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今週の一本

●中国の冷食事業環境 優遇廃止、新労働法で負担増 佐藤 巳喜夫(週刊冷食タイムス:07/12/04号)

来年のコスト高必至に

原料高・調達難も益々深刻

 中国の冷凍食品事業の位置づけが年明けから大幅に変わる。原料高・調達難、労働力不足は日本国内と同じ経営環境にあるが、これに円安・人民元高の為替要素で対日輸出の収益が大きく低下するのに加え、日系資本に有利に働いていた外資合弁に対する優遇措置が来年からなくなり、臨時工も含めた労務制度の大改革で人件費負担も著しく増える。そこで中国にある冷食工場は例外なく「これまでのように中国産だから安く供給できる、という構図は完全に消滅する」と指摘。収益が見込めない日本市場を見切って欧米、韓国、中国内販に販路の主軸を据える動きが本格化してきた。半月で40社の中国企業の取材を経て、今後の冷凍食品の対日供給に薄ら寒さをこれまで以上に感じさせられた。

「日本向けやめたい」と欧米に視線

 このままで推移すれば、多くの中国の冷凍食品工場が来年から対日販売を縮小し、日本以外の市場攻略に重点をシフトしかねない大きなターニングポイントに直面している。にもかかわらず「日本の冷食市場関係者は実態を正しく理解せず、これからも中国産品は日本に優先供給される、と誤解しているのではないか」と中国人経営者だけでなく、日本人駐在スタッフからも懸念の声が高まっている。

 原料不足と仕入れコスト高は日本以上に深刻。安定調達できる水産物は何もなく、畜産物も高値続き。中でも豚肉は前年比五割高。日系メーカーから仕入れることが多い食用油も三割高で「値上げを了解しなければ納品を即時停止される」という厳しさ。野菜は比較的調達しやすいが、台風と長雨の影響が残り「総じて高値」。
 中国国内の食料消費が急激に増えたのに加え、バイオ燃料需要に伴い穀物類が一気に上がり、畜産飼料の高騰につながっている。

 雇用難はいまや常識。一人っ子政策世代が大学卒の年代に達し、工場労働者層の絶対数が激減しているのに加え、冷食工場は人気のない職種。最低賃金も着実に上昇し続け、地方の冷食工場でも女子工員の給与が月間1000〜1200元(約1万5000〜1万8000円)とわずか5年前に比べほぼ倍。
 しかも来年1月施行される新労働法により、本人の希望の有無を問わず臨時工でも事実上の終身雇用の扱いとなり、新たに社会保険の負担が経営を圧迫する。

 外資に対する優遇措置が年明けから撤廃されるのも日系冷食企業には大きな痛手。法人所得税は国内企業が33%に対し、外資はこれまで半分の15〜18%で済んだが、1月からは内資、外資とも25%に統一される。これにより中国資本の冷凍食品工場は独自で国外市場に出る経営力が増し、逆に外資は競争力が低下する。原料手当てが難しくなって働き手は減り、人件費負担が増した上に人民元が引き上げられて、納税負担が増せば収益力がなくなるのは当然。「ポジリスも含めて、要求が厳しい日本向けに、今後も輸出を続ける意欲は相当失われる」と中国の多くの経営幹部が指摘する。欧米向けに輸出許可申請はほぼ例外なく行なっており日本以外の輸出で成功事例も多く出始めている。

 このままでは自給率39%しかないわが国の食料供給を確保する上で中国という基盤が失われてしまう。大手メーカーを中心に流通、末端とせめぎあいを続けている値上げが是が非でも通されなければ、日本は中国から見捨てられる。冷食業界はこれまでにない重い選択を迫られている。

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