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業界交差点

この人に聞きたい:第104回
(週刊冷食タイムス:07/08/14号)

日本アクセス吉野芳夫社長に聞く

日本アクセス 社長 吉野 芳夫 氏

プロフィール:(よしの・よしお)昭和40年安宅産業(株)入社、52年伊藤忠商事(株)入社。59年シーアイフルーツ(株)社長。平成3年伊藤忠商事食品流通第二部長、7年東北支社長、10年取締役食料部門長、12年常務食料カンパニーエグゼクティブバイスプレジデント、13年常務執行役員食料カンパニーエグゼクティブバイスプレジデント、14年12月(株)雪印アクセス代表取締役副社長。15年6月代表取締役社長。16年4月から現職。埼玉県出身、昭和17年11月生まれ。東大教育学部卒。

合併効果に手応え 売上げの力で卸の存在感示す

 日本アクセスは「次世代卸への挑戦」を掲げている。次世代卸を実現する条件として、吉野芳夫社長は「3温度帯をベースにしたインフラと規模の拡大が鍵」と強調。「存在感を出すために売上げの力を持ち、メーカーの懐に飛び込み一緒に商品開発し、市場のニーズにあった商品を得意先に提案していくべき」と語る。西野商事と合併して4カ月。効果に手応えを感じているという。これまでの経過を含めた新生アクセスの取り組みと戦略を吉野社長に聞いた。(聞き手・越川宏昭本社社長)

――西野商事と合併し4カ月が経過した。

吉野 昨年9月末に両社が合併契約に調印、それ以降は両社で合併に向けて委員会を立ち上げ周到な準備を重ねてきました。合併は容易でないこともありますが、対外的にシステム問題で迷惑をかけるようなことはありませんでした。社内的には勘定科目の違いなど調整しなければならないこともありますが、対外的には一切問題が発生しませんでした。想定どおりの状況だと受け止めています。

――合併は1足す1は2で当然、それ以上になれば上々、悪くするとそれ以下にもなると言われる。

吉野 今回の合併は互いにシナジーがある合併だと確信しています。我々は過去から3温度帯を手掛け、ドライ、チルド、フローズンを4対4対2の比率でもってきました。当社の特徴でチルドとフローズンが伸びる半面、ドライの伸び率が低迷していました。一方、西野商事は伝統的に乾物・乾麺をベースにした卸で、首都圏市場に特化していました。旧日本アクセスにとっては首都圏の大市場をいかに強化していくかと同時にドライグロサリーをどう強化するかが課題でした。商品構成に違いがあり、エリアについても互いにメリットがある。シナジー効果で一足す一が確実に2以上になると想定しました。新体制になってからもそういう形で動いています。ドライグロサリーが大きく増えましたし、首都圏の得意先も網の目のような関係ができ、名実ともに3温度帯の商品をきちんと提案できる卸になりました。その手応えを感じています。

――目指すは次世代卸と新中計でうたっているが。

吉野 次世代卸とは何かということがありますが、その前段階に合併に至った経緯があるわけです。小売業、メーカーの変化は想像以上に大きく早い。それを考えた時、両社とも従来の延長線上では卸売業は厳しい状況になるだろうと。ではどうしたらいいか。卸売業の中にあって存在感をどう発揮するかが肝心です。卸が環境に先駆けて変化していくということではないでしょうか。卸としてどう機能を発揮し、最終的にメーカーから信頼を得る、小売業から評価をいただける卸にならなければなりません。当社は今まで三温度帯をベースに北海道から九州まで物流ネットワークを構築してきましたが、これを機にさらにインフラを強化していく必要があります。卸の持つ様々な機能の中で一番評価をいただける分野は物流だと思います。三温度帯をベースにしたインフラをきちんと大切にしていく。それが次世代卸としてのキーポイントになります。もうひとつは規模の拡大を図っていくことです。今の環境変化をみると、一気呵成にやらなければなりません。時間をかけずに規模の拡大を考えると合併になります。

――卸が本来持っている商品供給、日付管理、鮮度管理などの機能に加え、インフラを中心にした物流体制の強化が必要だと。

吉野 そうです。さらに規模の拡大が必要です。それはメーカーと組むうえで重要なファクターになります。卸が存在感を出すために、まず売上げの力を持たなければなりません。それをベースに、メーカーにどれだけ近づけるか。卸がメーカーの懐に飛び込んでいく、メーカーと一緒になり商品開発や流通の仕組みを作る。特に我々は温度帯というチルド・フローズンの仕組みをベースにメーカーの懐に飛び込もうと考えています。

