この人に聞きたい:第983回
(週刊冷食タイムス:25/05/27号)
新工場では新たな商品に挑戦
(株)ピエトロ 代表取締役社長 高橋 泰行氏
(たかはし・やすゆき)1999年入社、社長室長、2006年取締役執行役員となりビジネス推進室長を兼務、08年常務取締役執行役員営業企画部長。その後営業本部長、通信販売部長などを歴任し、17年から現職。1964年12月4日生まれ、60歳。
冷食でレストランの味を再現
ピエトロは2015年からレストランの味を家庭で楽しめることにこだわった冷凍パスタの小売販売を開始した。順調に販売を拡大し26年秋には新工場が稼働する。高橋秦行社長に商品へのこだわりや展望を聞いた。
――なぜ冷凍食品に着目した?
高橋 今から約20年前に先代の社長とアメリカに出張した際に現地の冷凍食品売場はすでに低価格帯から高価格帯まで豊富に商品が揃っていました。日本の冷凍食品売場でも同様に商品が広がっていくと感じ、研究を開始しました。
――商品へのこだわりは?
高橋 レストランのような麺のアルデンテ食感を再現することに時間をかけました。味付けもレストランと同様の味にしています。麺とソースを別々に冷凍し、麺を湯がいてからソースをのせるレストランの工程も模倣しました。このようにパスタ専門店の名に恥じない商品を投入しようと、レストランの味を家庭で再現できるようにしていることがこだわりです。
――営業活動の方針は?
高橋 当社の商品は製造に手間がかかる商品であり、1品当たり800円から1000円と他社の商品と比べると高価です。そこで1店1店しっかり提案してそのおいしさに納得してもらうという個店対応で切り開いていきました。その地道な努力がリピーターの獲得につながったと感じています。オンライン販売も流通と同じくらい伸びてきているので両輪で進めていく方針です。冷凍食品の年間売上高は現在5億円規模ですが、10億円まで育てていきたいです。
――新工場では何を?
高橋 引き続き味づくりや仕込みといったところは人の手でやりながら機械化を進めることで製造能力は現在の1.5倍になると見込んでいます。パスタを中心としてピザ、ドリアなどを生産していますが、他社がやっていない商品にも挑戦していきたいです。
――業務用にも可能性はある?
高橋 人手不足が加速する中、当社でも食材などで何か手伝えることができればと昨年から福岡県や佐賀県内のスーパーの惣菜売場向けにフードサービス事業を開始しました。また人員配置の余裕がなく食堂を置けないというフェリー内の冷凍自販機で当社の冷凍パスタを販売しており、冷凍食品でも可能性を感じています。
――海外市場を拡大している。
高橋 シンガポールや香港に輸出し、味に評価を得ています。ライブコマースが人気で、回数を重ねるごとに「おいしかった」などの書き込みがあり、リピーターがついている実感があります。