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今週の一本

●値上げ準備進む 佐藤 巳喜夫
(週刊冷食タイムス:06/04/25号)

ニチレイはチキン改訂 業務用で6月から

コスト高に各社も対応を検討

 冷凍食品の製品値上げ気運が高まっている。主原料高騰に包材、原油高が加わり、メーカーの収益構造は極めて厳しい。しかも海外原料や製品輸入比率が高くなっている冷凍食品は円安の影響が大きく、ポジティブリスト制導入に伴う諸検査コストも収益を強くプッシュしている。「もはや企業努力で吸収するのは限界」と値上げを告知するメーカーも出てきた。市場が値上げをすんなり受け入れるかどうかは微妙だが、少なくとも「デフレが続いたこの十年で初めて訪れた価格引き上げのタイミングだ」とメーカーは強く捉えている。

 諸原料の高騰が相次いでおり、史上最高値を更新し続ける原油高も「冷凍食品にボディブローとなるのは間違いない」と各社読む。

 BSEや鳥インフルエンザの一方で、中国やロシアの消費拡大に伴い、農水畜産物の世界的な需給構造が大きく変わってきた。特に原料難と原料高が著しかったすり身製品は多数のメーカーが昨年秋値上げした。

 これに日本ハムの製品値上げ発表が引き金となって冷食業界でも値上げの検討が具体化してきた。BSE問題の長期化と鶏肉への懸念に伴い、豚肉の需要が急増した結果、同社はピザなどを含む豚肉加工品を六月から平均一割値上げする。

 畜肉トップメーカーの値上げは同業他社にも影響必至。冷食業界も価格引き上げで検討を急いでいる。

 冷凍チキン加工品トップのニチレイフーズはチキンの業務用値上げを決め、今月初旬から案内を始めた。六月実施。生産地、部位、加工度、製品等で細かな価格対応をしているため、平均上げ幅は算出できないが「一割まではいかない」。

 日本水産も「値上げは検討中」と垣添直也社長が認めるが、時期、内容、範囲などは詰めの余地を残している。「一斉値上げより付加価値を高めて製品単価を引き上げることが先決」と基本を示し、上げるとしても「規格変更等を含め製品ごとに相当細かな対応になるだろう」と表明。業界動向を見ながら決める考え。

 加ト吉も価格改訂の検討を始めた。水産物のウエートも高いだけに、コスト対策には相当真剣な様子。

 味の素冷食はすり身高騰でえび焼売等の実質値上げを昨年実施したが、さらにコスト対応を検討している。輸入品ウエートが大きいため為替も響いている。

 総じて値上げの方向で各社検討を始めた段階だが、流通、末端が素直に「値上げ」を通すかどうかは微妙。特に家庭用は売価影響力を持つ大手二社が値上げに強い抵抗感を持っており、拒否されることが想定される。鬼門をいかに抜けるか。

 時期も微妙。日ハムに合わせて六月に実施しても、すぐに秋の商品提案が控えており、先送りも予想される。「事実上、秋の施策で容量、価格を調整することになる」との見通しもある。

 十年来の価格改訂の好機だが、調整に失敗し、品質劣化を招く事態だけは絶対に避けなければいけない。


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