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●与信限度超えた取引
松田陽平
(週刊水産タイムス:09/08/24号)
全水加工連に業務改善命令
全国水産加工業協同組合連合会(全水加工連)が博多まるきたに対し与信限度額(売掛債権の限度)を大幅に上回る取引を行っていたと、農林水産省は水産業協同組合法第124条第1項に基づき再発防止策の策定等を求める業務改善命令を18日発出した。 全水加工連は、水産加工原料販売等の関係で取引先に対して与信限度額(売掛債権の限度)を設定しているが、博多まるきた(同社会長は全水加工連の前副会長)に対して2.4億円の与信限度額を設定しているにもかかわらず、子会社である全水加工連販売の枠を意図的に利用し、博多まるきたに対して与信枠を何十倍にも膨らませていた。 さらに、全水加工連は、博多まるきたに対する売掛債権が支払サイト4カ月程度で未回収であるにもかかわらず、当該販売に係る水産加工原料であるタラコを買い戻す循環取引を行い、その購入代金を支払いサイト1週間程度で支払うことにより、実質的に博多まるきたに対する資金支援を行っていた。このような資金支援を可能とするために与信限度額を上回る販売を行っていたものとみられる。 一連の行為について、全水加工連の前会長が深く関与していたとみられ、結果として全水加工連としての内部牽制機能、子会社に関する管理機能等は適切に働かず、全水加工連に損害を及ぼす事態となった。 農林水産省は、子会社の管理体制強化のため、全水加工連及び全水加工連販売の役職員の兼職の見直し、同一取引先に対する与信限度枠の一元的管理の実施など子会社の管理態勢を強化すること等の業務改善命令を発出。 さらに、(1)子会社を含めて適切に与信限度額を設定し、これを適切に管理するシステムを整備すること(2)不適切な循環取引を防止する仕組みを作ること(3)理事会・監事の機能が適切に発揮されるようなシステムを整備すること(4)役職員のコンプライアンスに対する意識改革を徹底すること――など再発防止を策定するよう命令した。
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