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業界交差点

この人に聞きたい:第33回
(週刊冷食タイムス:06/02/21号)

マルハグループ本社五十嵐勇二社長に聞く

(株)マルハグループ本社 代表取締役社長 五十嵐 勇二 氏

 マルハグループ本社の五十嵐勇二社長は中期経営計画「ニューウエーブ21」の初年度となる今期の見通しと来年以降の取り組みについてインタビューに答えた。今期については「営業利益は為替や燃油高騰の影響で計画を下回るが、売上高はほぼ達成の見通し」とし、今後本格的な展開が予想される海外事業に向けては「半年から一年の間にM&Aも含めて具体化していきたい」と語った。
(聞き手・本紙越川宏昭社長)

中計初年度、進む方向性揺がず 成長戦略推進、M&Aを具体化へ

――今年は『ニューウエーブ21』の初年度。第3四半期の業績概況が公表されたが。

 五十嵐 一つは為替。昨年三月の百七円が十二月には百十八円になった。リスクヘッジはしているものの、第3四半期までの営業利益が三十億円ダウンしている。半分は為替の影響。円安になると輸入事業のダメージは大きい。あとは燃油の高騰で五億円くらい影響を受けた。これがえび合弁事業に響く。水産商事は魚価高騰と売り値の低迷。売り値も少しくらいは上がっているかもしれないが、大きなものではない。確かに苦戦だが、それでも水産は善戦していると思う。

――食品事業は。

 五十嵐 食品事業は機能性食品やカップゼリーで健闘したものの、円安によるコストアップをカバーし切れなかった。

 グループ全体で営業利益は三十億円のダウンだが、経常利益は前年より微増で、予算に近い線になった。

 ただ、現時点の走り具合を見ていると苦戦していると言わざるを得ない。昨年の第4四半期は相当やられた。今年は普通プラスアルファくらいで頑張れば、いけるだろうと思っていたが、一〜二月の状況は水産も食品も厳しい。

――三月がどうなるか。

 五十嵐 売上げはほとんど計画通りだと思う。経常利益は目標の百三十億円に向かって各事業とも頑張っているところだ。

――第3四半期までで八十一億円の特損が出たが。

 五十嵐 減損含みで三十億円くらいあるが、当初は二十億円の減損しか見込んでいなかった。そのほか荷受の不良債権、現時点で確定しているのは十億円程度だが、二十億円〜三十億円まで出そう。マルハグループの有力荷受はあまり貨倒引当金を積んでいないので、そのくらいになるはず。

 あとは海外事業分の貸倒引当金、マルハ物流ネットの退職金引当金などがある。いずれにしても小規模が積み重なったもの。「どうせ落とさなければならないものなら、今期で落とそう」ということ。

 ただ、特益が五十億円ほどあるので、仮に百億円の特損になっても差し引き五十億円程度に収まる。負の遺産の終了宣言をした後にバラバラ出てきて格好は悪いが、いずれにしても大きなものは、もうない。

――今期は「ニューウエーブ21」の初年度として、特に重視してきた。

 五十嵐 ものすごく意識している。今期は増養殖事業のアニサキス問題で、また海外えび事業が苦戦した一方、北米事業が順調だった。来期も予想していなかったことは起こりうるが、中計「ニューウエーブ21」の方向性は全く揺らいでいない。海外事業の拡大による成長戦略も当然、継続する。

 下関工場にも十四億〜十五億円かけたし、タイのキングフィッシャーにも大規模な冷凍工場を十五億円ほどかけて作っている。米国の現地法人にもスケソウ枠確保のための漁船投資を行っている。昨年は北州食品、米国オルカベイ社に出資しただけで大型のM&Aはないが、経営戦略としてはいろいろ仕掛けている。M&Aも半年から一年くらいの間に具体化していければと思っている。実際、案件も増えてきている。

――「攻めの経営」をさらに進める。

 五十嵐 もちろん。ただ、新たに大きなリスクを抱えたら苦しむことになるので、そこは慎重に進めたい。リスクのない投資はないので、要はリスクヘッジをどうするか。これをセットで考えないといけない。リスクの程度も問題になる。投資基準は明確にしている。

――今は海外の方が利益率は高い。

 五十嵐 海外販売は前年が五百三十億円、今期が六百億円くらい。現状では当初掲げた一千億円には到達しないが、五百億円規模の会社を買収すれば、すぐに一千億円を超えてしまう。海外販売を五百億円増やした分の利益は数値の上で中計に反映させていないが、逆にいえば海外販売の拡大による利益増加分を送り込まないと、中計の達成は難しい。

