この人に聞きたい:第974回
(週刊冷食タイムス:25/03/18号)
食品工場の建設受注が好調
中設エンジ(株) 常務取締役事業部門長 渡辺 裕正氏
(わたなべ・ひろまさ)1985年入社。執行役員など経て22年取締役事業部門長代行兼大阪事業本部長。24年4月取締役事業部門長。同年6月から現職。関東学院大学工学部建築設備工学科卒。1962年8月東京生まれ、62歳。
M&Aにより次なる成長へ
食品工場建設の総合エンジニアリング会社で、営業から設計施工まで主力事業を統括する。企業の投資意欲を追い風にさらなる成長へ舵取りを担う。戦略の軸に据えるのはM&A。事業の安定化と全国拡大をめざす。
――建設案件は増えている?
渡辺 コロナ禍以降、明らかに増えています。当社の手持案件量を見てもコロナ前に比べて3倍の規模に拡大しています。
――好調なカテゴリーは?
渡辺 菓子類です。特にインバウンドの影響で焼き菓子工場の需要が増えています。地方の有力スーパーの案件も堅調です。人手不足対策や物流の効率化が主な目的ですが、惣菜や麺類から水産加工品、パンに至るまで自社で製造する流れが強まっています。
――九州が熱いと聞く。
渡辺 勢いがあります。福岡、長崎で工場が建設中であり、大分では最近竣工しました。ただ、半導体工場の建設ラッシュで特に電設工事業者が不足しています。
――人手不足は全国的な問題、対策は?
渡辺 M&Aを積極的に進めていこうと考えていますが、まずは業務提携から始めます。既に1社と業務提携し、もう1社とは契約前の段階です。
――どういう企業が対象?
渡辺 建設会社や生産機械メーカーに加え、設計事務所も検討しています。親会社の伊藤忠商事に「投資なくして成長なし」という言葉があります。当社は名古屋、東京、大阪で協力会社の会を組織していますが、北海道や東北、中四国、九州は中々カバーできなかった。事業エリアを全国に広げるためにも成長投資は必要です。
――会社の将来像をどう描く?
渡辺 目標としていた売上高は2025年度(26年3月期)にほぼ到達できる見込み。個人的にはこれを通過点として、さらなる高みをめざしたい。26年度から始まる新中期経営計画に定量目標として盛り込むことを検討します。新規ビジネスにも着手します。
――具体的な中身は?
渡辺 生産機械の予兆メンテです。以前から考えていましたが、AIやIoT、センシング技術が進歩してきましたので、新たな事業として本格的に取り組みます。 当社は建物全般に加えて工場内部(生産機械)のエンジニアリングに強みがあります。完成して終わりではなく、稼働後に生産ラインを止めないようにすることも当社の重要な役割です。(ライン停止によって)お客様に負担をかけることなく、最後まで安全安心を提供していきたいと思います。