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今週の一本

●前期の冷食事業 好調帳消しで低調に 佐藤 巳喜夫(週刊水産タイムス:08/04/22号)

『天洋』の爪跡重く影響

主力品が売上げ底支え 利益は軒並み前年より悪化
 前期のメーカー各社の冷凍食品事業は、天洋食品事件の大きな爪あとが響いていずれも売上げは伸び悩み、これに原料・資材高と販促経費増が重なって収益面でも大きな後退を余儀なくされた模様。天洋食品事件が表面化するまでは、ここ数年来で久々の好業績が相次いでいたが、2〜3月の落ち込みは著しく、その影響はまだ続いている。

市販用事業
 天洋食品事件が表面化する直前の1月中旬までは、各社順調に業績を伸ばしていた。昨年夏から秋にかけての“中国産品不信”問題をようやく乗り越え、これに昨年後半からの製品値上げ効果も加わり「1月までの売上げは問題なかった」と味の素冷食、ニチロ、日水など大手メーカー各社。
 やはり天洋食品事件の痛手は極めて大きかった。
 特に餃子、焼売など市販用中華惣菜類は消費者の拒絶反応を受けて、国産、中国産を問わず大きく売上げを落としている。
 「中国産」と表示する市販用製品もまだ厳しい。
 総じて中華アイテムのウエートが大きいメーカーの市販用部門は前期業績に大きな打撃を受けた。
 「ギョーザ」を主力アイテムに持つ味の素冷凍食品は3月から社員が店頭に立って「国内生産」を直接消費者に説明し、かなりの好反応を得ているが、単月で前年実績には戻っていない。  弁当向けカップ入りアソート商品の中で中華系惣菜も、国内生産、中国生産を問わず、まだ売上げが前年を割っている。
 これに対し、スパゲティ、ピザ・グラタン、冷凍うどんなど「中華」色のない製品は、春休みの子供向け需要もあって2、3月も売上げが安定。これらカテゴリーで前年実績を上回っているスーパーも珍しくない。ハンバーグ類も期末になって動きが良かった模様。
 ニチレイFの「蔵王山麓」グラタン、ドリアが引き続き好調。ニチロの白身&タルタル、横浜あんかけラーメンも伸びている。  こうした主力品がけん引して売上げを底支えしているものの、天洋食品事件の影響は大きく、2〜3月の市販用冷凍食品は市場平均で二割強の落ち込み。この影響を含め、通期の市販用事業は、中華商材の取り扱いウエートにより7〜8%減から前年並と軒並み伸び悩んだものと見られる。
 冷凍野菜は昨年から前年割れが続いており、需要回復のきざしが見えない。
 利益は例外なく前年より悪化している。原料資材の大幅高騰に加え、昨年夏と天洋食品事件の2度にわたる販売数量減により、生産効率が悪化したため。
 値上げ効果も市販用では期待したほど大きくは得られなかった。価格改訂の最終勝負時だった第4四半期(1〜3月)に天洋食品事件に翻弄され、値上げ交渉が頓挫したのが一番の原因。
 新年度は新学期の弁当需要の掘り起こしを皮切りとして、需要と信頼の回復に各社努めている。

業務用は比較的堅調 学校給食、価格に神経尖らす
業務用事業
 市販用に比べて業務用は天洋食品事件の直接の影響が少なく、1年を通じて需要を安定して取り込むことができた。天洋事件渦中の2〜3月でも、日水は業務用売上げが前年同期を6%上回り、味の素冷食、極洋、ベスト、ヤヨイも前年並の実績を確保した模様。

スーパーの冷食売り場では買い控えが今も残る

 天洋事件が表面化した直後は中国産食材、冷凍食品そのものを買い控えたユーザーが多かったが、特に外食では国産食材だけで提供するメニューが成り立たず、国産では仕入れ価格も一気に上昇したため、品質保証が確認できる冷凍食品に2月下旬から急きょオーダーが殺到している。メーカーの営業担当者からは「特需」、「神風」という受け止め方すら聞かれる。
 学校給食など一部では中国産食材と冷凍食品の買い控えが依然として残っているが、学校給食では新年度から見込んでいた給食費の値上げが進まないため、給食現場では食材コストに敏感になっており、これが期末の仕入れにも影響した。
 年間予算で運営している学校給食は、予算を年内に消化するため期末に高額食材を使って帳尻を合わせるが、前期は夏と2月の中国問題で国産食材を増やしたため、予算にゆとりがなくなり、冷凍食品の期末の売上げも伸び悩んだ。
 中には食材高騰が進むと新年度の給食運営が困難だと懸念する給食現場が、予算を新年度に「繰り越す」内部調整もあり、期末の需要を一層冷え込ませた。  しかし予算で動く学校給食が食材仕入れ高騰で「いつまでも国産にこだわって運営できるわけがない」と多くのメーカー、給食卸は見ており、安全確認ができる商品から需要が次第に戻る、と期待している。  外食の期末の需要急増が奏功し、メーカーの前期の業務用事業は総じて前年並から数%増程度に伸びた模様。原料高で収益は各社厳しいが、販売数量の増加で工場の生産効率が好転したことと、昨年来の値上げ効果が重なり、前年並から微増程度の利益を確保したメーカーが多いと見られる。
 業務用は引き続き今期も需要増が見込まれる。

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