この人に聞きたい:第126回
(週刊冷食タイムス:08/01/22号)
食の信頼ゆらぐ今がチャンス
らでぃっしゅぼーや株式会社 代表取締役社長 緒方 大助 氏
プロフィール:(おがた・だいすけ)福岡県立修猷館高校卒。キューサイ開発部次長を経て平成12年から現職。昭和35年6月福岡県生まれ、47歳。
宅配にはまだ3倍の成長余地
らでぃっしゅぼーやは有機農産物や無添加食品、生産者が見える食の宅配大手として有名。扱う加工食品の八割が冷凍食品。「もっと小ロット生産を」と少品種大量生産を信奉するメーカーに発想の転換を迫る。
――20年2月期の見通しは。
緒方 売上高は前年比7〜8%増の212億円、営業利益は55%増の6億5000万円を見込んでいる。昨年から増益路線にアクセルを踏み込み、結果が出た形です。
――食の信頼が揺らいでいる。
緒方 当社にとってこういう状況は追い風。当社がめざす食とは本来、「人の身体も心も健全に育み、未来を託すためにある」というもの。この理念の下に有機・低農薬農産物と無添加食品の宅配事業を展開し、しかも食品の生産過程では出来る限り環境への負荷を低減させるべく取り組んできた。より健やかな「いのち」と「環境」を次世代に伝えていくことが当社の使命だと任じています。
――宅配にこだわった理由は。
緒方 量販店に販路を求めると低価格、規格化、量産化が条件になります。手のかかる有機・低農薬農産物や無添加食品を提供するためには生産者と消費者をつなげる宅配事業が最適なのです。
――商材は大体が特注?
緒方 品揃えは約四千種類だが食品の九割がPB商品。前述の企業理念を遂行するためです。
――昨今は原料の値上がりがメーカーの収益を圧迫している。
緒方 我々も同様です。精一杯のコスト削減に努力しつつも限界を超えたものは値上げさせてもらっています。仕入先に対しても「基本的にメーカーさんが再生産できる価格で買うように」と担当部署に指示しております。
――宅配の将来性はどうか。
緒方 十分に成長の可能性はあると考えます。都市部に限っていえば人口はまだ増えることになり、逆に地域密着の量販店が出店する好立地はほとんど残されていません。品揃えも膨大になる。これに対して宅配はピンポイントで顧客に対応するので一回当たり1000アイテムの商品提案で済む。しかも全国を相手にできます。
――冷凍食品については。
緒方 加工食品の八割を冷凍食品が占めている。週一回の宅配ですし、無添加で保存性を高めるためには冷凍食品にならざるを得ない。技術も向上し、おいしいと評判の商品がたくさんあります。
――メーカーに望むことは。
緒方 もっと小ロット多品種生産に対応してほしい。タイムリーにモノをつくり、供給する仕組みを作れば、原料や製品の在庫を減らせる。もう一段の小ロット生産だって可能なはずです。
――日本レストランシステムと昨年12月資本提携した狙いは。
緒方 両社が提携すればお互いのロス削減が可能になる。先方の工場を活用することで商品開発のスピードアップも可能になる。提携によるシナジー効果を最大限に発揮するのが今後の課題です。
――来期の計画は。
緒方 株式市場への上場です。