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今週の一本

●上期決算   (週刊冷食タイムス:08/11/11号)

原材料の高騰響く
冷食は天洋事件を引きずる

 平成21年3月第2四半期(4〜9月)決算の発表が続いている。米国のサブプライムローン問題などで世界経済が混迷、また原油価格や原材料の高騰、個人消費の低迷などが食品・水産企業の業績に影を落としている。中でも冷凍食品業界は1月末の天洋食品事件以降、事故や事件に翻弄され続け、厳しい環境にさらされた爪跡が業績に色濃く表れた。通期業績見通しも楽観要素はなく、手堅い数字になっている。

 ニチレイの連結冷食売上げは8億円増の899億円で、営業利益は増益を確保した。市販用調理品が3億円減(1.2%減)の237億円、業務用調理品が32億円増(8.0%増)の431億円、農産加工品ほかが8億円増(4.2%増)の231億円。
 市販用は天洋食品事件の影響などにより市場全体が低迷したが、「パリパリの春巻」などが好調に推移し微減収。広告費の削減などにより、利益改善が進んだ。業務用調理品は引き続き好調を維持した。中食向けを中心に鶏から揚げやフライドチキンなどチキン加工品が伸び、新ライン(森工場)で製造するコロッケも拡販が進んだ。農産品は市販用が市場全体同様に前年割れを続けているが、業務用が伸長。ポテトや枝豆などが売上げ好調で増収増益を確保した。
 味の素は原燃料の上昇は年間290億円、このうち国内食品原材料で50億円の影響を予想。これに対し値上げと値引き削減で原燃料費高騰の半分程度を吸収した。冷凍食品は国内外とも苦戦。国内は安全安心問題で、市販用ギョーザ、エビシューマイ、エビピラフ、具だくさん五目炒飯など主力品が影響を受け、売上げは前年実績を下回った。業務用は相次ぐ食材値上げで外食需要減の影響があったが、大手需要家との取り組みが奏功し、売上げは前年を上回った。
 海外でアモイ・フード・グループ(香港)ののれん203億円のうち134億円を減損損失で処理したが、要因の一つが「香港の冷食市場で大手流通が低価格政策を打ち出し、影響を受けた。これが大きかった」(山口範雄社長)。
 全社で通期予想を下方修正。営業利益段階で原燃料高が290億円、為替で45億円のマイナスの影響となる一方、製品値上げで175億円のプラスとなるが、逆ザヤの厳しい見通しをしている。
 連結対象にフレックデザートとフレック関東、上海の研究開発会社の3社を加え、香港アモイグループの上海金山アモイ・フーズを連結から除外した。
 不二製油たん白食品は品目の絞り込みなど生産効率の改善やコスト削減の努力を続けた結果、売上げは横ばいながら、利益を改善した。同部門の売上げは1.4%増189億2000万円、損益は1億5200万円の損失と原料高の影響を受けているが、前期の7億7900万円損失に比べると6億2700万円改善している。
 昭和産業の冷凍食品を含む食品の売上げは860億7700万円、営業利益は45億9000万円で増収増益。
 大冷は骨なし魚が3.5%増で上期ほぼ40億円を確保したが、伸長率は鈍化しているため、このままでは「通期目標の85億円は厳しい」(同社)。下期から新開発商品の販売を強化し目標を確保したい考え。
 JTの食品事業は通期では旧JTの冷食不振に加え、水産加工品の販売が見込みを下回ることや飲料の減収があり、食品事業売上げは当初予算に対し80億円減の4780億円(前年比42.1%増)、営業損益は予想より30億円悪化し、70億円の損失に下方修正。
 ケイエス冷凍食品は泉佐野工場で生産する主力品「鶏つくね串」、「エビのチリソース」、国内協力工場で生産する「チーズちくわ」、「おべんとう焼とり」が好調。新製品の「マヨたまコロッケ」なども売上げに寄与し、市販用は10.5%増24億9700万円と二ケタの回復を見せた。業務用は値上げ効果と泉佐野工場に新ラインを導入した肉だんご類が好調で0.4%増27億9100万円となった。

マルハニチロは増収増益
 マルハニチロホールディングスの第2四半期連結は売上高24.8%増4536億6200万円、営業利益73.9%増87億9200万円、経常利益52.9%増71億2300万円の大幅な増収増益となった。しかし固定資産減損損失や商品在庫関連損失の発生などにより、四半期純利益は87.9%増14億5400万円にとどまった。マルハとニチロの経営統合は昨年10月1日付のため、業績には反映されていない。
 食品事業は売上高1473億8400万円、営業利益42億2300万円。うち冷凍食品は「原材料価格の高値推移に加え、天洋食品問題やメラミンによる乳製品汚染事件により、中国産食品を敬遠する動きが強く、中国産の調理品や凍菜の販売が依然として低迷している」(同社)。
 水産事業は「北米事業が順調に推移し、漁業・養殖事業、水産商事事業、戦略販売事業は堅調だった」ものの、「浜値高と末端需要の不振を背景に荷受事業が低調だった」ことから、売上高は2921億8000万円、営業利益は58億6500万円となった。

マダガスカルで特別損失を計上
 マルハニチロホールディングスはマダガスカル水産と、同社子会社マダガスカル養殖が保有する固定資産6億6000万円を減損処理し、第2四半期決算で特別損失に計上した。
 同社は1966年マダガスカル政府と合弁で、えび漁業を主体とするマダガスカル水産に資本参加。しかし近年の資源枯渇、えび市況の低迷、燃油高騰などで収支が悪化していた。

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