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今週の一本

●存続か廃業か 政府に決断迫る  後藤美緒 (週刊水産タイムス:08/07/21号)

漁業者代表3000人が経営危機突破大会

 燃油高騰対策を訴え全国一斉休漁が実施された15日、「漁業経営危機突破全国漁民大会」が東京・日比谷の日比谷野外音楽堂で開催され、全国から集まった3000人を超える漁業者が漁業の窮状を訴えた。大会終了後、デモ行進に移り、「国は漁業を守れ!」と声を上げて農林水産省の周りを歩いた。


「このままでは生きていけない」とデモ行進する漁業者(東京・霞ヶ関で)

 服部郁弘大会会長(JF全漁連会長)は「原油価格の高騰で漁船の燃油価格は5年前の3倍に暴騰している。これが無秩序な投機によってもたらされていることに怒りを抑えられない。そして一番恐ろしいのは、どこまで上がるかわからない燃油価格に、漁業に見切りをつける若者が続出していることだ。漁業者がどれだけの怒りと断腸の想いで漁を休んでいるか、この悲鳴を国は重く受け止めなければならない。政治の力で漁業存続のために緊急対策を講じてほしい」と声高に求めた。
 漁業者の代表として意見を表明したのは全国鰹鮪近代化促進協議会会長の早崎達哉氏、石川県漁協副組合長の岩崎富作、青森県漁協女性協会長の熊谷ヒサ子氏。早崎氏は「我が国漁業は今、戦後最大の危機にあり、特にかつお・まぐろ漁業は近海・遠洋とも燃油コストが40%を超える異常事態だ。おいどん達には時間がなか!」、岩崎氏は「一斉休漁は消費者の魚離れを加速するとの批判もあるが、我々は国民に自給率の低下や食糧安保から国家的損失を被ることを明らかにしなければならない。決して漁業の存続のみをかけて行動を起こしているわけではない」、熊谷氏は「油は高い、魚は安い、赤字が増えて出漁できない。今この時期に水揚げしなければ、1年間生活して食べていけない。夢も希望もない」と切実に訴えた。会場の漁業者達は「そーだ!」と一斉に同調し、会場は熱気に包まれた。
 漁業者の想いを受け、自民党の谷垣禎一政務調査会長が所信表明。「対策に補正予算も視野に入れる必要もあるが、時間がかかる。そのため今必要なことは、現在の予算の中で検討し、即効性ある政策を用意することをまずやらなくてはならない」と語った。浜田靖一水産総合調査会長は「一歩も引かない覚悟で今後の予算獲得に向け取り組んでいく」と誓った。大島理森水産政策議員協議会会長は「7月末及び8月の始めには、自民党としての漁業者、生活者への対応について結論を出す」と意気込みをアピールした。
 大会で承認された「燃油価格暴騰対策に関する決議」は、@わが国漁業を存続させ水産食料の安定供給を図るため燃油価格の高騰に対する必要な補てん措置を講ずることA経営存続のため、税制及び金融措置等における抜本的な対策を講ずることB投機資金の国際原油市場への無秩序な流入を規制する国際措置を求めることC漁業用燃油の安定供給を確保すること――の実現を政府・国会に強く求めるている。
 同日午後に行われた代表要請で、公明党の井上義久副代表、若林正俊農林水産大臣、甘利明経済産業大臣、町村信孝内閣官房長官、額賀福志郎財務大臣に提出した。

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