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今週の一本

●大手冷食メーカーの北米事業が好調、日系以外にも広がる  松田陽平 (週刊冷食タイムス:15/03/31号)

日本のモノづくり力発揮

2ケタの増収増益相次ぐ

 北米で日本の有力メーカーの冷凍食品事業が好調に推移している。急激に進行した円安により、円換算で事業が当初より膨らんだという要素はあるが、アメリカ社会に日本の冷凍食品に関するモノづくり、品質の高さが認められ、広がったと見るべき。取り組みが成功しているところは、日系人、アジア商圏だけでなく、一般アメリカ市場にも入り込み、需要を拡大している。

イノバジアン2割増、100億突破

 ニチレイUSA(米国シアトル)とニチレイフーズUSA(同)の社長を兼務する佐藤健夫氏は北米の加工食品事業について「事業の拡大を第一に取り組んでいる。ニチレイフーズの強みを1つでも多く、北米事業に織り込みながら、今後の道筋を確実に作り上げたい」と、現地取材した本紙記者に語っている。

 北米の加工食品事業ではアジア系食品を扱うイノバジアン・クイジーン社を12年に買収。イノバジアン社は大手小売チェーンを主体に、市販用、業務用で販路を全米に広げている。

 イノバジアン社の14年度の売上げは約8600万米ドル(約103億2000万円)で、前年の7300万米ドル(約87億6000万円)に比べ18%増と、引き続き大きく伸びている。

ゴートンズが売上げ、利益回復

 日本水産も北米の冷凍食品事業が回復している。北米事業を管掌する的埜明世取締役常務執行役員(水産事業執行、ニッポンスイサンUSA社長)は北米の冷食事業に関し、本紙の取材に次の様に説明している。

 「北米の市販用水産冷食市場でトップシェアを誇るゴートンズ社はライバルグループとのし烈な販売競争により、13年に収益が悪化した。そこで14年度は収益改善に注力。“コア商品”として利益率が高いパン粉付ディープフライ製品の販売に集中し、このカテゴリーでシェアを回復した。

 工場の生産性を見直し、コスト削減にも取り組んだ。14年上期にモントリオール(カナダ)の自社工場を閉鎖し、マサチューセッツ州(米国)の本社工場に生産を集約した。ここで生産するコア商品の販売に注力し、利益を着実に確保した。ただし、収益性を第一としたため減収となった。

 ゴートンズ社は今年度、積極的な営業を展開し、販促も強化。コア商品以外のカテゴリーでもシェア拡大を図り、収益増をめざす」。

業務用のK&P社は初の黒字化

 日水が北米で展開する業務用水産冷食メーカーのK&P社(キング・アンド・プリンス・シーフード)も業績が回復した。

 的埜常務によれば、K&P社は全米展開する大手クイックサービスレストランチェーン2社との取り引きが好調に推移した。この結果、日水がゴートンズ社を通じて05年にK&P社を買収以来、初めて営業黒字を達成した。「大手チェーンに直接販売する『ナショナルアカウント(NA)部門』がけん引した」という。

 大手チェーン2社と共同開発したえび、白身魚を使った外食メニューがヒットし、販売が大幅に増加した。NA部門の拡大に伴い、大手流通業者などを通じ業務用筋に販売するフードサービス部門とNA部門の売上げは半々となった。

味冷はグループ対応、新工場も

 味の素冷凍食品は味の素グループとして北米組織を4月1日付で再編する。

 連結子会社味の素ノースアメリカが冷凍食品メーカーのウィンザー・クオリティ社を昨年11月買収したのを機に、コンシューマーフーズ事業会社とアミノ酸・食品バルク事業会社に分け、迅速な意思決定で競争力を強化、事業展開を加速する。再編後のコンシューマーフーズ事業会社は、巨大な北米の冷食市場で圧倒的bPの日本食・アジア食冷食メーカーをめざす。

 味の素ノースアメリカを持株会社に改変し、味の素北米ホールディングスに商号を変更する。

 アメリカ味の素冷凍食品を存続会社とし、ウィンザー社(グループ9社)、味の素ノースアメリカのコンシューマーフーズ事業、北米で冷凍食品を販売するアモイ・ノース・アメリカを統合する。商号は「味の素ウィンザー」に変更する。

 味の素ウィンザー社は本社カリフォルニア州オンタリオ市。家庭用・外食用の調味料、冷凍食品の製造販売を手掛ける。倉田晴夫会長。資本は味の素北米ホールディングス約98%、味の素冷凍食品約2%。従業員約1900名。販売地域は米国、カナダ、メキシコ。

 北米では東洋水産との合弁で冷凍麺事業を展開する準備を進めている。新工場(新ライン)を建設する。

 味の素の北米冷食事業は2ケタの増収増益と極めて好調に推移している。

 北米ではアジア系だけでなく一般市民にも日本食、アジア食が広がっており、アジア系冷食需要が数年来安定して拡大している。

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