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業界交差点

この人に聞きたい:第718回
(週刊水産タイムス:20/01/06号)

冷蔵倉庫逼迫の理由、嗜好の変化や貿易協定も影響

(一社)日本冷蔵倉庫協会 理事長  土屋 知省氏

(つちや・ともみ)東大法学部卒。ハーバード大学ケネディ行政大学院卒。在アメリカ合衆国日本大使館で参事官、国交省では自動車局技術安全部管理課長、総合政策局総務課長、鉄道局次長、近畿運輸局長を歴任。

 営業冷蔵倉庫の庫腹が都市部を中心に逼迫(ひっぱく)している。特に年末は「どこもかしこも満庫状態」「チリ銀(チリ産養殖ギンザケ)を入れるスペースがない」といった悲鳴にも近い声が相次いだ。当然、スムーズな入出庫作業にも支障が出る。庫腹がかさむ要因はどこにあるのか。

 10年前と比較すると、営業冷蔵倉庫の庫腹(所管容積)は14%あまり増加した。他方、入庫量は25%増。回転数の高い流通系の影響を除いても、在庫量は21%あまり増加している。これと庫腹の増加率との差が今のようなひっ迫を生んだ。

増大する入庫量

 入庫量をみると、1997〜2007年はバブル崩壊の影響もあり低い伸び率だったが、それ以後、特に10年以降は高い伸び率を示している。
 回転数は、流通倉庫の増加で高まっている。近年はF級(フリーザー)よりもC級(クーラー)の容積が増え、保管用倉庫に比べ、流通倉庫の増加がみられる。
 97〜07年は、入庫量が増加しても回転数の増加で在庫量は減少もしくは停滞した。しかし10年以降は入庫の増加の影響が上回り、在庫量が増加している。

嵩高貨物が主に

 ここ10年の在庫量の増加要因を探るため、入庫量と在庫量の増減における各品目の寄与度(その品目が何%の増減をもたらしたか)を96年〜06年、06年〜16年の各10年の期間で比べた。
 入庫量を見ると、両期間に共通して冷凍水産物が大きく減少し、冷凍食品と農産加工品が伸びていたが、96〜06年では畜産物等が減少したのに対して、06〜16年は増加してきた。
 在庫量で見ると、96〜06年は冷凍食品が伸びる一方、冷凍水産物、畜産物等が減少したが、いずれも影響の幅は1%未満だった。これに対し、06〜16年は冷凍食品が大きな伸びを示すとともに、畜産物・農産物・これらの加工品など多くの品目が増加した。
 以上から推察するに、庫腹逼迫の需要側の要因として、食品嗜好の変化、貿易協定の締結などを受け、冷蔵を要する食材・食品の輸入が増加している。低廉な食材等の確保の努力が在庫量増加を加速した。
 さらに、夫婦共働き家庭の増加などで冷凍食品の消費が拡大した。冷凍食品は比重が小さいため、同じ重量でも容積を必要とする。比重の低下は、重量単位の料金である冷蔵倉庫の採算も悪化させる。貨物の多品種、小ロット化も保管効率の低下を招く。

新設を阻むもの

 以上の長期的な趨勢のほかに、周期的な在庫の増減サイクルの中で山にあることや、短期的な要因として、関税低下を見越した在庫保有などが挙げられる。
 供給側の要因としては、冷蔵倉庫の立地、用地には制約がある。建設には多額の投資を要し、計画・建設には3年〜5年が必要。特に港湾地区には土地がない。
 冷蔵倉庫業界では、資本金3億円以下の中小企業が9割を占める。倉庫の新築等の負担は企業規模に比べて大きい。
 さらに、近年は、建設コストも高騰している。地球環境問題から冷媒をフロンからアンモニア等に自然冷媒に切り替えることが求められており、これも大きな投資負担となっているのが実情である。

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