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●農水省、作業安全対策に本腰
栗原浩太
(週刊水産タイムス:20/04/27号)
若い世代が未来を託せる産業へ
農林水産省は農林水産業・食品産業の新たな作業安全対策確立に向けた取り組みを推進している。労働者1000人当たり1年間に発生する死傷者数を示す業種別死傷年千人率(休業4日以上、平成30年)では全産業で2.3人に対し、漁業11.6人、農業5.2人、林業においては建設業の約5倍の22.4人となっている。
これまでも国や企業が各分野の課題に対応した作業安全対策を講じてきたが、農林水産業や食品産業において死傷事故が多発している状況が続いているのが現状だ。 高齢者や女性、外国人など現場で活躍する人材の多様化や、スマート技術の発展など、作業安全対策を取りまく課題や状況も変化しており、対策をさらに推進するためには、新たな知見も取り入れながら検討を行うことが求められている。 農水省はこのような現状を踏まえ、学識経験者や関係団体、先進的な取組みを行う事業者が業種の垣根を越えて作業安全対策を議論する「農林水産業・食品産業の現場の新たな作業安全対策に関する有識者会議」の第1回会合を2月に開催。若い世代が自らの未来を託せる産業としていくことをめざし、検討を行った。 今月23日には新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から無聴衆で開催した「農林水産業・食品産業の現場の新たな作業安全対策に関するシンポジウム」の動画を公式ホームページで公開した。 また、「農林水産業の作業安全対策に資する新技術カタログ」を掲載。シンポジウムと併せて実施予定だった、民間企業と農林水産事業者が直接対話し技術の発展や普及をはかる「マッチングミーティング」の代替として、出展予定だった企業の技術を紹介している。 同日の記者会見で末松広行農林水産事務次官は「現状、これまでの作業安全対策が成果を上げているとはいえない。放置せずに農林水産の総力を挙げて進めていく必要がある。安全対策は基本中の基本であり、それを強化した先に農林水産業の成長産業化が存在する」とコメントした。
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各分野で活躍する多彩な新技術
「農林水産業の作業安全対策に資する新技術カタログ」では水中ドローンやアシストスーツ、漁船事故に備えた安全操業システムなど水産業・水産加工業の作業安全に貢献する技術が多数掲載されている。 JOHNAN(京都府宇治市、山本光世社長)は高い操作性と機能性を持つ産業用水中ドローン「MOGOOLシリーズ」を紹介している。ベーシックモデルは小型ながら高出力で、海流の中でも運用可能な高い安定性を実現する。本体重量3.8kgで1人でも持ち運び可能。最大深度100m、鮮明な映像撮影も強みの一つ。 最大深度1000mのプロモデルも揃えており、豊富なオプションで多彩な業務課題を解決する。
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