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業界交差点

この人に聞きたい:第281回
(週刊水産タイムス:11/03/07号)

加工食品・水産・低温物流とも安定

(株)ニチレイ 代表取締役社長  村井 利彰氏

 

営業利益は今期170億円前後に

 第3四半期の業績が明らかになり、今期もほぼ決してきた。ニチレイは中期経営3カ年計画「energy2012」の初年度だが、ここ数年、大手水産4社の中で最も安定感がある。このほど低温物流事業で川崎市に最新鋭の大型物流センターが竣工・稼働したこともあり、ニチレイロジグループ本社の社長も兼務する村井利彰社長に近況を聞いた。(本紙社長・越川宏昭)

 ――第3四半期を終えた段階で営業利益は前年比13%増の151億円。まずまずのペースだったのでは。
 村井 営業利益の通期目標170億円は余裕をもって達成できると思ったが、年明けから原料が高騰し、加工食品事業の利益を圧迫している。販売状況はそれほど悪くないのだが、損益面への影響が大きい。水産事業はもともと1〜3月は荷動きが少ない時期。低温物流事業も一生懸命に荷を集めているものの、在庫がたまらない状態。結果として170億円に届くかどうかという状況だ。

 ――余裕しゃくしゃくかと思ったら、そうでもない。いち早く“勝利宣言”が聞けると思ったのだが。
 村井 営業利益はもともと165億円をメドにしていたので、中計の初年度としては各事業とも好スタートが切れたと言っていい。今期は心配していた加工食品事業が大きく回復、水産も黒字基調が完全に定着した。ニチレイフーズ、ニチレイフレッシュの2社は新社長にバトンタッチされるが、ニチレイフーズの相馬義比古社長、ニチレイフレッシュの長谷川寿社長とも花道を飾れたのではないか。

 ――大幅な人事であり、しかも若くして退く印象だ。業界に「何故」という声もなくはない。
 村井 結論から言えば「若返り」。50代の半ばで社長となり、60歳をメドに後進に道を譲るのがニチレイの伝統。私が社長になったのも52歳。金田幸三、手島忠、浦野光人(現代表取締役会長)の歴代社長もそうだった。

東扇島に追加投資も

 ――しかも村井さんはニチレイの社長になる以前にロジグループの社長を務めていた。
 村井 2005年に社長になったので、もう6〜7年経つが、冷蔵倉庫の場合はスクラップ&ビルドを伴う設備産業なので、投資を決めてから完成するまでに時間を有する。他の事業より長いスパンで見る必要がある。
 
 ――ニチレイロジグループで東扇島物流センターが完成した。車で湾岸道を通ることがあるが、夜はLEDで照らされた「ニチレイロジグループ」のロゴが鮮やかに光り、幻想的なイメージすら感じられる。
 村井 外観も話題になっているが、構造・施設の面でもニチレイロジグループの技術・ノウハウ・機能を結集した。食品工場並みのフードディフェンス、広い荷捌きスペース、解凍機能や加工機能、さらに陽圧設定など、環境対策も含め、でき得る限りの機能を備えた。冷蔵倉庫では初の本格的な免震構造にしたのも特徴。

 ――既に荷主の引き合いが強く、早くも満庫の見込みとか。
 村井 嬉しい誤算。川崎市から土地を借り受ける際には、1万2000坪もあり、広すぎると思ったが、今となれば決断して良かった。既に営業面で非常に強い手応えを実感している。同規模の冷蔵庫棟をもう1棟建てられるスペースがあり、年内に第二センターの着工に踏み切るつもりだ。

設備投資と人材育成
 
 ――ビジネスである以上、潮目を読むことが大切。
 村井 お客様にせっかく関心を持っていただいているのに「既存の施設が軌道に乗ってから」とか「3年後に」などと言っていたら商機を逸する。資材の価格も上がってきており、この機会に第二センターも作るべきと判断した。2つを合わせれば8万5000〜8万6000t。船橋に経年化しているセンターがあることも念頭に入れれば第二の建設は早いに越したことはない。ウチがやらなければ他社がやるだけの話だ。

 ――加工食品事業でもタイのチキン工場の建設も半端な規模の投資額(70億〜80億円)ではない。
 村井 将来が楽しみ、そういうものを持たないとモチベーションも上がってこない。「食用油が上がります」、「安売り合戦は続いています」だけでは仕方がない。幸い、低温物流事業が順調に推移し、水産も黒字体質が定着してきた。コアの加工食品事業が回復してきたことも勝算が見込める分野への設備投資を可能にしている。

 ――まさに勝負の時だ。
 村井 タイのチキン事業は、世界の食料危機が懸念される中で、日本はもちろんタイ国内、さらに東南アジア全域、欧州まで視野に入れることができる。タイから物を見た方が世界観に立ちやすい。ヨーロッパにはニチレイグループの物流機能もある。

 ――設備投資に積極的であり、腹もくくっている。
 村井 今年度の投資額は加工食品事業と低温物流事業を合わせて約220億円。今は前中計での投資の成果を示す必要がある。中計の最終年度である2012年度は営業利益を188億円に目標設定した。それをクリアすれば、また、次の成長に向けた投資を行う。その繰り返しだ。

 ――低温物流事業でも新たな投資案件が出てくる。
 村井 国内だけで130万t、海外の50万tを含めれば180万tあり、実際にスクラップ&ビルドはやってもやっても追いつかない。しかも今後はますます物流品質が問われる時代になる。一定のスタンダードを兼ね備えていれば、あとは価格競争という考え方もあるだろうが、むしろ物流品質によって淘汰されていくと考えるべき。

 ――確かに40年前の冷蔵倉庫と最新設備を兼ね備えた物流センターが同じ保管料金ではおかしい。
 村井 多様化する顧客のニーズにきめ細かく対応できる企業が最終的に生き残ると思っている。今の設備投資や人材育成もそういう考えをもとに取り組んでいる。

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