴は。
 野口 主目的がアイスクリームの仕分け場としての機能なので、仕分け作業の高効率化が最大の眼目。長いスパン(57.5m×40.5m)工法を採用し、仕分室の柱をなくし、マテハンのレイアウトが自由にできるように配慮した。

地球にやさしい自然冷媒を使用

 ――省エネや環境対策は。
 野口 仕分け室マイナス27度、出荷室マイナス20度を維持するために、防熱効果内防熱の外側施工(ノーシール)を採用し、高防熱化を図った。出荷室には中型車専用の防熱扉を採用し、冷気の漏れを最小限にとどめた。環境対策としては、地球にやさしく、しかも高効率の自然冷媒システムの冷凍機を採用した。
 さらにいわゆる食品テロ対策として、監視カメラシステムを採用し、「見える化」で食の安全確保を図ったことも特徴といえる。

 ――船橋周辺の道路事情も将来、飛躍的に改善されると見込まれる。
 野口 東京外かく環状道路や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の延伸、これに伴う高谷ジャンクション(市川市)、さらに東関東自動車道路の谷津船橋インターチェンジの開設などが予定されており、これらはいずれも船橋物流センターのアクセス向上に寄与する。コンビニエンスストアの店舗がどこまで増えるかは別として、アクセスの充実によって扱える荷物の量は確実に増える。特に今後は多品種少量型の物流にシフトしていくことが想定され、保管型から配送型に主流が移る中にあって、こうしたインフラ整備は当社及び船橋の冷蔵倉庫群にとって追い風となるだろう。

 ――今回は船橋での増設となったが、現在、全体で保管能力は約7万4400t。これから新たな地へ進出する考えは。
 野口 船橋は別として、平和島や豊海は地区全体の再開発になるのかという問題にかかわってくるので、当社だけの判断で計画することはできない。
 ただ、船橋はやや先の話ではあるが、1号棟、2号棟の建て替え時期に、新設した3号棟も合わせてスクラップ&ビルドすることになるはず。船橋の湾岸地区におけるアクセスも格段に進歩しているだろうから楽しみでもある。保管能力5万tに及ぶ東京豊海冷蔵・船橋物流センターの新しい姿が、そこに描かれることになろう。

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