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今週の一本

●マルコメがあおさ陸上養殖  橋本武寿 (週刊水産タイムス:24/07/15号)

愛媛で生産、9月に出荷へ

2027年度までに年間収穫量14tを
めざす
西予市の陸上養殖試験設備
 マルコメ(長野市、青木時男社長)は、あおさ(ヒトエグサ)の陸上養殖試験設備「あおさ陸上養殖研究開発拠点」(仮称、面積約1万u)を愛媛県西予市明浜町にこのほど開設した。徳島文理大学の協力の下、あおさの陸上養殖を開始し、9月から出荷開始する予定。同月から「生みそ汁料亭の味あおさ8食」の一部を陸上養殖あおさへ切り替えるため、現在最終的な品質チェックを行っている。
 あおさは高水温に弱い。海面養殖では主に寒い時期に収穫されるが、陸上では通年収穫できる。単位面積あたりの収量も海面養殖と比べて多く、期間も短いなどメリットが多い。今後、段階的に増設し、2027年度までに年間収穫量14tをめざす。陸上養殖技術を通じ、あおさだけではなく、他の藻類の持続的な利用の実現、藻場の再生に向けた取り組みの一助となる可能性を探る。

みそ汁の具材で人気、需要年々伸びる

 あおさはみそ汁の具材などとして人気が高く、需要が年々伸びている。一方、温暖化による海水温の上昇などで海藻類全般の収穫量は減少が続いている。あおさの供給不安を解消するとともに、海洋資源の持続的な活用をめざし、陸上養殖による藻場創出に同社は着目した。
 自社生産を模索していた2017年に、藻類の成長因子の研究で、世界で初めてあおさの陸上養殖技術を開発した徳島文理大学の山本博文教授に技術指導を仰いだ。
 用地は愛媛県と西予市の支援を受けることができた。そこで、気候変動などに左右されない生産体制の確立に向け、明浜町にあおさ陸上養殖試験設備を立ち上げた。試験養殖は19年に開始。良好な試験結果をふまえ、24年に事業ベースの5分の1の規模で試験を行い、種苗生産から収穫までの一連の流れを確立した。現在3名体制で収穫量の増産や通年養殖に向けた取り組みを行っている。
 通年養殖では夏季の収穫量が不安定になるため、種の掛け合わせを試みながら、より環境に適した種苗の作出に取り組んでいる。
 増産に向けて養殖のスキームや水槽の形態、撹拌方法について試行錯誤を重ねている。

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