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この人に聞きたい:第446回
(週刊水産タイムス:14/06/23号)

会社更生手続き5年前倒し終結

(株)三保造船所 代表取締役社長  三澤 俊彦氏

(みさわ・としひこ)昭和21年生まれ。横浜国立大学造船工学科卒。船舶の設計一筋に生き、取締役、常務を経て平成20年9月から社長。

 世界文化遺産に登録された全国屈指の名勝地・三保の松原(静岡市清水区)。その三保半島の一角に専業造船所として90余年の歴史を持つ。時代の波に対応しながら成長を続けてきたが、平成8年、造船不況で倒産。会社更生手続き開始を申し立て、人員整理、給与カット、血のにじむような事業改革の末、今年3月24日、債務を一括して繰り上げ弁済。会社更生手続きが5年前倒しで終結した。

 ――悲願だった「普通の会社」に戻れた。
 三澤 今はようやく肩の荷が下りた気持ちでいるが、当時の負債総額は約120億円。どこに出口があるのか分からなかった。破産を回避するために、273人の全従業員が解雇され、希望した147人が再雇用された。従業員は賃金カット、ボーナスカットなどの痛みに耐えながらも一生懸命に働いた。

 事業管財人から社長となり、今日の再建を導いて下さった森谷智氏が昨年3月に亡くなり、生前に報告できなかったのが何よりも無念。この日のことを、きっと誰よりも喜んでいただいていると思う。

 ――平成8年の会社更生手続き開始申し立てから18年。この間の苦労は、一言では言い表せないような並々ならぬものがあったと思うが。
 三澤 再建当初は森谷氏のリーダーシップで漁船建造や修理に経営資源を集中。木嶋武郎会長や私たちのように、学生が大量入社した「花の昭和45年組」が一生懸命、若い力を結集し、全国の船主に働きかけていった。

 ――長きにわたる苦闘期間だった。
 三澤 M&A(合併・買収)とか、他からスポンサーがきたわけでなく、あくまでプロパー(生え抜き)による自主再建だったから、大変なことは大変だった。ただ木嶋会長や私も含め、現在の役員も45年組で非常に気心が知れた関係だったから、皆で力を合わせて再建に向かうという意味では良かった。

 確かに大変な時期ではあったが、その間、日本の漁船史に残るような船も沢山造らせていただいたし、「いい仕事」ができた時期でもあった。「漁船漁業の灯を消してはならない」という我々の熱い思いが、きっと金融機関にも通じたのだと思う。

 ――前倒しで終結できたのは何より。これからは三保造船所の新しい時代がはじまる。
 三澤 更生会社という「重し」がなくなり、これからは官公庁船の入札にも参加しやすくなる。これまで三保造船所を信頼してくださった全国の船主の皆様のご恩に報いていきたい。

 また、建造船舶の種類も漁船を主軸に、官庁船(調査船・実習船・取締船等)、貨物船、特殊船を手がけるなどその領域を広げていく。国内はもちろん、海外にも積極的に展開していけたらと思っている。

 ――ところで昨年建造した国内初の欧州型遠洋トロール漁船「第五十一開洋丸」(605t)が「シップ・オブ・イヤー2013」漁船・作業船部門賞をこのほど受賞した。
 三澤 東日本大震災で流出した開洋漁業(青森県八戸市)所属の第5天州丸の代船として建造された。

 国などの支援を受け、八戸機船漁協組合が当社で建造。開洋漁業がリースを受けて操業している。最新の機材を採用して、漁労・加工効率の向上と労働環境の改善を実現した点が評価された。大賞の大型貨物船、他の部門賞とともに7月30日、東京・千代田区平河町の海運クラブで表彰式に臨む。

 ――再建後、幸先のいい話だ。
 三澤 日本トロール底魚協会(東京、吉田光徳会長)とともに立案した操業計画をもとに、国の助成制度「がんばる漁業復興支援事業」を活用し、採算性を実証しながら操業している。先進する北欧型漁船を模範とし、最新の漁労機器の導入による効率性のアップ、加工場の高度衛生管理と徹底した機械化、安全の向上を図った。

 若者が希望を持てる魅力ある漁業を目指して船員の居住性も格段に向上させるなど「次世代型漁船」として注目を集めている。今後も、世界の冠たる日本造船産業の一翼を担って躍進を続け、社会に貢献していきたい。

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