●三重県で新たな貝類養殖が定着伊勢志摩マリンファーム
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長岡社長 |
この新しい養殖方法の計画は徳島県にある田崎真珠の海洋生物研究所(鬼木浩所長)の協力により、進められてきた。親貝のアサリは伊勢湾産、赤貝は鳥羽桃取産を使用している。以前使用していた真珠やカキの垂下式のイカダにカゴを吊り下げ、このカゴの中にカゴにはアンスラサイト(石炭を細かくしたもの)を敷き、貝類を養殖するのがポイントとなっている。当初の実験は、鳥羽市の沖合いにある湾のカキ・イカダ1基を用いて行っていた。イカダは1基、5m×7mの枠を5つ連ねている。この1基のイカダに150本の垂下式ロープを吊るし、1つのロープに3つのカゴを吊るしている。カゴの大きさは40cm×40cm、高さ20cm。上ブタがあり、カゴの枠で簡単に取り外しができる。
垂下式のイカダで養殖した赤貝 |
こうした成果を踏まえ、昨年においてアサリは鳥羽磯辺漁協桃取支所に加え、布施田漁協、片田真珠養殖組合が加わり、現在23万個を養殖、あと2ヶ月ほどで出荷サイズとなる。しかし、桃取支所では昨年に赤貝12万個を本格養殖したが、貧酸素の海水が発生し、赤貝は全滅してしまった。
同社の長岡敏彦社長は伊勢市議会議員で、本業は行政書士事務所を経営している。地域振興、社会貢献として事業を位置づけて取り組んでいる。「鳥羽市周辺の真珠養殖は経済的な問題、カキは水温上昇等による漁場環境の変化で斃死があり、真珠、カキ養殖業に代わる新たな養殖産業としてアサリと赤貝を振興させる。このうち、昨年から新たに布施田、片田地区の元真珠養殖の漁業者が熱心に参加、アサリに加え赤貝への取り組みを希望している。貧酸素の海水の発生は布施田漁協、片田真珠養殖組合の海域で発生していない。両漁協で赤貝を手がける」としている。また、地域の漁業者では「餌もかからず、高齢者の漁業者でも行える。是非とも成功させ、地域社会の活性化につなげたい」としている。