――中計では売上高の目標を掲げていない。

 五十嵐 でも売上げが縮小しては利益に限界がある。売上げがジリジリ減少すればあとはコストダウンしかない。これまでマルハグループは不採算事業からの撤退を続けてきたので、総資産は減ってきたが、かなり筋肉質になった。今後は拡大・成長戦略を進める。

――足腰が強くなった。

 五十嵐 多少のタイムラグはあったとしても、方向性としては間違いなくそうなる。今期も厳しいといわれつつも、当期純利益は出るから、自己資本は多少なりとも増える。

――国内も海外もやるべきことがたくさんある。逆に「ニューウエーブ21」で課題も見えてきた。

 五十嵐 その通り。今は社員・役員のモチベーションが高いと思う。必死にならないと将来はないし、ジリ貧になってしまうということがしっかり意識の中に植え付けられている。二〜三年経てば、いい会社になる。これまで財務体質が悪かったが、ここが改善されれば、マルハは基本的に収益力がある。

――確かに水産は世界に冠たるマルハ。今後は食品部門をどうするかも大きな課題となる。

 五十嵐 マルハといえば缶詰、魚肉ハムソー。これに続く第三の柱を構築したい。ゼリーも五十億円〜六十億円の商品になった。「骨までおいしい魚」も育てていきたい。「骨まで」は当初掲げた百億円まではまだまだだが、決してあきらめてはいない。生産も販売も全面的に見直して再構築する。学校給食や病院食にもっと使えるはずだ。既存商品でも栄養機能食品である「リサーラ」(ソーセージ)のような商品が売れている。健康志向を背景に通常の二倍の価格でも市場に受け入れられている。調味料やサプリメントなどの化成品事業は今後も有望と見ている。

 冷食は主要事業と位置付け。「付加価値追求型」商品に重点

――冷凍食品の取り組みが弱いと思うが。

 五十嵐 冷食は厳しい。ただ、マルハがまだいいのは業務用が85%を占めていること。市販用は厳しいですよ。でも市販用をやらないと全体的には伸びない。

――そもそもマルハの冷凍食品の歴史は古い。業界のパイオニアといってもいい。

 五十嵐 品質には自信があるが、値段が高め。惣菜もあるが、水産由来の商品が多い。特色を持たせて、ある程度の付加価値を確保する。それには買収やジョイントベンチャーも視野に入れている。

――買うのはいいが、売るということはないでしょうね。

 五十嵐 冷食を切り離すことは考えられない。水産関連の重要なカテゴリーの一つだ。水産直販部と合わせると四百億円規模。水産加工品という意味合いもある。冷食と水産直販部と北州食品、新洋商事なども合わせると六百億円くらいになる。マルハグループの中で大きな売上げを占めており、主要事業として位置づける方針を変えるつもりはない。仮にどこかと組むとしてもマジョリティー(主導権)はとらないと意味はない。

――率直に言って、マルハの冷食事業に対する考え方が見えてこない。本当にやる気があるのなら、どういう方針で、どういう投資をするか。現状では何が弱くて、どこを強化するのか、そういうことなのだが。

 五十嵐 今から味の素、ニチレイを追いかけるつもりはない。マルハとしての特色を生かすために、水産由来のものを中心に、惣菜も含めて付加価値追求型を目指す。ただ、市販用を本格的にやるというなら、どこかと組むしかない。ニチロがアクリフーズと組んで成功したことは大いに参考にしている。

――業務用にしてもマルハのポジションを高める必要があるのではないか。

 五十嵐 マルハの冷食事業部の規模は全国で十一〜十二番目くらいでしょう。

――ニチロは「取り組み先ベスト企業」を標榜している。例えばアールワイフードサービスにしても日清医療食品にしてもベストパートナーとしての存在感を出していこうという姿勢がうかがえる。

 五十嵐 それはおっしゃる通り、マルハにとっての課題だと思う。今の冷食だと横ばいが精一杯。冷食事業といっても作るだけではなく、販売業務もあり、商品開発も必要。たぶん相当弱い面もあると思う。将来的にどういう方向に冷食事業をもっていくのか、できるだけ早いうちに明確な冷食事業の方向性を示していきたい。

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