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今週の一本

●三菱食品 三菱商事のTOBに賛同  高橋尚徳 (週刊冷食タイムス:25/05/13号)

経営計画の早期達成に期待

 三菱食品は親会社の三菱商事が完全子会社化を目的に普通株式を公開買付け(TOB)により取得すると8日公表したのに対して賛同し、公開買付けへの応募を推奨している。京谷裕社長は「三菱商事とグループ会社の経営資源を活用し、昨年5月に公表した経営計画『MS Vision 2030』に掲げた定量目標の早期達成につなげたい」と同日開いた決算会見で期待感を示した。

京谷社長
 三菱商事の8日時点の持株比率は50.11%。昨年9月末時点ではニチレイ、マルハニチロ、テーブルマークが主要株主に名を連ねている。普通株式1株当たり6340円で、2171万8995株(約1377億円)の取得をめざす。6月19まで。株式をすべて取得できなかった場合、スクイーズアウト手続きを実施して全株式を取得する予定。買付け成立後、三菱食品は上場廃止となる。
 三菱食品は公開買付けに関する検討・交渉に際し、公正性を担保するため独立社外役員で構成する特別委員会を設置した。京谷社長を含む三菱商事出身者は関与していない。その上で京谷社長は次のようにコメントしている。
 「今の事業環境は変化が激しく、不確実性が高い。国内は人口減少により市場が縮小する未来が見えている。親会社と子会社が独立して上場を維持するより、一体となって未来の課題に立ち向かうことがより良い選択肢だと私自身は想像している。また、持続可能なサプライチェーンを維持することは重要なミッション。三菱商事の経営資源を最大限活用した上で、スケール感のある施策を随時実行し、当社のさらなる企業価値向上につなげたい。
 想定されるシナジーはデジタル活用・協業による食品卸売事業のさらなる収益拡大や、成長事業の着実な成果獲得・領域拡大、人的資本強化の実現が挙げられる。中でも海外市場は大きな潜在性を感じる分野。事業に優劣はないが、特に注力したい」。

前期の冷凍・チルドは5%増収

 三菱食品の前3月期決算で、冷凍・チルド食品類の売上高はドラッグストアやコンビニを中心に取り引きが伸長したため4.8%増(243億円増)の5278億円と品種別で最も高い伸びを示した。
 業態別では構成比が最も高い食品スーパーの売上高が不採算取り引きを見直した影響で1.3%減(120億円減)の9369億円と唯一前年実績を下回った。CVSは4.4%増(170億円増)の4061億円、ディスカウントストア・EC事業者・ホームセンター・百貨店などを指す「その他直販」が4.6%増(118億円増)の2661億円とそれぞれ伸びてけん引した。
 冷凍とアイスのケース単価は1.37%増4508円だった。上期が4117円だったのに対し、下期は5001円に上昇した。
 連結業績は売上高1.6%増2兆1208億円と増収。増収効果や採算性の向上による売上総利益の増加額が販管費の増加額を上回り、営業利益6.9%増316億円、経常利益6.1%増333億円、当期純利益2.6%増232億円と増益。
 営業・経常・当期純利益は4期連続でそれぞれ過去最高益を更新した。

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