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今週の一本

●上期業界動向 佐藤 巳喜夫(週刊冷食タイムス:07/09/18号)

コロッケや鰻蒲焼が苦戦

食品不祥事の影響如実に

 上期の冷凍食品市場は業界全体で前年実績を割り込む厳しい環境だったが、特に上位を占めるアイテムが軒並み前年を下回り、これが重荷となって浮上できなかったことがデータでも裏付けられた。また、販路別では業務用が比較的堅調に需要を確保しているのに対し、市販用は不調な品目の落ち込み率が激しい。

 市販用は前年から持ち越した低調な動きが春先から解消されつつあった矢先にミートホープ社偽装肉事件が表面化し、大きな社会問題に発展したが、この影響が如実に表れている。
 さらに偽装肉に続き中国産安全問題が重なったことにより、消費者が需要を手控えたことが市販用のデータからも読み取れる。
 冷食協がまとめた1〜6月の冷食自主検査量は3.4%減34万4000tで、6月に3%増と浮上した以外は前年を毎月割り込んでいる。特に3月は11%減と大きく低迷したが、4月以降は落ち込み幅が徐々に回復しているところだった。

 偽装肉で一番被害を受けたのはコロッケ。ここ数年フライ製品は漸減傾向にあったが、それでも業務用コロッケは上期2.2%減にとどめている。これに対し市販用は8.9%減と落ち込み、消費者から背中を向けられたことが明らか。
 うなぎ蒲焼は極端な反応が表れた。業務用が13.6%増と伸びたのに対し、市販用は46.8%減と半減。
 業務用が健闘した例としてはグラタンが17.2%増と二ケタ拡大となり、市販用は逆に3.2%減った。業務用でグラタン需要の動向が今後注目される。
 コロッケが前年を割ったのに対し、畜肉製品であるハンバーグはMH社問題をはね返して市販用11.7%増、業務用10.5%増と久々の二ケタ増。業務用は原料調達がやや回復し、本格的に売り込み体制に入ったためと見られる。市販用は原料産地を打ち出し安全性を強調した商品が好調だったのに加え「○種」アソート商品に組み込むハンバーグ需要が伸びたためか。

 最大アイテムの米飯は市販用、業務用とも5〜6%減。今春の米飯新製品が決め手を欠いた影響か。コロッケに次ぐ3位商材の麺は業務用が8%減少したのに対し、市販用は4%増と好調。この分野トップメーカーの加ト吉が引き続きうどんを伸ばしており、市販用スパゲティ類も各社好調。
 焼売、餃子は市販用、業務用とも前年割れ。餃子はトップの味の素冷食が伸びているのに対し、他メーカーが苦戦している構造が見える。焼売は味の素冷食がえび焼売で秋からテコ入れを行なうが、市場回復につながるかがポイント。
 需要拡大が指摘されるデザート、菓子類はデータの上では伸び悩んでいる。

 中国産の安全性は7月以降拡大した問題であり、これが国内産品、輸入凍菜にどう影響しているか。また夏場が需要期の米飯、グラタン等が今年の猛暑で需要をくじかれたか、今後の発表数字が注目される。

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