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業界交差点

この人に聞きたい:第246回
(週刊水産タイムス:10/06/28号)

蒲鉾は日本の知恵を練った味

全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会 会長  小谷 公穂氏

 

先人の偉業を振り返り、未来を拓く

 全蒲連の小谷公穂会長は全蒲連が創立70周年を迎えるにあたりインタビューに応え「先人の皆さんが多彩な事業を展開し、水産ねり業界を発展させてきた。特に戦後から60回の長きにわたり毎年開催した全国蒲鉾品評会は製品の開発、消費啓蒙で大きな成果を挙げた。しかし、昭和50年代に100万tあった蒲鉾水産ねり製品の生産はその後、数量を落とし、蒲鉾業界も縮小したことから、蒲鉾品評会については3年前から新しいスタイルに変え、今後とも発展させていきたい。また、全蒲連の会員では、大中小の規模があり、これらの会員の利益を最大公約数として、業界がパワーアップする方策をとっていきたい。このテーマでは、子供達にアプローチしていきたい」とした。

蒲鉾品評会で技術を研鑽
組織強化と発展を図る
 ――70周年おめでとうございます。まず、70周年にあたり、感想をお聞かせください。 
 小谷 ここまで先輩の皆さん方が、いろいろ多彩な事業を続けてこられた努力に敬意を表したい。また、蒲鉾業界もたいしたものだと、と改めて誇りを持っています。

 ――これまでの事業は、どのようなものですか。
 小谷 一番は品評会事業があります。戦後から大阪大会までの60回にわたり、消費拡大と製品の開発、技術の研さん啓蒙の場として、これだけ長きにわたって行われてきたことは偉業であると思います。
 しかし、蒲鉾品評会は、残念ながら60回の大阪大会をもって終了させています。これは昭和50年代の生産量100万tを誇った時代から今の60万tと減少し、さらに蒲鉾業者数自体も減っており、蒲鉾業界全体の力を集約する力が弱っていることも事実です。新たなスタイルとして、今年で3回目となった新生品評会ではありますが、この灯を消すことができないと思います。

 ――歴代の会長との思いもあると存じますが、いかがでしょうか。
 小谷 本来、ご指導をいただかなければならないのですが、歴代の会長がすべて他界していることがとても残念です。特に金子喬一前会長がおられず、さみしい限りです。
 金子前会長は、特に若手経営者の青年部である全蒲青活動に熱心で、これが全蒲連の組織強化と発展に寄与されています。また、大阪蒲鉾組合長でもあった東野義次・元会長には、若い頃に薫陶をうけたことから想い出深いです。東野会長は軽妙酒脱というのでしょうか、すべてのことを腹に入れて、皆さんに事を任せて、うまく采配をされ指導力を発揮されていました。
 歴代会長では、私の祖父の小谷権六、次が塩家好一さん、鈴木廣吉さん、谷川豊さん、東野義次さん、金子喬一さん、そして私で7代目となります。

 ――全蒲連の特筆として、業界のまとまりが非常に良く、結束力があり、他の業界団体が羨むほどですね。
 小谷 全蒲連の若手経営者で組織する青年部、全国蒲鉾青年協議会があります。全蒲青では、鈴廣蒲鉾の鈴木昭三初代会長と金子会長が創立されたといっても過言ではないと思います。
 いまや全蒲連の役員、執行部のほとんどが全蒲連のOBの方で構成されている。全蒲連の活動の準備期間として、組織を作っていただいたといえます。
 わかりやすい大会テーマを作っていただいた記憶があり、それが皆さんを集約し、求心力を強くしたと思っています。全蒲青の機関誌が「交流」となっていますが、全蒲青の若いパワーや活動というものが、全蒲連に大きく貢献しているのではないでしょうか。

地域食品産業をリード
メリハリをつけ次世代に繋ぐ
 ――日本の食品産業を取り巻く環境は、人口の減少であったり、少子化であったり、市場規模のダウンサイジングが起こっています。
 一方、地域産業や経済の担い手である伝統食品産業をどのように維持、発展させていくかという課題もあります。
 小谷 その時々の判断が難しくなっています。経済が発展した右肩上がりであれば、作れば売れる状況でしたが、価格で対応していかなければ、生産設備の効率化が図れないといったことが起こります。また、地域で従来からのお客さまを囲い込みながら、しっかりとした商売をしていかなければならない。
 非常にメリハリをつけていかなければ段々と商売が難しくなっています。
 それぞれの会社の強みを生かしながら、判断していかなければならず、厳しい環境に取り組んでいかなければならないと思います。蒲鉾は日本の知恵を練った味という言葉がありますが、まさに知恵を要求される時代ではないでしょうか。
 根本的には商品というものを考えていかなければなりません。また、業界で後に続く人達がいるのだから、次に進むべき方向性を示しておかなければならないと思います。

