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業界交差点

この人に聞きたい:第72回
(週刊冷食タイムス:06/12/19号)

「冷食需要まだ伸びる」

(社)日本冷凍食品協会 会長 垣添 直也 氏

今年の生産量1.4%増推定
垣添冷食協会長が年末記者会見

 (社)日本冷凍食品協会の垣添直也会長は、今年の冷凍食品生産数量について「前年比1.4%増の156万tになると推測される」と明らかにした。また(1)効率的な値引きラインの研究(2)日本冷蔵倉庫協会とのケースのダウンサイジングの研究(3)自然解凍品のガイドラインづくり――に着手していることを報告した。15日都内で行なった冷凍食品記者クラブ(本紙など14社加盟)との年末記者会見の席上語った。

 垣添会長は今年の冷凍食品国内生産高について「前年比1.4%増の156万tになると推測される。決して高い伸び率ではないが、たった1.4%の増加とは考えていない。消費者に支持され徐々に地位を高めてきた成果であり、今後も冷凍食品の『お役立ち』の比重は益々と高まる」と力強く語った。

 また、商品面での一年間を振り返り「アソート型の自然解凍品(弁当商材)が台風の目のような存在になっている」と指摘。「日本水産は3種のアソートから6種タイプに変更。来春は各社から6種アソート商品が発売されると聞く。月曜日から金曜日まで毎日中身の違ったおかずが弁当に入れられる、という利点が評価されている」と解説した。

自然解凍のガイドライン作成へ ポジリス施行後の違反想定内

 各社が自然解凍品に集中することに関しては「ある意味で業界のエネルギーとなり得る」と評価。「海外で生産する商品も多いが、その反面で国内原料や国内生産へのこだわりも出てきている」と現状を分析した。自然解凍品については「細菌検査方法や表示などについて、ガイドラインをつくる準備を協会で進めている」ことを明らかにした。
 また五月二十九日施行されたポジティブリスト制度については「各社が周到に準備したことと、輸出国側の努力もあり、これまでの違反件数は想定の範囲内に収まっている」とした。

効果的な値引きラインの研究も

 垣添会長は市販用冷凍食品の安売り問題にも言及、「業界は原材料などの高騰で厳しい環境にあるが、末端では大幅な全品割引セールが横行している。まるでシルクハットから冷凍食品が生まれてくるが如く、マジックショーを見ているようだ」と揶揄。
 ただし「流れは確実に変化している」とした上で、「五割引で売れる商品なら通常価格はなんなのだ、と不信感が生まれる。協会は最も効率の良い値引率を算出する研究を進めている。小売、問屋、メーカーの三者がともにウィン(勝者)になれるようデータに基づく検証を行なう」とした。

ケース容積減を研究 

 日本冷蔵倉庫協会と日本冷凍食品協会のコラボによる研究もスタート。「冷凍食品のケースのダウンサイジングを研究。現段階で25〜30%容積を減らすことが可能だ」という。カサが減ることで「倉庫業者は余ったスペースを他に有効活用でき、誰も損はしない」と強調した。
 一方、冷凍食品市場の活性化活動として展開している特別事業については「来年度以降も継続して実施していくことを決議したが、環境の変化が激しい時代なので、3カ年単位の企画を3カ年単位に短縮したいと考えている」とした。

 垣添会長は「1973年に食糧危機が叫ばれたが、エルニーニョを迎える2007年は『食糧有事』になるとみており、その有事は続くだろう。ある有識者は米国農業の将来は暗いという。生産性は上がっているが、付加価値は少しも上がっていないからだ、というのが理由。その点、冷凍食品は『価値』が認められて支持されてきた。この価値の追求は今後も続けなければならない」と語った。

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