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この人に聞きたい:第413回
(週刊水産タイムス:13/10/21号)

26年度の水産基盤整備事業、国土強靭化・防災減災対策に注力

水産庁 漁港漁場整備部 部長  宇賀神 義宣氏

 

東日本大震災の教訓生かす

 平成26年度の水産予算概算要求額は2248億8900万円となり、そのうち水産基盤整備事業については845億600万円(対前年比117.1%)を要求。水産物の輸出拡大をめざし流通拠点漁港における高度衛生管理等の対策や、国土強靱化に資するための漁港施設の防災・減災対策、長寿命化対策に重点的に配分している。また、防災・減災対策は事業内容を拡充している。詳細と重点について水産庁の宇賀神部長に聞いた。

 ――重点ポイントとして@国土強靭化・防災減災対策の推進A流通拠点漁港における衛生管理対策の推進B水産環境整備による水産資源回復対策の推進――を3本柱に掲げている。
 宇賀神 第一に、なんといっても国土強靭化対策を早急に進めていかなくてはならない。東日本大震災の様々な教訓を生かし、全国、特に南海トラフなど近い将来に大規模津波の発生が確実視されている地域の漁港・漁村の防災・減災対策が非常に重要であると考えている。その際に“粘り強い施設”や“多重防護”といった新しい考えを積極的に取り入れていきたい。

 “粘り強い施設”とは、東日本大震災のような大規模津波の発生時に、すぐ壊れてしまうのではなく、じわじわと壊れていくように補強したもの。100年に1回程度の津波を超える津波が来てもある程度耐えうる構造上の工夫が必要。

 “多重防護”は、これまでは防潮堤を漁港の背後に設けることで漁村への津波侵入を防いでいたが、それだけではなく、漁港にある防波堤と組み合わせることでより効果的に防災・減災対策を図ろうというもの。

 ――漁港施設の長寿命化も国土強靭化対策の項目として挙げられている。
 宇賀神 昭和25年に漁港法が成立し、昭和26年から施設整備が本格化してから60年以上が経過しており、10兆円を超える漁港資産がある。こういった老朽化した施設を、壊れてから直すのではなく、あらかじめ危ない部分を補修していくことで長寿命化を図る。

 ――東日本大震災以来、防災減災対策の推進は大きなテーマ。
 宇賀神 国会で国土強靭化基本法案や南海トラフの特別措置法などが与党から提出されており、防災減災対策は非常に重要な項目となっているところ。まずは今ある施設の安全性をしっかりチェックする必要があり、24年度の大型補正予算から点検を始めている。防波堤や岸壁の、補修の必要性を見極めて、必要なところは順次計画を実行していく。その際に、“粘り強い構造”の施設や“多重防護”の考えを取り入れていく。また、施設の長寿命化対策についても、着実に進めていく。

 ――二本目の柱である衛生管理対策について。
 宇賀神 消費拡大が求められる中、輸出の促進が課題となっているが、それには安全安心な水産物を産地から送り出す必要がある。鳥獣対策を施した陸揚岸壁や、密閉型構造の荷捌き所の整備に取り組むことで、国内はもちろん、輸出の促進も兼ねた衛生管理型漁港を推進する。最近では愛媛県の八幡浜漁港と島根県の和江漁港の整備が完了したところ。

 漁業者の収入アップは大きな課題となっており、そのためにも六次産業化や輸出促進が重要となっている。六次産業化にあたっては産地で加工・流通を担ってもらう必要がある。衛生管理型施設の果たす役割は大きく、力を入れて取り組む。

 ――水産資源の回復対策について。
 宇賀神 依然として水産資源の4割が低位水準にあり、藻場・干潟も減少している。そこで、生物の生活史に合わせたライフステージを調査し、小さい時には藻場、大きくなったら魚礁といった総合的な漁場づくりを推進する。現在7地区で広域的な資源管理をめざしたマスタープランを作成して取り組んでいるところであり、今後も対象地区を増やしていきたい。

 国直轄のフロンティア漁場整備事業については、ズワイガニ、アカガレイに始まり、五島での湧昇流マウンド礁の整備に取り組んでおり、今年から隠岐海峡でも事業をスタートさせた。これらに力を注ぐことで、日本の排他的経済水域の有効利用をさらに進めていきたい。

災害に強い漁業地域づくりを

 ――3つの事業を拡充して要求している。
 宇賀神 一つは災害に強い漁業地域づくり事業を拡充した。事業体系を整理するとともに、対象事業に水産物供給基盤機能保全事業と漁港施設機能強化事業の2つを追加している。さらに、漁港・漁村・海岸施設の安全度評価や、施設の防災減災検討調査などを調査計画事業に位置付けた。法律が別なために事業建ても別となっている漁港・漁村・海岸事業を、総合的に検討、調査、計画して防災減災対策を進めたい。

 ――漁港施設機能強化事業も拡充となっている。
 宇賀神 採択基準を拡大している。現行では、機能診断調査と機能強化工事が5000万円以上の事業でないと採択されなかった。今回、機能診断調査が2000万円以上、機能強化工事が5000万円以上と、それぞれに必要な事業費要件を設定して適正化を図るようにする。まず、防波堤や岸壁が安全かどうかを診断し、その上で危ないとなれば機能強化に取り組む。

 拡充事業の3つめは、水産物供給基盤機能保全事業。これは古くなった施設を補修し、寿命を延ばすというもの。現行の補助対象施設に、水域施設、漁港浄化施設、廃油処理施設、漁獲物の処理、保蔵及び加工施設を追加する。例えば水域施設(航路)では、道流堤の劣化やブロックの散乱、航路護岸のひび割れなどが見られる漁港があり、補修を必要としている。

 ――ソフトとハードの連携が求められている。
 宇賀神 非公共事業の水産多面的機能発揮対策は、すでに全国で900地区が実施することになっている。例えば公共事業で造った藻場を漁業者らに管理してもらうなど、公共事業とうまく連携しながら取り組んでいく。

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