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業界交差点

この人に聞きたい:第322回
(週刊冷食タイムス:12/01/01号)

裾野の拡大今年も

日本冷凍食品協会 会長  浦野 光人氏

 

「意外とスゴイ」を訴求

 平成24年を迎えるに当たり、新年の御挨拶を申し上げます。
 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様、また原発事故による放射能汚染の問題で、直接、間接に影響を受けておられる皆様に改めてお見舞い申し上げます。
 当協会会員企業におかれても、地震や津波によって多数の工場、事務所などが甚大な被害を受け、重ねてお見舞い申し上げます。
 東日本大震災によって、日本経済は工場施設の被害、サプライチェーンの寸断などによって大幅に生産活動が低下しました。当初は被災地への支援も十分対応できない状況でしたが、国民の努力で次第に回復してきたものの、原発事故による電力供給量の減少が産業活動の制約となりました。また、原発事故がもたらした放射性物質の問題は、農林水産物の出荷制限にまで発展し、風評被害を伴って国内の食料供給体制に不安を残しています。政府は3度の補正予算を編成して震災の復旧復興対策を進めていますが、そのスピードは緩慢であり、震災地域での再生は未だ至らずといった状況です。
 こうした中で、民間企業の素早い復旧対応、サプライチェーンの回復などもあって、日本経済全体としては上向きになりつつあります。生産は緩やかに持ち直しており、雇用情勢も厳しいながら持ち直しの動きが見られ、個人消費も落ち込みが小さく横ばい程度で推移しています。
 しかし、欧州の政府債務危機などを背景とした海外景気の下振れや急激な円高に加え、タイの洪水の影響もあり、先行き不透明感が増しています。また、穀物等の国際価格を見ると、22年夏以降、ロシアの穀物輸出禁止措置、米国での不作懸念から大幅に上昇し、最近になってやや落ち着いてきましたが、依然として高水準です。高騰した輸入原材料価格は、円高によって多少緩和されたものの、食品産業の原材料コストは着実に上昇しています。一方、国内の食料品価格は、デフレ基調が継続している中で、コスト上昇分がほとんど転嫁できていない状況です。
 冷凍食品についてみますと、東日本大震災で当協会会員企業も大きな被害を受けました。40を超える冷凍食品認定工場が全壊に近い被害となり、再建を断念された企業も多くあります。また、交通網の寸断、一部の原材料や包材の不足などに加え、電力供給の制限もあり、生産活動は大変な混乱を来しましたが、各社の懸命な努力で、冷凍食品全体の安定供給に支障が生じることはありませんでした。今回の大震災で、国民に食料を安定的に供給するという食品メーカーの重要な役割を再認識した次第です。
 冷凍食品の需要動向については、22年秋以降、テレビの情報娯楽番組で冷凍食品が何度も取り上げられ、一般家庭での冷凍食品の注目度が大きく上がりました。また、東日本大震災以降、日本人のライフスタイルに変化が生じ、家庭回帰傾向が強まる中で、いわゆる内食志向が高まりました。そのため、家庭用冷凍食品が堅調に推移したほか、中食向けの需要も好調でした。一方、外食産業は厳しい状況が続いており、外食向けの需要は減少傾向となりました。このような需要変化の背景には、従来、冷凍食品には馴染みの薄かった生活者が冷凍食品を利用してみて、そのおいしさや優れた特性に気付き、リピーターとして購入いただいたことが大きい要因であるとみられます。当協会が、男性やシニア層に重点を置いて、「意外とスゴイ、冷凍食品」を訴求してきたことも一因になったと思います。本年も、このような方向で冷凍食品の素晴らしさを訴求し、裾野の拡大に努めます。
 21年4月に「新冷凍食品認定制度」に移行して3年近く経ち、この間の検査実績等を踏まえ、基準や運用条件を見直しました。さらに、将来の制度の在り方を検討し、認定工場の品質・衛生管理水準の向上に努めます。
 また、原発事故による放射性物質の問題で、様々な誤解や先入観から風評被害が広がっていますが、政府には、過剰な規制措置を取らないことや風評被害の防止に努めていただきたいと思います。当協会としても、引き続き食の安全に関する科学的な考え方の啓発に努めます。さらに、消費者庁では、食品表示の一元化に向けた検討が始まり、栄養成分表示や加工食品の原料原産地表示問題などが取り上げられていますが、一部の過激な主張にひきずられず、国際基準に沿って経済実態に合わせた方向性を期待するものです。環境問題では、容器包装リサイクル法の見直しが始まっていますが、将来のエネルギー政策との関連に留意することが必要です。
 このほかにも様々な課題がありますが、当協会の関係部会・研究会が課題を先取りして対応し、冷凍食品業界の発展につなげていくことを目指します。
 会員各位を初め、冷凍食品に関係する皆様にとりまして、本年が素晴らしい年になることを祈念し、新年の御挨拶といたします。

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