全国物流網の構築を急ぐ
完成度は七割 低温の最強卸の座を確保

――売る力を持っていればメーカーも耳を貸してくれる。

吉野 メーカーとの距離をもっと縮めなければなりません。今まではメーカーが卸に足を運んでくれましたが、これからは卸がメーカーの懐に飛び込んでいくべき。売る力、規模を背景に飛び込んでいこうということです。同時に温度帯を中心にした全国物流網を築き、メーカーと一緒になり商品開発し、流通の仕組みをベースにした商品提案を手掛けなければなりません。少なくともそれがやれるようでなければ卸の中で生き残れません。それを我々は次世代卸としての目標にしていきます。

――物流は現状、どのレベルにある。

吉野 私が責任者となって4年が経過しましたが、北海道から東北、関東、中四国、近畿、九州とある中で順次、エリアごとに体制を見直し、インフラを強化してきましたが、全体的にみて六〜七割の完成度というところです。

――広島と岡山に新センターを今春立ち上げた。

吉野 はい。中四国はある程度インフラが整ったと思います。次に九州をどうすべきか、関東をもう1回見直して強化する必要があります。全体からみて、まだ強化しなければならないエリアは残っています。100%ということはありえませんが、東北はある程度できていますし、北海道も手掛け始めています。エリア的には関東と九州をどう強化していくかが目先の課題です。

――関東と九州に新しい施設を建てるのか。

吉野 それも含め検討します。メーカー、得意先にきちんと対応できるインフラは現状まだ不十分であり、強化する必要があります。最も効率の良い場所にチルド・フローズンを中心にした拠点が必要です。

――年間の設備投資額が毎年40億〜50億円程度あるが。

吉野 システム投資などを含めて過去10年間で500億円ぐらいの投資額になります。当社は伝統的に温度帯を中心にした物流体制ですが、今回、西野商事と合併したことでドライグロサリーの分野を拡大できました。ドライを含めた物流体制の再整備、再強化の必要があります。卸としてのインフラ、物流をベースにした機能強化と規模の拡大を手掛けることで存在感をきちんと発揮しなければなりません。卸は商品も売場も持っていませんから、メーカー、小売業から信頼をいただけないと我々の生業は成り立ちません。

――インフラの整備は同業他社でも手掛けている。他社が追いつけば何で勝負するのか。

吉野 低温度帯分野では当社が一歩先んじています。この分野で絶対的に他の追随を許さないザ・ストロンゲスト・カンパニーにならなければなりません。そこで徹底的に体制強化し優位性を伸ばします。強いところを更に強化するということです。メーカー、小売業から安心して商品をあずけられると認められるしかありません。

――売上げ比率は低温六割、常温四割になっている。

吉野 今年度の目標はドライグロサリーで5500億円、チルド5000億円、アイスクリームを含めた冷凍食品2500億円程度です。合計で1兆3000億円ぐらいになります。旧日本アクセスは8800億円ほど。それを西野商事との合併により1兆3000億円ぐらいにもっていけると考えています。

社員のモチベーション上がる
合併でハイブリッドな卸に

――卸は人が財産だといわれる。

吉野 確かに卸にとって人は財産です。社員が一つの方向に向かってベクトルを合わせていくことが大前提ですが、今みる限りいい方向に向かっていると思います。西野商事が持っていた良さは、乾物・乾麺、スーパー惣菜を手掛けてきたこと、駅弁の催事を全国的に手掛けてきたことなどです。西野商事は首都圏を中心に展開していました。今度は北海道から九州まで、旧日本アクセスのベースでやっていく。旧日本アクセスからみても新しい分野が開ける。西野商事からみれば低温食品の扱いが多く、市場も北海道から九州まである。互いに新しい分野が開け、社員のモチベーションも上がってきたと思います。今までない血が混じりあい、ハイブリッド(複合的)な卸になれる機運が出てきたのではないでしょうか。

――血を混じり合わせることでより強いパワーを発揮していくと。

吉野 今回の合併で、互いになかった分野が開けてきました。そういう方向に沿っていま走り出したわけです。それなりに社員は意欲を持っていると思います。大きな問題もなく合併できたのは、社員が意識を持って良く対応したからだと思います。メーカー、小売業から支援いただき、社員もよくやったと思います。規模の拡大はしかり、提案能力しかり、インフラを中心にした機能強化を行なうという方針を掲げていますが、そういう方向に走りだしたと思います。

――課題としている生鮮食品を3温度帯の中にどう取り組んでいくのか。

吉野 生鮮には手を付けられていません。そもそも生鮮は市場という流通機構、相場、市況という世界があり、卸の参入が難しい。しかし我々の得意先が関心をもっているのが生鮮です。ですから卸として避けて通れません。そこで新しいシステムに移行する中で、今年4月に業務用マーチャンダイジング本部を立ち上げ、その中に生鮮部を発足、青果からスタートし、次は鮮魚をどう手掛けるか、仕組み作りに取り組んでいるところです。精肉は次のステップです。
 私は商社時代に青果をずっと手掛けていましたから市場との関わりは深い。その経験から踏まえて、市場流通は制度疲労をおこしていると思います。市場法改正もあり、市場流通そのものが大きく変わると思います。そういう中にあって市場外流通を考えなければなりませんし、魚、野菜、果物の産地とどう取り組むべきかが課題になる。