 ――蒲鉾メーカーは、地域における中小零細の食品企業であります。大手企業であれば、大きな資本を投じたマーケティング活動ができますが、中小零細企業のマーケティングの基本は、お金を掛けずに行う、知人、友人、地縁などによる同志型で展開することだと言われています。
 小谷 蒲鉾業界では、各地域で活発なマーケティング活動を行っています。
 今回、沖縄の70周年大会で配布する小冊子の中にも各地で行っているイベントと協調した活動の内容を紹介しています。
 今のデフレ経済の中で価格がどんどん下がっており、一部では作れば作るほど損をする状況となっています。そうした時代だからこそ、しっかりとした製品、価値のある製品を作らなくてはいけないと思います。
 すでに蒲鉾メーカーの各会員では、それぞれの地域との結び付きをしっかりと持っておられますが、さらにこれまで培った技術やノウハウなど強みを発揮し、伝統食品企業として発展していかなければならないと考えています。

子供達へのアプローチ
業界への効果、最大公約数で取り組み
 小谷 また、少子高齢化への対応は、しっかりと押さえておかなければなりません。将来の消費者である子供さん達に、これまではあまり踏み込んだ対応をしていなかったと思います。
 これまでは、全蒲連のキャラクターとして、カマピーやチックルの着ぐるみ人形を青年部が作ったりしています。
 これに加えて、もっと身近に子供さん達に力点を入れて、やっていかなければなりません。全蒲連は、大中小の企業が集まって組織されている組織でありますので、大きい企業にだけ焦点を当てるわけにはいきません。中も小も零細もあるわけで、何がを最大公約数として、業界全体への効果として出てくるかを考えなければなりません。
 全蒲連は、それぞれの会社が地域での強みを発揮し、切磋琢磨できるお手伝いをすることであると思います。
 大阪でも組合員が共有できる大阪ブランドを作り、同業者が協力して取り組めるような仕組みを組合長が知恵を出しているところです。
 
 ――国際化という視点から見ると、中国の経済成長に伴い中国や東南アジアからの観光客が年々増えており、これらを対象としたお土産商品の可能性や取り組みがあってもよいと思います。いかがでしょうか。
 小谷 ここ大阪でも台湾、中国、東南アジアの外国人観光客が多いですね。
 こうした外国人観光客を対象としたお土産商品、イベント商品の切り口が出てくる場面があると思います。
 
 ――チャネル販売から見ると、蒲鉾会社は自分の得意分野に固執していて、あまり新たな販売チャネルには取り組んでいるとは言い難いようですが。
 小谷 はじめから諦める必要はないのです。いろいろと考えてやってみることが必要です。海外では水産食品は、これからの食品であるとして理解されていますが、日本人は今まで当たり前のように身の回りにあったので、気がつかない面があります。変化を持たせることが必要です。
 
 ――全蒲連では蒲鉾・水産ねり製品の健康機能面に注目された研究にも取り組まれ成果を明らかにしています。そうした健康面の訴求に加え、これからの食品ではクローズアップしている地球環境からフードマイレージなども関心が高まっており、地産地消が好まれます。さらに肉を生産するには大量の穀物や水やエネルギーが必要ですが、これに対して水産物はエコで環境に優しい食品であるとされます。環境面からみても蒲鉾は優れた食品であると言えます。
 小谷 地産地消の取り組みとして水産庁から補助金を貰ってやっている未利用魚のスリ身化など、いまの時代のテーマである資源の有効利用の取り組みが出来る業界であると思います。
 欧米では環境への配慮を謳った商品が少し価格が高くても売れているようです。これは子供のころから環境教育をしている結果であると聞いています。我々も環境への動きには、注意を払っていきたいと思います。
 
 ――蒲鉾業界の最大の関心は原料問題ですね。原料確保の取り組みはいかがでしょうか。
 小谷 天然資源には限りがあるので、養殖された原料ということもあるのでしょうが、養殖するにはそれなりの飼料とか、環境問題があります。
 今のところ我々が使用している原料は天然資源の魚を原料にしています。資源が持続的に再生可能な使い方を考え、限られた資源を余すことなく有効に利用して製品を作っていくかということであると思います。
 また、サンマなどの新しいスリ身化の技術開発も行われておりますので、我々が持っている魚肉加工技術をさらに研さんして、新しいスリ身を使いこなせるようにしていかなければなりません。さらに変化する食生活に合わせた商品形態にしていかなければなりません。我々に課せられている大きなテーマです。これは地域においても産業においても課題です。
 
 ――最後になりますが、食料や食品の自給率の問題もクローズアップされています。食料原料だけではなく、これらから国内加工する食品産業の自給率が今後大きく注目されると思います。
 小谷 そうした観点からすると蒲鉾は純国産であります。蒲鉾製品はまさに国内産100%です。この加工食品であっても自給率はあるのだという観点からのアピールや意義については足りなかったと思いますが、蒲鉾おいしさ委員会の中での活動や東京水産振興協会が作成した蒲鉾のDVDの内容でも取り上げています。

 ――最後に今後の活動にむけて一言、お願いします。
 小谷 伝統食品で機能的よさについての特徴も発見されるように消費者向けのツールを用意して、啓蒙活動をより積極的に展開し、蒲鉾の持つ価値を伝える取り組みを進めていきたいと思います。

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