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この人に聞きたい:第846回
(週刊水産タイムス:22/08/15号)
駆け出しの原点 今も忘れず
(株)マルハニチロ物流 代表取締役社長 武田 信一郎氏
(たけだ・しんいちろう) 横浜市立大学商学部卒業後、大洋漁業(現マルハニチロ)入社。経営企画部部長役、キングフィッシャーHD(タイ)社長、マルハニチロ取締役常務執行役員などを経て今年6月から現職。63歳。
水産・食品・管理を経験。「ミスター人事ローテーション」を自称するほど、本社のみならず国内の支社や営業所、海外も回った。 6年間赴任したロンドンでは、デンマーク、ノルウェーを主とした北欧の良質な水産物の確保に奔走。当時の欧州内出張は年間約50回.グローバル戦略につながる現地との強固なパートナーシップを築いた。 帰国後は名古屋支社(現中部支社)などを経て、本社管理部門の経営企画部へ。当時は、単体経営からグループ経営への移行期であり、命運をかけたニチロとの“世紀の合併”も実務面から支えた。 「父が典型的な転勤族。できれば人事異動は少なく」との入社時の希望とは裏腹に、振り返れば活躍の舞台はめまぐるしく変わった。それでも最初に赴任した広島支社(現中四国支社)で冷食・缶詰などの販売に走り回った頃を「今も自身の原点」と位置付ける。「苦労して物を売ることの大切さを最初に経験し、その後の貴重な財産になった」。 それは6年にわたって赴任したタイのキングフィッシャーでの新しい事業基盤づくりで開花する。 今でこそ安定した業績を維持している同社だが、着任当時は「日本市場の購買力低下」の渦中で苦戦を強いられた。「日本市場向けにツナ缶を製造販売しても利益は出ない。世界市場を視野に入れた高付加価値の製品づくりが肝要で、欧米向けペットフード事業の拡大が必要」と心血を注いだ。 タイでは、フリートレードゾーン(大規模保税地域)機能を持つ冷蔵倉庫も経営。物流会社の社長となった今、「あの経験を生かしたい」と意気込む。
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