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業界交差点

この人に聞きたい:第600回
(週刊水産タイムス:17/08/07号)

「好調」を踏襲し「新たな価値」を

日本水産(株) 代表取締役社長執行役員  大木 伸介氏

(おおき・しんすけ)昭和35年1月生まれ、57歳。昭和57年学習院大経済学部卒業後、日本水産入社。家庭用食品部の冷凍食品課長、加工食品課長、常温食品事業部長、営業企画室長などを歴任し、平成22年執行役員、26年取締役、27年取締役常務執行役員。今年6月代表取締役社長執行役員に就任。

ヒット商品、生み出し続ける

 日本水産の第15代社長に大木伸介氏が6月就任した。これまで家庭用食品事業を中心に歩み、細見典男会長が事業推進本部長の時代に営業企画室長としてブレーン役を果たした。50代の若さも大きな武器。復配、過去最高の利益など、好調の流れを踏襲しつつも「新たな価値を加える」と意欲に燃える。

 ――社歴から簡単に教えてほしい。
 大木 1982年に入社。福岡支店でハム・ソーセージ、ねり製品の販売からスタートした。その後、家庭用食品を主体に携わる中で「常に工夫し、変化し続ける」ことを心掛けてきた。

 常温食品を担当していたころ、他ではあまりやってなかったサケびん詰製品に注力。缶詰はタイ産の空缶に切り替えてコスト減少分で内容を充実した。レトルト食品やギフト商品に力を入れたことも含め想定した成果を出すことができた。

 ――細見社長(現会長)から後任を告げられたのは。
 大木 5月の連休明け。とても驚き、自分にできるのかと思ったが、最終的に「とにかく精一杯やろう」と決意した。

 性格的にも決して雄弁な方ではない。むしろ人の話を聞くのが好きで、そうした中から方向性を見出し、皆で進んでいくという形をとっていきたい。

 ――前3月期の結果について。
 大木 営業利益、当期純利益とも増益を確保し、過去最高益を更新できた。いい数字を残せたと思う。ファインケミカル事業は医薬原料における後発品使用促進策の影響を受けて苦戦が続いているが、水産・食品事業が営業利益を伸ばした。株価も概ね右上がりで来ている。

 ――2017年度は中期経営計画「MVIP2017」の最終年に当たる。
 大木 無配が続いた時期があったが、海外の赤字会社の整理などで復配を果たした。細見前社長は、社員全員が何でも言える雰囲気づくりに努めた一方、強いリーダーシップで中期経営計画の実現に取り組んできた。私は、これをしっかりとやり遂げ、今までの流れを踏襲しつつ「新しい価値」を加えていきたい。

 ――各事業の具体的な方針は。
 大木 水産事業は相場に左右されず、安定利益を出し続ける事業構造にする。資源アクセスをさらに強め、価値の最大化を図る。食品はこれまで担当していた分野。変化に対応し、メーカーとして成長する。ファインケミカルは機能性脂質を中心に抜群の存在感を示していく。

 ――今年度の目標は。
 大木 売上高6560億円(2016年度は6359億円)、営業利益240億円(同226億円)、経常利益260億円(同248億円)、当期純利益200億円(同142億円)を計画している。

 水産、食品、ファインケミカルともに増収を計画している。ファインケミカルは工場の増設コストなどが発生するほか、通販事業の広告宣伝費が前倒しになる関係もあり、減益予想になっているが、これは将来の増収に向けた施策。水産・食品は増益の見通しで、全体で増益を見込んでいる。

 ――今後の成長に向けて。
 大木 キーとなるのは4つの取り組み、つまり、@国内人口減少への対応A養殖の高度化B海外市場での成長Cファインケミカル事業の拡大――だ。

 国内の人口減少に対しては、独自技術で新カテゴリーを開発し、差別化することでシェアを伸ばす。水産も今や天然と養殖が半々の時代。養殖も単に育てるだけではなく、おいしさにこだわった技術を磨くことで付加価値を高める。

 海外は、欧州、米国に比べてアジア地域が弱い。海外市場での成長を図るために、アジア地域でニッスイ・ブランドの商品を現地生産・販売していく。ファインケミカルは、鹿島新工場の稼働がもうすぐ。海外販路の拡大につなげる。

 ――食品の商品開発の方向性は。
 大木 新しい商品群の中で販売が好調なのは冷凍食品「かにかまの磯辺揚げ」、日配品売り場向け「太ちくわ」「香味焼 焼ホタテ」、業務用冷食の「グラタン&ドリア」など。

 既存商品ではびん詰「焼さけあらほぐし」や家庭用冷食の「大きな大きな焼きおにぎり」「自然解凍でおいしい! 3種の和惣菜」などが人気だ。

 好調の要因は独自の技術と原料・品質へのこだわりにある。他社とちょっと違うということが大事なポイントだ。ここをさらに磨いていく。

 ――「機能性表示食品」の開発にも熱心だ。
 大木 食品・ファインケミカルの融合による「機能性表示食品」はニッスイNBだけで21品ある。食品メーカーの中で一番多いだろう。

 機能性食品を毎日、何らかの形で摂取していただきたいとの思いで「中性脂肪を下げる」機能性食品としてフィッシュソーセージやちくわ、かに風味かまぼこ、缶詰、冷凍食品、スープと幅広く品揃えしている。

 「記憶力を維持する」機能性表示食品も和風・中華惣菜の冷凍食品や、1食分の野菜が摂れるスープなどを発売する。

 ――水産は「養殖の高度化」がポイントか。
 大木 夏でも旬のブリをお届けできる「黒瀬の若ぶり」は長年にわたって培った新魚の個体管理(交配計画、成熟成魚、早期採卵、交配)の技術が結実したもの。唐辛子入りの餌(マブレス)を与えることで肉質の向上に成功した。「境港サーモン・佐渡サーモン」もIoTによる遠隔給餌システムで大規模沖合養殖を可能にしている。

 完全養殖マグロも順調に育っており、今冬に出荷を開始する。

 南九州で養殖している「白姫えび」は魚病リスクを避けた陸上養殖。水を取り換えることなく、水質を保つ「バイオフロック方式」を採用し、国産で高鮮度な生鮮エビをお届けする。

 ――ファインケミカルでは鹿島医薬品工場が2018年に竣工する。
 大木 既存の鹿島工場は、@EPA医薬原料A食品向け機能性脂質(EPA・DHA)B化粧品素材のオレンジラフィー油などを幅広く生産しており、新工場は医薬原料のEPA生産に特化する。医薬品原料生産能力を年間約420tに倍増する。世界一のEPA原体メーカーを目指す。

 ――ニッスイをどのような会社にしたいか。
 大木 「ニッスイはいい会社」といわれるようにしたい。規模は大事だが、むしろ、技術力に磨きをかけ、差別化した商品を持った「グッドカンパニー」を目指したい。メーカーとして良い会社になる。そのために、@現実的でチャレンジングな風土A効率化された生産体制B健康とおいしさを追求する研究/開発体制Cサステナブルな資源アクセスの強化――に重点を置く。トップダウンではなく、現場の発想を大切にする。生産体制の再整備・増強も着実に進める。ヒット商品を生み出し続ける体制づくりを強固なものにする。これらが私に与えられた使命だと自覚している。

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