――3温度帯の全国流通網を活かせる。

吉野 鮮魚も青果も流通させることができます。これを産地と結びつけることはできます。新しい方針として具体的に進めます。青果と鮮魚は売上げがかなりできてくると思います。食品卸として生鮮3品は避けて通れません。そこをきちんと提案できるかどうか、小売業からの評価対象になると思います。

――原料高騰の一方、末端はデフレ基調にある。

吉野 今の食料の構造変化は世界の潮流です。新興国で食の需要が高まり、供給の流れが変わってきた。原料の値段はどんどん上がるでしょう。しかし売価になかなか反映できません。オーバーストアによる競争原理の中で価格改定ができない、少子高齢化、人口減少の中で商品活性化が難しい。製品、売価に原料高騰分を上乗せできませんが、いつまでもそういうわけにいきません。食を取り巻く世界の環境が変わってきましたし、メーカーは価格改定せざるを得ません。それをきちんと説明する、説明責任は政治の世界だけの話ではないはずです。メーカーも卸も正しい商品の価値をベースに、価格改定についてきちんと説明する必要があります。そうしないとやっていけません。

――卸の役割として提案力が大きな要素だ。

吉野 卸はメーカーにもっと近づき、正しい流通を一緒に実現しなければなりません。正しい価値をベースに流通させたい。小売業は必死に戦っていますから、製配販の三位一体は難しいかもしれませんが、少なくとも卸とメーカーは一緒に取り組む必要があります。食糧の需給関係が変わってきた中、価値に従って流通させることを一緒に行ない、小売業に提案していくべきです。そういう面で卸の役割は大変重要。これからの卸はもっとメーカーに近づかなければならないと思います。

総事業規模3兆円へ 経常利益率1%に挑戦

――逆境を切り開けば必ず道はある。

吉野 私は企業人として必ずしも平坦な道ばかりではありませんでした。しかし「人間到るところ青山あり」と漢詩の一節にあります。決して挫けてはいけないと思い、場所ごとで必要な存在になるよう心がけてきました。

――2007年度に取り組んでいることは。

吉野 2008年度からの第3次中期経営計画の体制整備を行ないます。2010年度は売上高1兆5000億円、経常利益率1%に挑戦します。そのための土台作りをこの1年間でやっていこうとしています。めざす規模は新会社の発表時に公表していますが、1兆5000億円を2010年度にめざしていこうと。MD事業で現在、物量を金額換算すれば1兆1000億円ぐらいの規模です。それを2010年度に1兆5000億円ぐらいに、商流と物流で総事業規模3兆円ぐらいを目指そうと掲げました。そのための土台作りを2007年度に行なっています。総事業規模そのものについてはある程度達成できると思います。でなければ合併した意義が問われます。経常利益率1%には再度挑戦します。

――経常利益率1%を達成するためにどうする。

吉野 業務フローそのものを抜本的に変え、社内体制の効率化を図ります。合併会社のため、いろんな意味で贅肉がありますが、それをそぎ落とし、筋肉質の経営体質をめざします。具体的には業務フローを新システムで業務集約化、標準化、収益管理、商物分離をすすめ効率経営をめざします。新基幹システムによりそれが可能です。リストラ、つまり人員削減はしません。困難な目標ではありますが、社内の構造改革、筋肉質化、経費の効率管理で何とか売上高経常利益率1%に挑戦していきます。

――上場の考えは。

吉野 経常利益率1%を達成すれば上場の可能性もあります。今は収益力をつける必要があります。それがつけば上場も自然についてくると思います。

――さらなるM&Aの予定は。

吉野 頭に入れておく必要があります。それを仕掛けていくような立場にならないといけません。これからメーカー再編もありますし、小売業も規模拡大をどんどん手掛けており、食品流通もいろいろな変化がでてきます。当然、卸も今のままでいいということはありえません。きちんと対応できるようにしておかなければなりません。積極的に横の展開を図ります。
 当社は総合食品卸といいますか、総合卸をめざしていく考えです。今年三月には薬系卸のアルフレッサホールディングス梶Aシーエス薬品鰍ニ当社で業務提携しました。薬事法が2009年度に改正されるため、業務提携で事業領域を拡大します。
 さらなる進展で総合卸になったとき、今のインフラは必ず活きます。

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