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この人に聞きたい:第309回
(週刊水産タイムス:11/09/26号)

「調達力の強化、収益体質へ挑戦」、マルハニチロ魚栄会で

マルハニチロ水産 代表取締役社長  伊藤 滋氏

 

 マルハニチロ水産の伊藤滋社長は21日、都内で開かれたマルハニチロ魚栄会(東日本地区)で挨拶し、今期の動向や今後の事業展開について次のように語った。
 
 マルハニチログループの前3月期決算は最終損益で約43億円の震災関連特損を計上したが、当期純利益は前年を上回る36億円となった。営業利益、経常利益はそれぞれ174億円、151億円と、統合後最高益を上げることができた。特に2009年度に大きく落ち込んだ水産セグメントは、収益力の改善に向かってグループを挙げて取り組んだ結果、大幅な増益となりV字回復を果たした。一方の食品セグメントは震災の影響で減益とは言え、統合効果をしっかりと生かし安定収益をコンスタントに上げられるセグメントとして育ってきた。
 本年度の第1四半期も前期に続き順調に推移している。特に水産セグメントは塩干品を中心とした冷凍物に活発な引き合いがあり、全体的に震災特需が起こっている。第2四半期に入り高値圏の魚種の動きにやや陰りが見られるが、全体的に冷凍物は順調で、鮮魚はやや苦戦といった状況。今後は、海外浜値の急騰と超円高といった要因が、どこまで国内消費と価格に影響するかが最大のポイント。現時点では年間計画、売上高8244億円、営業利益140億円に向かって、順調に業績を積み重ねている。

世界の水産物流通が大きく変化

 世界経済の混乱と、一方的な日本の超円高は、世界市場で戦う日本の輸出企業にとって、その採算が限界に近づいている。国内生産に見切りをつけ、海外に拠点を移転する動きが加速することで今後、国内雇用に大きな打撃となってくる。米国をはじめとする世界各国により拠出された大量資金は、今や行き先を定めないホームレスマネーとなり、為替をはじめ、あらゆる投機市場に影響を与えている。特に、油・食料をはじめとする世界の商品市況は高騰を続けており、地球的規模で大きな影響を受けている。水産物も経済新興国、資源保有国の需要の増加要因も加わり、流れは大きく変わってきている。
 従来、何と言っても日本が水産物の最大のマーケットであり、デフレ経済の中で“買い負け”といった表現が使われても一定レベルの数量を確保できたが、年を追うごとに水産物の確保は厳しい状況。最近は、価格形成で欧米市場、中国をはじめとする経済新興国、さらに魚種によっては中近東やアフリカ市場を中心として価格がまず決定され、日本市場へは他市場の価格で買えるかどうかといった対応となるケースが多くなっている。水産物の世界市場で、従来の流通が根本から変わるパラダイムシフトが起こってきている。
 特にリーマンショック以後、いち早く立ち直った中国・インド・ブラジルをはじめとする経済新興国、また、高騰する各種資源をもつ中近東・アフリカ諸国への水産物の流れは加速するばかりで、一方の日本は、昨年度は円高基調に支えられ何とか持ちこたえたが、本年度はあらゆる魚種において我々の常識を超える浜値、高いレベルでの魚価が形成される状況が生まれてきており、史上最高レベルの超円高で一部相殺されたとしても、大変高いコストの魚価となってきている。

水産物の適正価格と加工品の強化図る

 水産物消費の減少傾向、デフレ経済下、未だ価格訴求のみが相変わらず続く日本市場において、どこまで受入られていくのか、大変厳しい状況。我々の今後3〜4年の対応によっては、主要な魚が日本の食卓から半減する時代が来ることが現実になってきたと大変な危機感を持つ。このような世界的規模での水産物の資源高と、国内におけるデフレ経済と魚介類消費の減少といった厳しい現実に対して、我々はもっと危機感を持って立ち向かう必要がある。具体的には、▽魚の価値と適正価格▽水産加工品分野の強化▽安売り競争に巻き込まれない強い意志▽食育への取り組み――の4点である。
 当社は本年度より統合後2回目の中期経営計画の時期に入る。現在、震災の影響を加味した最終案を作成中で、経営目標含めその内容は本年度中に発表する。水産セグメントの基本方針は既に『更なる成長のための調達力の強化と、収益体質強化への挑戦』と決定している。

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