この人に聞きたい:第981回
(週刊冷食タイムス:25/05/13号)
冷凍フルーツ拡販に手応え
松田産業(株) 執行役員 食品事業部農産部長 川村 啓之氏
(かわむら・ひろゆき)米国エヴァンズビル大学卒業後、1995年入社。食品事業部農産部農産二課長、農産部長を経て20年から現職。神奈川県、川崎市の両サッカー協会で審判員の資格を持つ。1970年12月横浜市生まれ、54歳。
調達力と提案力が強さの源
冷凍野菜や鶏卵などを取り扱う農産部のトップとして商品拡充、販路拡大を推進する。冷凍フルーツなど新たな商材は着実に成果をあげており、販路拡大も順調。調達力と提案力の磨きこみが強さの源泉と言い切る。
――前期の業績概況は?
川村 農産部を含む食品事業部の売上げが1千億円を超えました。主要顧客の食品加工メーカーが価格改定の影響で販売数量を若干減らした余波はありますが、前年並みの金額と数量を確保できたことは評価に値すると思います。
――農産部で取り扱う品目は?
川村 農産一課が鶏卵やフルーツ、製菓素材、二課が冷凍・乾燥野菜、国産生鮮野菜などです。
――冷凍野菜の動きは?
川村 数量面で苦戦しました。ただ、主要品目でいずれもカット済みの玉ねぎや青ねぎ、白ねぎ、ほうれん草などは冷凍米飯の具材に使われており、米価高騰の影響が今後、加工米飯の需要に波及するかどうかを注視しています。
――冷凍フルーツはどうか。
川村 3年ほど前からいちごやバナナ、マンゴーなどを中国、ベトナム、インドの産地でカット加工し輸入しています。外食チェーンを中心に採用が広がり始めています。国産のレモン、ゆず、あまおうなども引き合いがあります。
――機能性素材も始めた。
川村 とうもろこし由来の難消化性デキストリンやポリデキストロースはいずれも韓国産の水溶性食物繊維で製菓・製パンやヨーグルトなどに使われています。
――成果をあげている理由は?
川村 調達力と提案力に尽きます。当社は野菜、フルーツ、畜肉、水産など各カテゴリーの担当者を入社時から専任者として育成することを基本方針としており、スペシャリストに育った社員たちが市場トレンドを読み、調達ルートを開拓しています。商品提案においても、お客様の要望を聞きサンプルを作成する上で調達ネットワークが武器になります。ストロングポイントであり、厳正な基準による品質管理の維持・向上にもつながっていると自負しています。
――販路拡大も期待できそう。
川村 中食・外食分野に販路を広げる取り組みを進めています。すでに農産加工品のかき揚げは量販惣菜や立ち食いそばチェーンなどに採用が広がっています。
――海外拠点が拡大している。
川村 インドに続きインドネシアの現地法人が昨年営業を開始し、全部で6拠点に広がりました。調達網の拡大だけでなく、日系・ローカルメーカーへの営業開拓も視野に入れています。