●今年の冷食生産高3%減142万〜143万tか低価格で業界に軋み
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「冷食は安売りに対応する形に なっておらず、無理が生じて 軋みが出ている」と浦野会長 |
浦野会長は2009年を振り返り、「08年のような大きな事件もなく、市販用は前年比で回復したが、07年比でみると完全回復とは言い難い。業務用はユーザーである外食、給食、弁当など、いずれも厳しい環境にさらされ、プライスゾーンが大きく変化、その対応に追われた」と総括。
また4月から冷凍食品の新しい認定制度が本格スタートし、「会員各社がしっかりと対応している」と評価した。新制度のスタートで、前年まで700以上あった認定工場は直近で500工場程度まで減少。ただ「認定工場の中で冷凍食品を生産していない工場が100工場以上あった」ことも減少の一因。業界全体のレベルアップをめざすための移行であることを強調した。
さらに「09年は今まで以上に広報活動に力を注いだ」ことを報告。特に中国産品に対する理解を深めてもらうため、消費者団体やメディアを中国の生産現場に招待した事に触れ、「まさに百聞は一見にしかず。参加者を通じて多数の生活者に安全性や、冷凍食品の特性をご理解頂けた」と充実した活動を振り返った。
09年の国内冷凍食品生産高見通しは、1〜10月の自主検査数量(前年同期比4.5%減)などから推計して「142万〜143万t、前年比3%前後減少する見通しだ」と発表した。これは96年(平成8年)の生産数量142万tの水準であり、過去最高を記録した06年(同18年)と比べると約12万tの減少となる。
浦野会長は「政府も認めたデフレ現象は簡単には止まない」とした上で、「安価でも高収益を上げているユニクロと違い、冷凍食品は低価格で売れるシステムが組み入れられていない」と分析。現状を「無理が生じて軋みの音が聞こえる」と表現し、「(適正な利益が確保できる)システムを(仕組みとして)ビルトインするためには一定の期間がかかる」と語った。
さらに浦野会長は「個人的な見解だが」と前置きした上で、「すでに04年から人口減少に転じており、今の冷凍食品の供給量に対し本当に需要があるか否かは疑問。小売がオーバーストアと言われて久しいように、供給者サイドもこの問題を意識する必要がある」と注目される指摘をした。