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今週の一本

●米国産スケソウスリミ
価格は在庫薄で強含み  鳥越美紀 (週刊水産タイムス:10/01/18号)

Aシーズン生産量は前年並みか

 今年の米国アラスカ・ベーリング海のスケソウダラ漁獲Aシーズンが20日からスタートする。09年の前年比2割減に引き続き、10年の漁獲枠は前年比2000t減の81万3000tと依然低レベルのまま。東南アジアなど南方スリミは品質問題のほかに供給が不安定。そのため昨年後半から南方スリミから米国スリミへ回帰の動きが見られている。しかし今シーズンも、ほとんどの生産者は利益率の高いフィレとH&G(ドレス)主体の生産を計画。欧州や韓国のスリミ在庫がショートしている中で、工船会社は価格上昇を期待している。

 09年は前年比2割減の漁獲枠であったため生産者は、収益率の高いフィレとH&Gを主体に生産した。ベーリング海で漁獲・生産されたH&Gは前年比230%増。一方でスリミは史上最低の8万3800tで08年比31%減。07年と比べると半減した。
 上級品の生産は極端に少なかった。工船会社は「漁場が北上し港から遠くなり、さらに魚体が小さく上級品が作りにくかった」と説明した。
 
フィレ市場堅調
 スリミ価格は枠削減を受けて08年Bシーズンに急騰した。しかし08〜09年中盤に東南アジア産スリミの品質のばらつきや添加物の問題が浮上し、相場が下落。09年中頃には「全体のスリミ相場が値崩れを始めた」(工船会社、以下同)。昨年末は在庫が少ないにも係わらず、国内相場は反転しなかった。
 価格は指標価格が決まるパターンから変化。「日本が価格決定権を持っていたが、今やスリミはグローバルな商材」と、品質に合わせてより流動的になった。
 上級品は受注生産が主体となりつつある。そのため在庫は「KA、B、RA級のグレードが残っている。フィレ生産の副産物であるRA級が特に多い」状態だ。
 フィレとH&G需要は「欧州ではスケソウからハドックにシフトしている」との見方もあるが、「為替の影響で価格は7〜8%下落したが、需要は堅調」、「欧州向けは確実に増加している」との声も聞かれた。
 スリミとの価格差は開いたままで、各工船会社は「低レベルの漁獲枠の中、スリミ生産で生計を立てるのは困難」、「スリミ生産はリスクが高い」また「今の価格ではスリミ生産に魅力はない」と言い切る会社もあった。
 今シーズンも、ほとんどの会社は昨年同様の割合でスリミを抑えフィレとH&G主体の生産を計画。相場が変わらない限り、スリミ生産には消極的な姿勢が続きそうだ。スリミ生産量は魚体サイズにもよるが「昨年同量の8万tレベル」と言われている。
 
スリミ在庫は減少
 スリミ需要は09年後半から「東南アジアの品質問題プラス生産不安定ため、米国産スケソウスリミに回帰している」といった動きも見られ、今年もその傾向は続くと予想されている。
 さらに昨年は欧州、韓国市場に在庫が潤沢に存在したが「今年は両市場ともショートしている状態。世界中の在庫は減少し、スリミのニーズは高い」状態。
 そのため今年の米国スリミの相場は「同程度」と予想しているインポーターがいる一方で、工船会社は「下がる要因は一切ない」、「上昇していくのではないか」との見方をしている。

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