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この人に聞きたい:第583回
(週刊水産タイムス:17/04/03号)

創業100周年に「感謝」

(株)佐々直 代表取締役社長  佐々木 直哉氏

(ささき・なおや)宮城県名取市出身。一橋大学卒業後、三井物産を経て、46歳で同社を継いだ3代目。昭和21年生まれ。

 「ヒラメがこれほどおいしい魚だったとは…」。

 昨年の創業100周年を記念して高級魚ヒラメをふんだんに使った笹かまぼこを商品開発。初めて口にした時の印象だ。

 宮城県で有数の笹かまぼこメーカー。もともと地元に大量に揚がるヒラメで作ったのが笹かまぼこの始まりとされ、同社も仙台藩・伊達家直轄の漁港だった宮城県閖上浜(ゆりあげはま)に水揚げされるヒラメを使って笹かまぼこを製造したのが淵源とされる。

 今回の笹かまは刺し身でも食べられる新鮮なヒラメを贅沢に重ねた、その名も「かさね」。厳選素材と、作業の手間ひまを考えたら、5枚で3000円という価格は決して高くはないが、当面は注文生産が基本。贈り物にすれば、相手から喜ばれるのは間違いない。

 今も笹かまづくりにあっては、一切の妥協を許さない。おいしさを守るため、スリミやその他の原材料を厳選。衛生管理、品質管理にも細心の注意を払い、万全の体制で生産している。その味わいに「魚の甘みが感じられ、弾力のある食感が独特」と根強いファンを持つ。

 東日本大震災で壊滅的な打撃を受けたが、不屈の精神で復活した。閖上には旧本社工場の一部と、後に「復興桜」と名付けた桜の木が今も残っている。

 「ここまで続けてこられたのは、お客様に佐々直の笹かまぼこを召し上がっていただいたおかげ。皆の力を結集して窮地を脱し、先人の労苦に報いることこそ我々の務め」

 100周年パンフレットの表紙に「感謝」の文字が記されている。

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