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今週の一本

●ニチレイが長期経営目標 35年に営業利益率10%   (週刊冷食タイムス:25/05/20号)

収益力の強化と資本効率向上

大櫛社長
 ニチレイは2035年までの新長期経営目標「N-FIT 2035」を13日公表した。最終年の定量目標は営業利益率10%、ROIC(投下資本利益率)10%、海外売上高比率40%、営業利益CAGR(年平均成長率)を2024年度実績比で8%以上に設定した。収益力の強化と資本効率の向上を重視しているため、売上高目標は設定していない。併せて、長期経営目標の実現に向けて25〜27年度の中期経営計画「Compass×Growth2027」を同日公表した。
 中計最終27年度の目標数値は売上高8000億円(24年度比979億円増)、海外売上高比率30%(6.4ポイント増)、営業利益560億円(177億円増)、当期純利益380億円(133億円増)、EPS(1株当たり純利益)151.7円(54.3円増)、EBITDA835億円(209億円増)、ROIC8%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上。 
 食品事業は中計期間で競争優位性があるチキン加工品と米飯類を深掘りして利益を最大化し、冷凍食品市場で確固たる地位を確立する。
 加工食品と水産・畜産事業は26年4月1日付で統合する。ニチレイはニチレイフーズとニチレイフレッシュを合併すると取締役会で今月13日決議した。ニチレイFを存続会社としてNフレッシュを吸収合併する。
 北米での業務用水産品の販売拡大や輸出機能の強化、主にチキンを中心とした安定的な原材料の調達確保、相互の販路を活用した販売体制の強化、素材から軽加工品、完成品まで加工度の異なる商品ラインナップの拡充というシナジー効果を見込んでいる。
 加工食品と水産・畜産事業を統合した食品事業は最終27年度に売上高が24年度比2.6%増4450億円、営業利益34.7%増287億円、営業利益率1.5ポイント増6.4%を計画している。
 欧州、ASEAN、北米を中心に海外事業を拡大する。中でもアセアンでは低温物流で高い成長性を見込んでいる。タイ、ベトナム、マレーシアと国別に投資しているが、各国でインフラの整備が進むと見て、欧州と同様、クロスボーダー物流網の構築をめざす。

海外事業拡大して国内で再成長

 ニチレイの大櫛顕也社長は13日の決算会見で「海外でキャッシュを生みだし、国内に投資して再成長する」など長期的な戦略について次のようにコメントしている。
 「国内の市場規模は20〜30年後に著しく数字として人口減少が見えてきた時、縮小するだろう。10年後にそうなるかどうかはわからないが、冷凍食品のニーズは高く、商品の価値を変えることで生鮮・チルドから置き換わる。人口が減っても一定の市場規模を拡大するのは可能。ただし、2040年ごろには頭打ちの兆候が表れるかもしれない。そうなると食品メーカー同士で市場の取り合いになる。
 海外にはアセアンのような冷凍食品の成長機会が著しく高い地域がある。次の成長に向けていち早く市場に参入し、将来の売上げと利益がしっかり獲得できるようにする。アセアンはインフラが整備されれば、食が生鮮からいずれチルド・冷凍に置き変わる。そこに事業投資できるように国内の収益性や資本効率を上げてキャッシュを生み出し、キャッシュで海外の事業展開を進める。その後、海外で生み出したキャッシュを、環境が大きく変わっているであろう国内の新しい事業に投資して再成長できる形を作りたい」。

前3月期の冷食は2795億円

 ニチレイグループの前3月期の国内冷凍食品売上高は業務用・家庭用調理冷凍食品がともに伸びて4.0%増2794億5200万円となった。
 そのうち、業務用調理冷食は7.1%増1100億600万円で、家庭用調理冷食が7.0%増935億4400万円。「その他」は3.3%減759億200万円と前年実績を下回ったが、「その他」に含まれる農産加工品(冷凍野菜)は2.8%増243億7800万円と伸長した。

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