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今週の一本

●値上げの本番迎える 佐藤 巳喜夫(週刊冷食タイムス:08/01/08号)

数量減カバーを課題に

 メーカーの冷食売価(出荷価格)値上げ告知が相次いでいるが、実際に価格が動き出すのは1月以降にずれ込んでいる。一部に根強い抵抗は残っているが、ほとんどのチャネルで新価格は受け入れられそう。
 値上げを告知し始めた9〜10月は中国産品不信問題を抱え、流通の多くが動向にらみで先送り感が強かったが、11月、12月になって食品小売業トップの値上げ是認発言が相次ぎ、これに上期決算で食品利益半減が次々明らかになったことが後押しし、メーカーの値上げ要請が本格化した。

 ただし原料高の先行きを見据えるのに加えて、年末モードに入り、製販の値上げ交渉は年明けに持ち越されたが、年が明けて、引き上げ実行の段階を迎えた。
 問題は3点。
 メーカーの値上げ実施日(新価格製品の出荷日)から取引先が実際に引き上げるまでの空白期間の処理。値上げに伴う減収。そして「抵抗勢力」にどう対処するか。

 新価格移行日から売価引き上げまでにはずれが生ずる。今回は3カ月以上の空白期間となる場合もある。ニチレイFは差額を「販促費」で処理する。雑経費とみなすところもある。本来は必要のない経費が値上げによって伴うことになる。
 値上げによる減収は想定できるリスク。上げ幅と対象品、メーカーシェアなど様々な要因がからむが「常識的には数量で10%前後落ちる」(メーカーMKG担当)といわれる。これをカバーできる上げ幅であれば値上げが成功。しかしこれを上回る大きな上げ幅では客離れが懸念される。従って今回の値上げは原料高をすこし吸収する程度の値上げ、と受け止めるべき。

 業界が気になっているのは大手小売店の抵抗。イオンとCGCが「価格凍結宣言」を打ち出しているが、CGCはPB中心で堀内淳弘CGCグループ代表がNBの値上げを容認しているのに対し、イオンはNB対象という違いがある。実施商品が食品中心にわずか100品に限られてはいるが、しかしメーカーだけでなく、同業小売店からも同調者は現れない。

 もちろん売価決定権は小売店にあり、仕入れ価格高騰を抑えきれる営業努力も評価されるべきだが、一方で、安くすることが本当の生活支援なのか、商品の安定供給(値上げ是認)こそ小売店の使命では、という指摘が業界周囲に強い。
 凍結対象となった冷凍食品は売価を抑えたため、利益率は著しく悪化しているが、販売数量の大きな伸びで利益額が増えている、という。しかし大幅値引きで客寄せできるのは限界があり、悪循環におちいることを冷食業界はこれまでの苦い経験で知っている。
 値上げをネガティブに捉えず、正当な理由のある措置であることを正しく訴え実効させなければ、冷凍食品の将来に陰を落とす。

味の素冷食が主力9品を値上げ

 味の素冷凍食品は市販用冷食9品を3月出荷分から価格改訂し、一部リニューアルする。既にえび製品を10月下旬、鶏肉加工品2品を11月中旬から改訂しているが、今回は「ギョーザ」、「エビシューマイ」など主力品を多く含む。
 「対象品の主原料である小麦粉、すり身、乳原料、鶏肉、加工米などの価格上昇は企業努力の限界を越えており、今後もこの状況は継続する」(同社)と捉えた。12月25日発表した。

 

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