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この人に聞きたい:第453回
(週刊水産タイムス:14/08/11号)

業績回復の水産事業 今後の成長策は?

日本水産(株) 取締役常務執行役員  的埜 明世氏

(まとの・あきよ)昭和28年11月9日生まれ。52年日本水産入社。水産営業部長、横浜通商社長、日水USA社長などを歴任し、現在は取締役常務執行役員、北米事業執行、水産事業執行を兼務。

アクセス強化と価値の最大化を

 前3月期は大幅な業績回復を果たした日本水産の水産事業。前年度の総括と今期の滑り出し、今後の水産事業強化策について、同社の水産事業執行を務める的埜明世取締役常務執行役員に聞いた。

 ――2013年度水産事業は増収増益で着地。特に連結ベースでは前年の営業損失25億円から営業利益50億円へと、75億円もの大幅な改善となった。
 的埜 国内は市況が回復する中、徹底して在庫コントロールに努めた。サケ・マス、エビの販売価格が上昇。一方、海外では不振事業からの撤退や縮小を進め、チリのサケ養殖事業(サルモネス・アンタルティカ社)は魚価回復で収支が大幅に改善した。

 ――事業別にはどうか。
 的埜 南米の漁労事業は再編・撤退で減収となったが、操業の効率化で収支が改善。国内の養殖事業はブリが魚価・数量とも好調だった。チリのサケ・マス養殖は飼料価格の上昇などで原魚コストが上昇したが、魚価の上昇がカバーした。

 ――それにしてもドラスティックな回復だ。
 的埜 2年前はチリギンの大暴落に端を発しサケ全体がおかしくなり、ドミノ倒しのように凍魚類全体に広がっていった。当社も多くの在庫を抱え、対応に苦慮した。「負け戦」が潔くできなかった。昨年は在庫の整理も進み、魚価も堅調に推移。業績が好転したのは同業他社も同じだろう。インポーターは各社とも良かったはず。

 ――第1四半期(4〜6月)の状況は。
 的埜 全体としては悪くない。主力のサケ・マス、スケコ、凍魚類が増収。油飼・ミールもいい。一つだけ減収になったのがエビ。国際相場が上がったわりに、日本のマーケットが緩んでいる。我々もエビは仕入れを保守的にしたし、日本全体の輸入量も減っている。

 ――今期の水産事業の目標は。
 的埜 何よりも収益の安定が第一。一昨年に大損をしたが、今後は市況が悪くても一定の利益を確保できる態勢を整える。

 カテゴリー拡張にも挑戦する。一つは東日本大震災後、三陸から境港にシフトしたサーモン養殖事業。2年間の企業化試験(フィジビリティ)は成功し、品質の評価も上々。今年から「境港サーモン」として立ち上げる。境港でサーモン養殖を行っている弓ヶ浜水産は2014年度に670tを出荷予定。これを再来年の16年度には2000tまで増やす予定。これに伴い比較的大規模な水産加工場を9月に着工し、来年3月完成の予定で建設する。サケの定塩フィレなどのほか、共和水産がまき網で漁獲した鮮魚の加工も手掛ける。境港をニッスイの水産の主要基地の一つにしたい。

 ――カンパチは鹿児島・錦江湾の養殖業者(恵利丸)に資本参加した。
 的埜 ブリ養殖のほか、カンパチにも力を入れる。海外ではチリのSAが養殖イケスの拡張が見込まれており、現在のトラウトから国際的に人気の高いアトランティックサーモンにも魚種を広げたい。グループ会社の共和水産がまき網で漁獲したカツオに付加価値を付ける新たな取り組みも考えている。一方で唐津に新設したマグロの配合飼料工場の生産も軌道に乗ってきた。現在の販売はニッスイグループの西南水産、金子産業だが、今後は外売りにも打って出る。

 ――「成長のための構造改革」にはどう取り組む。
 的埜 水産と食品の有機的な融合を進める。お客様にとっては、業務用も市販用も同じニッスイ。支社での取り組みを強化する。

 また、養殖事業の収益化に向けては、黒瀬ぶりを春に2歳魚として出荷する『黒瀬の若ぶり』が市場に受け入れられており、種苗センターも鹿児島県南九州市に新設した。

 ――海外の取り組みは。
 的埜 東南アジアの生産基地を生かして販売を強化するため、海外販売推進室を新設した。ベトナムのニジコ、ニッスイシンガポール、タイのデルマール、ニッスイタイランド(ハチャイ)のアセアン向け販売に力を入れる。

 ――国内、海外ともに取り組みが多岐にわたる。
 的埜 ニッスイの大目標は決まっている。水産資源へのアクセス強化と、水産資源から多様な価値を創造し続けること。サスティナビリティ(持続的利用)という点でもニッスイは非常に気を使っている。価値の最大化がニッスイの永遠のテーマだ。

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