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この人に聞きたい:第644回
(週刊冷食タイムス:18/07/03号)

「調理場革命」を訴求

マルハニチロ(株) 執行役員 業務用食品ユニット長
兼業務用食品部長  大西 宏昭氏

(おおにし・ひろあき)昭和55年大洋漁業(同社前身)入社。ほぼ一貫して業務用食品畑を歩む。平成29年執行役員となり、30年4月から現職。昭和32年12月10日生まれ、60歳。徳島県出身。慶応大商学部卒。

ホテルの朝食市場攻略へ

 4月1日付でマルハニチロの業務用食品ユニット長に就いた大西宏昭執行役員業務用食品部長に、業務用食品事業をどう舵取りしていくのか聞いた。得意とするメディケア食品では、ヤヨイサンフーズが新設する気仙沼工場を契機に共同開発も始まるという。

 ――長期経営ビジョンに「冷凍食品・介護食品の国内bP企業」を掲げている。
 大西 10年後にありたい姿として描いた5点のうちのひとつ。その実現に向けた中計2018〜2021の中で「加工食品事業の収益拡大」を掲げており、業務用食品ユニットの担う部分は大きい。ユニット傘下のCVS統括部は4月に旧CVS・デリカ営業部を改称したもので、デリカ営業部と共に新設部署です。得意先の要望に迅速、かつキメ細かく応えるのがねらいです。

 ――業務用食品ユニットで約1200億円の売上高がある。
 大西 ざっくりと言ってマルハニチロ単体で580億円、ヤヨイサンフーズが400億円、その他の関連会社で240億円ほど。今期4〜5月の売上高はまずまずですが、利益面では原料価格の上昇及び社内の計算方法の変更もあり苦戦しております。業務用食品市場の伸び率が102%と言われる中、当社は前年同期比103%、予算比100%。CVSが良いのに対し、スーパー惣菜の動きが鈍く、前年実績を下回っています。

 ――外食市場は必ずしも悪くないようだが。
 大西 インバウンド効果により全体的には好調に推移しているようです。来店客数が伸び悩む中、客単価のアップで売上高を維持してきましたが、ここにきてデフレの傾向が強まり、消費の二極化がさらに進んでいます。当社ではインバウンド(訪日外国人)需要の喚起に取り組んでいます。昨年はホテルの朝食バイキング用に、メニュー表記に英語・中国語・韓国語を加えたパンフを配布。今年は「調理場革命」と題して、@省エネ・省力A簡単調理Bおいしさ長持ち、の3点を訴求したシェフ向けパンフを作り、配布しています。

 ――具体的には。
 大西 自然解凍で手軽にオリジナルメニューができる惣菜、包丁要らずの冷凍野菜や焼魚、スピード提供できるワンクック料理、パティシエ不在でも提供できるパウンドケーキなど。赤坂璃宮のオーナーシェフが監修する中華料理なども加え、70品以上を提案。昨年はインバウンド向け提案で売上高が1.5倍に拡大。ユーザーが抱える課題の解決につながる提案の効果は大きいです。

 ――新設したCVS統括部とはどんな組織。
 大西 業務用おにぎり向け鮭フレークや市販用冷凍食品、デザート、缶詰などCVSを対象とした商品を全て扱います。新設したデリカ営業部とCVS統括部は、簡単な開発機能を持たせることで迅速な対応がとれる体制にしています。中食は今後も必ず伸びていく市場と捉え、専門的な知識を持つセールスを育て、お客さまに有益な提案ができる体制にしています。

 ――関連会社との交流も第二段階に突入した。
 大西 ヤヨイサンフーズの気仙沼工場(宮城県)が復活に向けて動き出し、2020年秋の稼働を見込んでいます。煮魚、えびカツなどの他、介護食を当社と共同生産する予定です。これまで以上に連携を深めていきます。この他、中国浙江省舟山市の新工場が今年3月に竣工しましたが、いか加工品、魚加工品、すりみの生産拠点として最大限に生かします。新工場は現地の再開発に伴う新設移転で、従来の1.5倍の生産規模に拡張。最新の設備機器・ノウハウを取り込んだ工場です。

 ――鶏肉の加工品はタイと中国で生産しているが、年々競争が激しくなっているようだ。
 大西 鶏肉加工品はいかに差別化して売るかが大事。鶏はインフルエンザなどのリスクを回避するため、産地を離す必要があり、中国では2社と取り組んでいます。タイは1社でしたが、他の2社と準備を進めており、来月くらいからスタートします。魚と違い、原料価格が安定しているのが魅力です。

 ――骨なし魚の仕事は。
 大西 業務用食品部は昨年106%と伸びましたが、魚原料全般が高値安定で厳しく、価格競争に突入しています。

 ――ネット販売は順調か。
 大西 無店舗営業部で扱うのは海産品、漬魚・煮魚、海苔・乾物、缶詰・瓶詰、ソーセージ、デザート、メディケア食品(常温・冷凍)と多種多様。一度、利益率の高い商材にアイテムを絞り込む必要があります。またメディケア食品のBtoC(企業対消費者間取引)をネット販売の受け皿にしたいと考えています。

 ――bP商材づくりは容易なことではない。
 大西 焼きそばを含む中華麺は市場トップ。餃子、焼売、炒飯は残念ながら2番手に甘んじています。メリハリをつけながらの販売と品位で圧倒的なトップをめざします。

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