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業界交差点

この人に聞きたい:第554回
(週刊冷食タイムス:16/09/06号)

全力で改革に取り組む

一般財団法人 日本冷凍食品検査協会 理事長  福間 浩一氏

(ふくま・こういち)昭和55年北大水産学部卒、協会へ。平成12年札幌、14年神戸の所長を経て、17年理事。25年常務理事、26年専務理事、今年6月22日付で現職。昭和30年11月生まれ。

2年内に事業収支をプラスに転換

 6月に専務理事から理事長に就いた。「当協会は今年創立67年の歴史がある試験・検査機関。この重責を全うするよう全力で改革に取り組む」と語る。まずは1〜2年内に事業収支をプラスに転換する考え。

 ――事業内容を分かりやすく表現すると?
 福間 「食の安全・安心をまもる総合食品検査機関」です。大別して試験と検査の2つ。「試験事業」は微生物検査や理化学分析、「検査事業」は食品工場や飲食店の衛生管理指導、HACCPやISOの取得に向けたコンサルティング指導、セミナーなどです。当協会は、北は北海道から南は福岡まで7カ所に事業所があるので、全国展開する飲食チェーン店の対応も可能です。また検査機関の中でも、こうした事業の先駆者的な存在であり、ノウハウも蓄積されています。

 ――厚生労働省が進めるHACCP義務化は追い風?
 福間 中小企業を対象としたHACCP認証の取得は、食品企業によって異なりますが、「やれる部分から始めよう」という流れを感じています。我々は大日本水産会や、いわゆる「地域HACCP」(厚労省とは別のHACCPの考え方を取り入れた自主的な認証制度)の認証取得のお手伝いもしています。中小企業では取得可能なHACCP認証をめざすところもあれば、まずは前提条件の整備から始めるところもあります。東北地区などは東日本大震災後の本格復興というハード面はクリアし、次はソフト面でHACCP導入を検討しているところが増えています。

 ――法人名をみて、冷凍食品に特化した検査機関と捉えられる誤解はないか?
 福間 評議委員会にて来年4月1日付で名称変更する事を決議しました。詳細はまだ公表しておりませんが、法人名から「冷凍」の文字を外します。「冷凍食品専門の検査機関」という誤解も少なくないからです。栄養成分表示する場合、調査機関名を表記するケースが多いのですが、冷凍食品ではない食品に「日本冷凍食品検査協会調べ」と入れるのを敬遠する企業もあります。実際、我々の冷凍食品に関する事業は全体の1割程度。当検査機関を利用していない企業に、改めて認識してもらう必要があります。

 ――人手が潤沢とは言えない中で、どう需要に応える。
 福間 内部の人材を育てることが大切です。実は、HACCPコンサルタント養成プロジェクトと銘打ち、内部で参加者を募って、希望者を対象とした研修も実施しています。受講したからといって、すぐに有資格者になれる訳ではなく、当協会の経験豊富なHACCPトレーナーによる実地教育を受けて合格すれば、コンサルタントとして登録されます。

 ――検査機関の事業環境は厳しくなっていると聞く。
 福間 食品検査機関、とくに登録検査機関は厳しい環境にあります。輸入食品の命令検査が減っているのも一因です。違反事例が減少していること自体は喜ばしいことですが、検査機関としては収入減の大きな要素になっているのも事実です。当協会の場合、輸入食品検査はピークだった平成19年度と比べると、今はその3分の一まで減っています。中国を中心とする輸出国側の衛生管理が整ってきたことを意味する訳です。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が具体的に進めば、関係国間で取り引きされる食品の物量は増えるでしょう。

 ――期待値は大きい。
 福間 その通りですが、実際の需要の大きさはフタを空けてみるまでわかりません。農林水産省が日本復興戦略の中で掲げる「農林水産物・食品の2020年輸出額1兆円」をめざしており、検査のニーズは今後期待できます。ですから、対応のための準備だけはしておく必要があります。関係諸国の制度を調査し、しっかりと情報を集めておかなければ、いざという時に素早い対応はできません。

 ――課題は。
 福間 事業収支プラスの実現です。昨年から経営コンサルタントに入ってもらい、業務改善に取り組んでいます。昨年作った中期計画を微調整しながら、1〜2年内に経営基盤を安定化させる、という課題を掲げています。これは待ったなしの最優先課題。必要のない固定費は削減していきます。

 ――どんな固定費?
 福間 平成14年以降、中国産冷凍ほうれん草の残留農薬問題などの違反事例、ポジティブリスト制度への移行などに伴って検査量が一気に拡大し、少なからぬ設備・機器投資を行っています。また東日本大震災後、放射能汚染問題に絡んで高額な検査装置を導入しました。しばらくは放射能検査の需要が続きましたが、さすがに今は激減しています。こうした使用していない機器を含めた遊休資産の見直しを行い、生産性を上げて行きます。

 ――輸入冷凍野菜品質安全協議会(凍菜協)の事務局は冷検に置いている。
 福間 凍菜協の活動は他にできない意義深いもの。当協会が一緒に組んで、活動を継続していきます。凍菜協の大内山俊樹会長が「(違反事例が減り)安定期に入った」と語っているように、大きな事件や事故は激減しています。ただし凍菜協は問題を起こさないための組織であり、仮に問題が発生した時には迅速なアクションが起こせる状態である必要性があります。

 ――冷検は中国の2検査機関と業務提携して、日中双方のコスト削減に努めている。
 福間 中国の検査機関と長い付き合いを活かして為し得た業務提携です。現地のニーズも汲み上げながら、しっかりと対応していきます。将来を見据えた時、国内事業が拡大する余地よりも、海外の方が大きいと思います。ただ現地進出となれば負担が大きくなるので、最初は分析技術や品質および衛生管理の面で人を派遣して支援することになるでしょう。TPPやその他の貿易の枠組みが出てくる可能性もあり、グローバルスタンダードに準拠した準備が大切です。

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