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今週の一本

●キラリ光る“新技術”で
専門メーカーの新製品  佐藤巳喜夫 (週刊冷食タイムス:09/03/24号)

「凍ったまま」、「十割」、「固くならない」

 昨年に続いて今春も新製品不作のシーズンといわれるが、そうした中で、磨き上げた独自技術を活かして需要深耕を図る新商品も見られる。いずれも共通しているのはカテゴリー専門メーカーの取り組みであり、業務用。業界史上最悪といわれる昨今の市場環境だが“キラリ”と光る技術を伴った商品に期待が集まる。

いずれも業務用、業界初の取り組みも
 いずれも「業界初」の取り組みであり“世界初の技術”を独自に立ち上げた。
 ☆大冷「楽らくクック」
 大冷は凍ったまま調理できる骨なし魚の新商品“楽らくクック”シリーズの開発に成功、第1弾10魚種を業務用に発売した。
 凍ったまま調理してもドリップが出ず、しっとり仕上がる。アク(カード)も少ない。これまでの冷凍切身魚は解凍するか半解凍してから調理するため、現場では一袋単位で大量に解凍処理せざるを得ず、喫食数に合わせると端数が生じていたが、新製品は解凍不要で必要な食数だけ調理できるのでロスが減る。
 クロレラエキスを整味作用として使うことで生臭さを取り除き、うま味が増す。また、ph調整剤を活用し、グレーズ(氷膜)をつけない真空包装技術により“冷凍のまま焼ける魚”を実現した。「業界初の画期的な技術」として製法特許と製品特許を出願している。
 冷凍切身魚を病院、医療食向けに販売してきたが、ユーザーから「冷凍切身魚はおいしくない、解凍が難しい、解凍なしで使えないか」という要望が強かった。
 そこで開発に成功した新製品を病院、給食ユーザーに提案したところ「すぐ使いたい」、「生と変わらない」、「色がいい」など大好評を得ている、という。
 「国産」2品は北海道の協力工場、その他は中国の協力工場で生産する。従来の骨なし魚との価格差は3%ほど高めと、抑えた。

 ☆シマダヤ「十割そば」
 シマダヤの業務用「風味際立つ十割そば200<ミニダブル>」(参考需要家価格126円)はそば粉100%で作った「業界初」(同社)の提案。
 そば粉だけでは生地の結着が弱いため、通常は麺帯強度が弱くなるが「押し出し製法や熟練を用いず、生地の結着を強めて作った」(同社)と、独自技術を強調する。色黒で、そばの自然の風味が味わえる。なめらかさを出すため通常より麺を細めに工夫した。

 ☆QP「たまごベース」
 キユーピーの「スノーマンふんわりたまごベース」は電子レンジ加熱の簡便調理で誰でも失敗なくふわふわした卵に仕上がるのがポイント。
 これまで蓄積してきた鶏卵加工技術と乳化技術を組合わせて完成した画期的な商品。特許を出願する。
 解凍して好みの容器に入れ、レンジ調理するだけ。加熱しても固くならない。
 だしを加えてレンジ加熱し、形を整えれば「太だし巻たまご」、器にラップを敷いて卵ベースを加熱調理し、ケチャップライスを包めば「オムライス」、加熱した後にかにあんをかければ「かにたまあんかけ」――が簡単にできる。
 1袋180g入り。料飲店や惣菜向けに提案する。この春、各地で行なわれた業務用展示会でもこの商品は業務用ユーザーからトップ級の強い関心を集めた。

 ☆加ト吉「マイスター」
 加ト吉は惣菜向け最高級グレードの“MystarDeli”(マイスター☆デリ)ブランドで素材、メニューごとに最適な衣を開発した。事業統合するジェイティフーズと技術協調で生み出した。
 「真あじフライ」はカラーパン粉10ミリ。パン粉のミキシング条件と成型工程を改善し、パン生地の伸展性を向上。粉砕すると剣立ちの良いパン粉になった。
 「かきフライ」はパン粉に新規原料の加工でん粉を加えて保存性向上。パン粉製法を「ストレート法」から「中種法」に変えることでパン粉の膜が薄く、気泡が細かくなり、食感が軽くサクサクとなった。油調後時間がたっても衣の中で水分移動が少ない。JTのカレー男爵などの技術を応用した。かきフライは家庭でレンジ加熱することが多いが「時間がたっても衣がサクサクしている」という。

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