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業界交差点

この人に聞きたい:第852回
(週刊水産タイムス:22/09/26号)

逆風の中、4つの強み発揮

くら寿司(株) 代表取締役社長  田中 邦彦氏

(たなか・くにひこ)岡山県生まれ。72歳。桃山学院大学卒業後、タマノイ酢を経て、大阪に寿司店を開業。寿司皿を自動的に回収して枚数を数えるシステムや、寿司皿に識別コードを付ける鮮度管理システムなどを手掛けた。

 店舗数は全国に488店(2022年10月1日時点)。「安全安心でおいしいお寿司を一皿100円で楽しんでいただく」との思いで、1990年の創業以来、守り抜いてきた価格を10月1日に5円値上げする。
 世界的な人口増加やSUSHIブームに伴う水産物の需要拡大に加え、ロシア・ウクライナ問題の影響で水産物の仕入価格は急激に上昇した。メインのマグロは2020年と比べ約1.6倍、人気のサーモンは2倍に跳ね上がっている。
 昨今のエネルギー費、物流費、包材費の高騰や円安も加わり「急速で終わりの見えないコスト高騰に、企業努力だけで吸収するのは困難」と判断した。ライバルのスシローも10月から10円値上げする。
 外食業界の値上げは5〜10%が大半だが、比較的低い値上げにとどめた理由として、@購買力A自社加工センターB最先端のシステム化C海外展開――の4つの強みを挙げる。
 「全国の漁港から天然魚を安定的に仕入れることができ、コスト削減につながる独自の輸送網を持っている」。自社加工センターでは寿司ネタにできない部位も海鮮丼や巻物、コロッケなどの惣菜に加工。食べられない部位は魚粉化するなど「魚はほぼ100%活用する」と徹底している。
 海外の「くら寿司USA」はコロナ禍を乗り越え黒字化ペースに。今年8月末で40店舗を達成した。台湾も好調に推移している。
 「安くておいしい寿司の永続的な提供を通じて、持続的な成長を実現する」。戦略の方向は「国内」「海外」、そして「未来」。
 もちろん「漁業の活性化」も忘れていない。

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