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この人に聞きたい:第957回
(週刊冷食タイムス:24/11/12号)

長崎の郷土料理を発掘

(株)ジョイフルサンアルファ 代表取締役社長  長信 一治氏

(ながのぶ・かずはる)福岡県の私大を卒業後、不動産会社を経て2016年穴吹興産に転籍。19年ジョイフルサンアルファ取締役兼任、20年専務取締役、22年9月から現職。1975年11月山口県田布施町生まれ、49歳。

歴史が紡いだ食文化を次代へ

 穴吹興産のグループ会社で長崎市を中心に食品スーパー「ジョイフルサン」を10店舗展開する。長崎の郷土料理を掘り起こすなど地場スーパーならではの戦略で店の価値を高めている。

 ――物価高による節約志向が強まっているが、業績への影響は?
 長信 客単価は上がっていますが、客数は減少気味で、来店頻度も減っています。さらに長崎市は三菱重工長崎造船所の事業縮小で人口流出が止まらず、この余波が少しずつ現れています。
 ただ、売上げは全体で前年並みを維持しています。市内中心部の店舗は昨対5〜6%増で推移しており、2年前に移転してオープンした大型店の「新大工町ファンスクエア店」は14%増と好調です。

 ――新店ではどのような施策を仕掛けている?
 長信 特別なことはしていません。冷食売場を広げたり、健康志向を捉えた品揃えにしたり、惣菜を強化するなどしました。成城石井の商品をローソン以外で売り出したのは長崎では当社が初めてです。地元の菓子メーカーの直売所を店内に設け、若い世代へのアピールも図りました。品揃えを増やしたことで若者を呼び込めただけでなく、馴染み客の買い上げ点数が明らかに増えました。移転前は売上げが6億円程度でしたが、初年度8億円、昨年度10億円、今年度は11億円を超える勢いです。

 ――惣菜開発にも注力する。
 長信 数年前から長崎県の郷土料理研究家と組んで郷土料理の商品化に取り組んでいます。長崎はかつて海外貿易の拠点だったことから中華や西洋料理が伝わり、郷土料理に発展しました。
 たとえば豚肉を細切りにし、揚げかまぼこや糸こんにゃく、野菜などと炒めて作る、浦上地区発祥の「浦上そぼろ」は豚肉で精をつける料理としてポルトガルの宣教師から伝わったそうです。浦上地区はカトリック信者が多く、この地区で代々伝えられてきた大皿料理ですが、今は作る人が減っている。そこで当社が弁当にして売り出したところ大ヒットしました。今では当社の定番商品です。

 ――長崎は郷土料理の宝庫だ。
 長信 鯨肉で作った肉じゃがの「鯨じゃが」、えびのすり身をパンで挟み、油で揚げた「ハトシ」などもあります。郷土料理の掘り起こしは年配の方々が喜ぶ。単身・夫婦世帯の個食ニーズにも合っているのでしょう。
 地域の食文化を次代に残したいとの思いで始めましたが、こうした独自色の濃い活動がお客様の共感を呼び、競争力の源泉となっていることは間違いありません。

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