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今週の一本

●前期決算、大手の冷食好調  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:15/05/19号)

主力品伸び、利益改善

円安等のコスト高はね返す

 大手、有力企業の前3月期決算が先週末までにほぼ出揃った。消費増税前の駆け込み需要の反動、円安進行による原料資材・燃料費の高騰、人手不足に伴う労務費高――などの影響は企業の例外なく受けたが、中食・惣菜需要の高まりなどを背景に大手メーカーの冷食売上げは好調。主力品など利益率の高い商品が伸び、営業利益も大幅に改善したところが多い。海外販売も大きく貢献した。

ニチレイ、味の素は海外が貢献

 大手メーカーの冷食事業は総じて主力品が好調だった。商品の販売数量の伸びに加え、生産性の効率化、生産体制の再編、原料資材の仕入れの見直しなどにより、営業利益も改善した。

 円安等のコスト高の影響はあったが、増益を果たしたメーカーは増収効果を主要因としてこれを跳ね返した。特に第3、第4四半期(10〜3月)には製品の価格改定(値上げ)効果が利益要因に加わった。

 中食・惣菜の伸びに支えられ、業務用の売上げ増と利益改善が目立つ。

 ニチレイ、味の素は冷凍食品の海外販売がともに著しく伸び、利益貢献も大きかった。

 ニチレイの冷食は100億円超の増収。国内家庭用調理品5%増、同業務用6%増、農産品2%増といずれも伸びたが、海外販売は23%増で約49億円の上乗せと寄与が非常に大きい。買収したイノバジアン社の効果が表れている。

 味の素も冷食売上げが218億円増(21%増)と過去最高の増収を記録した。買収しグループ化した北米ウィンザー社効果は、決算に11〜12月の2カ月間だけ反映されているが、増収幅、額ともに非常に大きい。

 味の素の冷食事業は国内で29億円増(3%増)と伸びたが、海外は北米と、引き続き好調な欧州他を合わせ189億円増(137%増)と驚異的な伸びを示しており、今期は12カ月分フルに上乗せとなるウィンザー効果がさらに増し、国内の970億円に対し、海外は1018億円と国内売上げを追い抜く。

 日本水産も冷食を中心とする食品売上げが142億円増(5%増)で営業利益は175%増と大幅改善。水産も増収増益の好業績で課題だった復配とする。

 極洋は寿司だねを含む水産冷食の約40億円の増収効果などで、冷食売上げ12%増、利益は222%増と3倍以上の改善を果たした。

増収ながら減益も

 総じてメーカーの冷食事業は、需要の伸びを背景に増収を達成したところが多い。しかし、ニチレイ、味の素、テーブルマーク、日本水産などが大幅増益とした一方、原料高で逆に大幅減益を強いられたところも少なくない。卸は増益、減益が入り乱れている。

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