この人に聞きたい:第1036回
(週刊冷食タイムス:26/06/30号)
生ごみ処理の常識を覆す
SINKPIA・JAPAN(株) 代表取締役社長 松岡 清次氏
(まつおか・せいじ)ソニー販売会社を経て28歳で家電販売会社を設立するも、価格ありきの業界に疑問を感じ、環境事業に路線変更。2006年シンクピア・ジャパン設立。現在に至る。1948年京都府宇治市生まれ、78歳。
運ばず・燃やさず環境に貢献
微生物の力で生ごみを生分解する業務用生ごみ処理機「シンクピア」の導入が食品製造や外食、スーパーなどに広がり、設置台数1千台に迫る勢いを見せる。「運ばず・燃やさず・その場で処理」が生ごみ問題に悩む事業者のニーズに刺さった。
――総設置台数は?
松岡 新規、入替えを合わせると900台は超えており、今後1年間で1千台に近づくと見込んでいます。
――最近の問合せの傾向は?
松岡 カット野菜の端材や練り物の加工時に発生する魚の内臓、ウロコなど具体的な食品残さに関する問合せが増えています。働き方改革が目的の導入も多いです。
――働き方改革とは?
松岡 大手ホテルチェーンでは、総料理長が「従業員に生ごみを運ばせたくない」との理由で導入に向けた検討を進めています。
シンクピアはニオイが少なく、これまで脱臭・排気ダクトの設備がなくては困難だった室内設置を可能にします。厨房や洗浄室、加工室などに設置すれば、生ごみを仮置き場へ運ぶ必要がなくなり、作業効率が向上して働き方改革につながります。
――処理はどのような仕組み?
松岡 専用の微生物が約24時間で生ごみを液状に生分解します。処理残さを原則取り出す必要がありません。微生物が棲みつきやすい微生物ハウス(担体)を使い、生ごみを適宜、自動で撹拌することで生分解効率を高めます。
――ニオイが少なければ防虫対策も期待できる。
松岡 それだけではありません。生ごみのニオイはクマも引き寄せます。近年はクマ被害が深刻化しており、その対策として問い合わせが増えています。実際、長野県内のリゾートホテルに6月設置することが決まりました。
――キャッチコピーは「運ばず・燃やさず・その場で処理」だ。
松岡 生ごみをトラックで運んだり、焼却したりする必要がありません。国のCO2排出量の計算式を使って、シンクピアの設置台数(処理量)からはじき出した年間削減量は3・7万トン。普通自動車260万台分に相当します。
――伸びしろは十分ありそう。
松岡 最近では生ごみの生分解後に出る分解液を液肥として活用し、農作物を育てる循環型農業の試みが始まっています。
さらに、介護施設や保育園では入居者や園児たちが農作物を育てることで、生きがいの創出や食育に役立てています。このように生ごみ処理を起点にした新たな取り組みも広がっています。